すずめ休憩室

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気の向くままにつづってみました。

アスベスト関連疾病に思う

2005年06月30日 | 時事から・・・
つい先日こんなニュースが流れた。
大手機械メーカー・クボタ アスベスト関連病で社員ら79人死亡
(Yahoo!ニュースより)

ご存知の方もいると思うが、アスベストとは石綿のこと。
今は毒性の強さが知られていて、これらの物質を吸い込むとアスベスト肺(じん肺の一種)や肺がんや悪性中皮腫というガンの発生が高まるという事が知られています。今は中でも特に毒性の強いアモサイト、クロシドライト(石綿の1種)は労働衛生法で製造・販売禁止されていますが、禁止される前に扱っていた人達が今まさに亡くなっているのです。

また、このアスベスト関連の疾病は何十年という潜伏期間の長い割には一度発症した場合、初期の自覚症状が少ないのと、また進行度がかなり早く生存率が低いことでも知られています。それほどやっかいな病気な訳です。

アスベストは繊維状ですが、建材などでは吹き付け塗布もされてきた物質です。作業として取り扱っていた周辺には空中には遊離したものが漂っていたことは容易に想像できます。
社員以外の周辺住民に対する悪性中皮腫の発生率の高さを考えると因果関係はあると考えてよいでしょう。

まだ調査段階だそうですが、亡くなった社員の方の労働災害適用はもちろんのこと、はっきりすればこれは水俣病とかに匹敵する企業公害なのでしょうね。
罹患した患者さんとそのご家族の無念を思うといかばかりかと思います。

残念な事件ですが、ただこの事実を隠さず公表したというは企業評価に値すると思っています。
そう思う一方で何故79人もの死者が出てからの発表なのかとも思うのです。どう考えても同一企業で同じ疾病での多数の死亡は労働災害と考えない方が不自然なのですから・・・。
石綿関連の扱いについては当時から指針なり、国で定められた基準があったはずなので、当時その会社でどのような扱い方をしていたのか色んな面で労働監督署をはじめ、公的機関の調査が入るとは思いますが、潜在的な同一危険性を持つ企業(および地域)に対し警鐘を鳴らすことは出来るとは思っています。

これはただの他所の町で起こった他人事の公害だと思ってはいけません。
実はこれらの石綿製品は加工しやすく、不燃性・防音性・断熱性が高いことでも知られ、昔から建材として重宝されてきました。
つまり今、老朽化が進み解体されているビルや建物に石綿が使われている可能性もあるのです。
それが無造作に解体され、アスベストを含んだ埃が自分の町を漂っていたとしたら・・・

ねっ怖いでしょう。

特に昭和50年以前に建てられたビルはアスベストの吹きつけがされていた可能性が強いですし、石綿の使用ピークがこの前後であることを考えると、老朽化が進みこれから解体される建物はこの危険を含んでいます。
もちろん行政の指導としては石綿を取り扱った建物の解体に関しては取り決めがされていますが、何せ30年近くも前の建物です。記録が残っているのか、そして解体業者がそれをきちんと守っているのか疑問が残るところ・・・。
って事はこれからも肺がんや悪性中皮腫の罹患患者が増える可能性を含んでいるのです。

石綿は国内では製造販売は禁止されていますが、ごく一部代替品が無いことで特例として許可されているものもあるとか・・・。
この事を機にアスベストの危険性を考えてもらいたいですね。企業にもお役所にも。

そして労働衛生に携わる者の1人として、労働者にも企業にも多大なる不幸を与えるこういう労働疾病が無くなる事を願ってやみません。