本日の夕練で、先日の入間川病院での講演会でご一緒させていただいた、青い実学園の柳澤健一先生が毎月一回の発行で20年近くかけて書き上げてこられた「おやつのじかん」を取り上げさせていただきました(ご本人の承諾を得て)。この「おやつのじかん」には、障害のある子どもとその親御さん、そしてその伴走をしている支援者に向けて書かれた、園での素敵なエピソードをもとにした障害児教育・療育のエッセンスが書かれています。今回はその中で、「運動会」と「わかることとできること」を取り上げさせていただきました。
「運動会」では、練習を経て、本番当日に実力を発揮できることの凄さ、その成長。身体の発達や心の発達、障害特性を踏まえた配慮など、「こういう視点を大事にしたいな」と思うことが①~⑩にまとめられており、長ーい目で見ていくことの大切さや、ほんの少しの成長も見逃さない繊細さを教えていただきました。明日、本校の運動会があるということもあり、「明日の意味」を考える上でも、良い機会となればと思い、題材として選びました。
その中で、運動会は本当に必要なのか?という議論になりました。自閉症の子どもたちは環境の変化が苦手です。大きな行事があるたびに見通しが持てず不安が高まり、ストレスが生じ、パニックを起こす頻度が高まることも多いです。文化祭も同様です。
私が以前勤めていた久里浜養護学校では、運動会や文化祭はありませんでした。その代り、授業の成果を発表する場として学年またはクラス単位で保護者に対しての発表会を教育課程上に示されている時間割の中で企画運営していました。今はどうしているかわかりませんが…。もうすでに10年近く前の話です(平成17年~19年)。
知的障害教育のみ認められている領域・教科を合わせた指導の「生活単元学習」を中心に据えた教育課程においては、1年間を行事を通して単元化し、体験を通して学習していくという教育方法が確立していて、運動会や文化祭の時期には通常の日課を変更して、大きな環境の変化を伴いつつも、行事の成功に向けて盛り上げていくという教育がなされます。純粋に知的障害のみを対象とすれば、これらの活動を通して多くの学びの機会が設定されて体験を通して学んでいくという教育方法は有効に思われるのですが、自閉症の障害特性を考えると、その教育手法は本当に教育効果が高いのだろうか?と思うこともあったりします。今や全国的に知的障害特別支援学校に在籍している自閉症児または自閉症傾向を伴う児童生徒は6割を超えている現状です。特別活動としての行事はとても大事な教育活動だと思いますが、自閉症のある子どもたちにとってより教育効果のあるやり方、教育課程の検討についても模索していけないだろうかとも思っています。これまでずっとこうしてきたんだからこれまで通りしていくもんでしょう、という前例踏襲ではなく。
scrap&buildという発想も時代の動向に応じて必要だと思っています。
畠山