和紙を作る家に嫁いだ嫁のブログ

親子五代に渡り受け継がれた和紙作りの伝統を守るべく今日も奮闘する『和紙を作る家』に嫁いだ嫁のブログ

今どきの和紙事情。

2017-03-24 08:00:00 | 楮畑
先日、新しい楮畑の有害鳥獣除けの柵が完成しました。




柵が完成するまで何度も畑に通い、その度、紙漉き作業をストップさせなくてはならない事に、

やりきれない気持ちになる事もありました。


『原料の栽培から製品作りに至るまで』

一貫した和紙作りにこだわるあまり、

楮畑の整備や楮の世話に、時間や手が取られ、
 
紙漉きや製品作りの為の時間がじゅうぶん取れない…

私たちここまでして、楮の栽培にこだわる必要があるのだろうか?…と悩み、壁にぶちあたる事も多くありました。


しかし、昨日、原料問屋さんからの一本の電話で、今、和紙業界で起こっている原料事情を知り、

自分たちが、今、行っている和紙作りには間違いがない事を確信しました。


原料問屋さんの話は、次のような事でした。

国内産の楮は、原料不足が続いていて、

近年、問屋さんにさえ入らなくなっている。

その原因のひとつは、農家さんの高齢化で作り手が減っていること。

そして、もうひとつの大きな原因は、問屋さんを通さず、直接農家に買い付けに行ったり、行政を使って、独占的に楮を買い占めている産地が有るから


との事でした。

その結果、国内産の楮がほとんど出回らなくなり、

国内産の楮が手に入らない漉き元さんは、外国産の楮を使うしかなくなってきているそうです。


このまま行くと、限られた漉き元でしか、国産楮で和紙を作ることが出来なくなります。


私たちは、原料の楮を代々栽培してきたお陰で、

質、量とも心配する事なく、純粋な和紙を作り続ける事が出来ます。


うちの和紙を待って頂いているお客様には、いつも遅れ遅れで大変申し訳ないのですが、

純粋な和紙をお届けする為に、欠く事の出来ない栽培作業にも、誠心誠意取り組み、

皆さんに喜んで頂ける和紙をこれからも作り続けたいと思います。

やっぱり私たち、間違っていないですよ、ね?