硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

夜の踏切にて。

2022-11-05 10:01:42 | 日記
思い通りにならないのが世の常である。それが解るようになった。

しかし、我慢する側に回ってしまうと、なぜかどんな場面においても我慢する選択をしてしまうようになる。
そうする事で環境が安定すると思うからであるが、我慢を強いる側の者たちは、これ幸いとばかりに、横柄になり、躊躇せず、難題を課してくる。

赤色の点滅器が暗い路面を照らし、カンカンという音を闇夜に響かせながら遮断機が下りてくる。
踏切の前で一旦停止をし、遮断機が下りてくるのをじっと見る。
目の前の遮断機を車で押しきって踏切内に入ってしまえば、確実に死に至れると頭の中で誰かがつぶやく。

でも僕は、「しない」と口に出す。
まだ、そこまで絶望したわけではなし、希望を失ってもいないから。と、頭の中の誰かに言い返す。

様々な国で行われている民主主義などへの弾圧行為。部族間や軍のクーデターによる国内の内戦や、資源の奪い合いにおける組織的な紛争。人種差別。大国の侵略行為等々。

世界で起こっている紛争の知る限りを頭の中で思い浮かべてみる。

個人的には絶望しているが、大きな視野で観れば、喫緊的に生命に関わる事ではないし、自身の人生なのだから、選択の余地は残されている。
世界のどこかでは、理不尽な暴力が、ただ平和を望む人の命を奪い続けている。

電車が金属の摩擦によって起こる鈍い音を響かせながら目の前を通過してゆく。
明るく照らされている車内の人々の姿は、画質の粗いブラウン管テレビのように、ぼやけて見えた。

踏切が上がる。大きく深呼吸をして「まだ大丈夫」と口に出す。
そして、再び闇夜に包まれた踏切を渡っていった。