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資本主義と信用

2005-01-29 12:05:12 | 国際・政治・社会・経済
参考:都留重人 編 経済学小事典 岩波書店
   明治大学政経学部教授 飯田和人 経済学言論Ⅱ 講義

資本主義経済と信用
 商品流通が発達してくると、買い手と売り手の事情によって商品売買が貨幣の後払いの約束を信用して成り立つようになり、それが市場経済での信用の基礎形態をなす。資本主義のもとでは、再生産にたずさわる諸資本のあいだにおける商品の信用売買が、商業手形を媒介に商業信用を形成する。商業手形は、裏書による連帯債務保証を加えて、さらなる商品の購入に用いられ、基礎的な信用貨幣として、資本家間の商品流通を弾力的に拡大する機能を持つ。 しかし、商業手形はその特定の金額、支払期限、信用度などにより、流通性に限度がある。 
 銀行信用は、商業信用にもとづき、債権・債務の関係をさらに社会的に拡張し、組織する。古典的には、銀行は一覧払いの約束手形としての銀行券を発行し、諸資本の遊休貨幣資本を預金として集めて社会的な債務を負い、他方で産業資本や商業資本の必要に応じ、その保有する商業手形をその銀行券や現金と引き替えて、利子分を割り引きつつ、手形債権を取得する。銀行券は、商業手形より高次の信用貨幣をなし、古典的金本位制のもとでは、諸銀行の銀行としての役割を果たす中央銀行の銀行券もそのさらに高次的な展開形態をなす。こうした商業信用と銀行信用からなる信用制度は、産業資本と商業資本の遊休資本の相互利用を資本化社会的に媒介し、それによって利潤率の増進と均等化の運動を弾力的に促進する。 
 しかし、その反面で、産業循環の局面によっては、諸資本の投機的発展を過度に助長し、その崩壊過程で、支払手段としての貨幣の入手困難とその連鎖を介して商品の投げ売り、諸資本の倒産、大量失業の発生を伴う恐慌による資本の価値破壊をもたらす不安定性を内在させている。
 このような恐慌対策として、中央銀行は貨幣流通量や利子率を独立変数として動かすことができる。しかしながら、投機的動機にもとづく貨幣需要量の増加に対して金融緩和を行っても、利子率はあるところまでいくと下がらなくなるので注意が必要である。
 中央銀行券にも金兌換を停止して、通貨の国家的管理体制を強化している現代資本主義は、こうした信用の機能の社会的統御を重要な課題としてきた。
{国際的側面}
 国際取引の決済手段として最初に用いられた国際通貨制度は国際金本位制である。金本位制とは、金を貨幣制度の基礎となる貨幣とすることをいう。この金本位制度は四つの原則に支えられていた。①金の一定量を持って貨幣の単位とし、②銀行券と金貨との兌換は自由であり、③金貨の鋳造・鋳解の自由④そして金の輸出入の自由である。
 金為替本位制度とは、国際金融の中心国が金貨本位制(アメリカ)か金地金本位制(イギリス)を採用していることを前提として、その他各国は金本位制をとる中心国の通貨(基軸通貨)で払うことを約束した為替手形で、国際間の決済システムである。第一次大戦後の再建金本位制で金準備を持たない国が採用した。第二次大戦後は、IMF体制(ブレトンウッズ体制)であったが、この制度は世界に対する国際流動性の供給をアメリカの経常収支赤字に頼っており、流動性の供給と回収は困難だった。そして71年ニクソンショックが起こるとアメリカは金との交換を停止し、73年には主要国が自由変動相場制を採用し、ブレトンウッズ体制は崩壊した。現在は資本移動の自由と変動相場制を特徴とする国際通貨制度となっている。



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