Team埼玉 ブログ

自閉症教育と授業改善についての学習会

自閉症教育のスタンダード

2014年11月21日 21時28分14秒 | 日記

 第14回チーム埼玉学習会まであと2週間となりました。

 先日、文科省の中央説明会があり、各県の指導主事が東京に集まりました。その中に久里浜の元同僚もおり、西川元校長先生を囲み、北海道、秋田県、千葉県、鹿児島県でそれぞれ活躍している懐かしいメンバーで久々に飲みました。国としての自閉症教育の研究開発のミッションを受け、久里浜の実践研究を全国に発信してきた6年間を、たすきをつなぎながら築き上げてきた中心メンバーです。言わずもがな、その6年間の成果は現行の学習指導要領に大いに反映されました。そして各県へ戻り、この理論と実践を現場でスタンダードなものへとしていく努力をそれぞれの立場でし続けています。もちろん、今回の学習会で実践報告をしてくれる横田先生もその一人です。

 自閉症児への指導でうまくいかないのは、自閉症教育が徹底していないからかもしれない。中途半端よりかは、学校で教師としてできることは徹底してみること。構造化も。視覚支援も。コミュニケーション指導も。余暇の指導も。保護者支援も。その子の持ついいところに視点をあて、その強さを伸ばす指導を。そして必要がなくなり次第、はずしていく。「分かって動ける授業づくり」もエッセンスは同じです。自閉症の子どもたちが分かるためにはどのような支援が必要なのかを徹底すること。「待ち」時間を無くし、試行数を限りなく増やしスキルを形成していくこと。形成されたスキルが本人の自信となり、さらに高度化していくことで生活そのものが豊かになっていくこと。

 先の飲み会では、今一度、研究開発を受けていた頃の久里浜が築き上げてきた自閉症教育のスタンダードを発信していけたらいいなぁという話になり、今回集まったメンバーを中心として、どこかの学会でシンポジウムでも開こうか、という話が出るまでに盛り上がりました。本当に楽しかった!

 というわけで、今回の横田先生のお話は、まさにそのスタンダードを基盤とした、当時の久里浜の小学部1年生の実践報告です。自分も今回の資料を読ませていただいて、当時の久里浜の理論と実践を改めて自分の中で整理することができました。同僚で自閉症の子どもたちへの指導で悩んでいる方がおられましたら、是非この会の情報をお知らせして、一緒にご参加していただければと思います。

 畠山


他校の実践を知りたい!

2014年11月15日 22時56分31秒 | 日記

チーム埼玉学習会も発足して5年が経ち、来年1月からは6年目を迎えることとなります(あっという間の5年間! Time flies !)。

チーム埼玉学習会では、毎回のアンケートで「今後、どのような研修内容を希望されますか?」とニーズ調査を行い、それをもとに次回の企画をしています。その中で毎回根強く挙がるのが「他校の実践が知りたい!」というニーズです。そのニーズに対してこれまでは主に、午前の部(無料)で朝の会や体育、自立活動等、実践報告を行ってきました。

今回の午後の新企画「おすすめ教材教具 about 5」では、(今のところの予定)本庄、川越、上尾かしの木、川口、上尾、岩槻、筑波大附属(視覚、聴覚、桐が丘、大塚、久里浜)、所沢おおぞら等の学校の、幼稚部、小学部、中学部、高等部で実際に使用されている教材教具の紹介とその実践例の資料に基づく話を聞くことができるまたとない機会です。教科(国語、算数・数学、体育、音楽、図工・美術等)、領域(自立活動、特別活動、道徳等)、教科と領域を合わせた指導の形態(生活単元、日常生活の指導、作業学習、遊びの指導)、それぞれの授業において用いられている教材教具の紹介と実践報告となります。

これまでアンケートに書かれてこられた先生方のニーズにお応えする企画となっております。他校の実践について具体的に情報収集し、学べる良い機会となることを願っております。実践報告を受けてのグループ協議(情報交換)や当日配布の資料も有用なお土産になることと思います。是非、ご活用ください。

 畠山


ユマニチュード

2014年11月07日 21時43分57秒 | 日記

 本日の夕練で取り上げたテーマです。

 ユマニチュードは、フランスで考案された認知症介護の新しい手法です。TBSの報道特集で取り上げられていたのをたまたま見ていて、特別支援教育にも通じる内容だったので、今回、参加された先生方と一緒に考えたいと思ってテーマとして取り上げました。youtubeでも検索すれば見ることができます。「ユマニチュード」を日本語にすると「人間らしく接する」という意味になります。考案者の一人、イブ・ジネストさん曰く、「見ること・触れること・話しかけること」この3つの要素を中心に、人と人が対等に、感情を基盤として通じ合うこと、そのことによって、認知症を患っている方々の「人としての尊厳の回復」を促し、一個の人間として社会へアクセスし、社会参加するように援助していく方法であるということでした。映像を見ると、本当に魔法にでもかかったかのように、患者さんの変化の様子を目の当たりにすることができました。管理する側される側ではなく、上から目線ではなく、人として尊重し合い、人として感情交流し合い、お互いが気持ちのいい付き合いができるということ、特別支援教育においても、教員と児童生徒との信頼関係形成に通じるなぁと思いました。NHKのクローズアップ現代でも取り上げられています。

 自分が将来、認知症になった時、このユマニチュードがごく当たり前の手立てとなっていることを望むばかりです。

 追記:第14回チーム埼玉学習会まで、あと一カ月となりました。多くの先生方の参加をお待ちしております。150名までは入れる会場です。参加費は200円です。

 そして次回15回は浦和会場決定です。定員132名の部屋です。期日は2月7日(土)です。まだ不確実ですが高等部特集を企画しています。埼玉県としては、平成28年度を目途に、高等部の教育課程の複数化を検討しているそうです(28年4月1日から施行される「障害による差別禁止法」における合理的配慮の問題が大きく関与しているのであろうと思われます)。東京都などが行っている類型化ではなく、埼玉県独自の複数化です。本日、ユマニチュードの後、この話題についても触れ、19時まで延長して意見交換をしてしまいました…。デュアルシステムも含め職業訓練校のような高校生活でよいのか、それとも高校時代にしか学べない教科学習、体育祭や文化祭、生徒会などの自治活動、クラブ活動などなど、かけがいのない青春を重要視した3年間もあるのではないか、知的障害教育の目指す自立と社会参加のための教育とは何か、その質なのか量なのか等々話し合いました。また、国の財政のことも含め、日本は18歳までの教育であるということと(健常にはモラトリアムとかもあって社会に出るまで25,6まであったりするけど)、複数化といってもそもそも、特別支援学校が大規模化してきており、複数の教育課程があっても、その授業を行う教室がない、教員の体制が組めないのではないかということまで話が及びました。少子化で本邦における全児童生徒数が毎年10~15万人減少している中、特別支援教育在籍者数は2~3万人増加している現状において、一人一人のニーズに応じた教育が実現できるのか、教育現場の生の声を挙げながら、血のにじむような努力をしていかなければならい現状だなぁ、というのが本日の夕練の結論でした。

 どう思われますか?

 畠山


第14回学習会開催決定!

2014年11月02日 23時24分26秒 | 日記

連絡が遅くなり申し訳ありません。

やっと内容が確定しました!

今回は新企画が3つあります!

先ずひとつ目は、午前の部。「おすすめの絵本を紹介し合いましょう!」絵本は子どもの発達に欠かせない教材の一つです。言葉のリズムの面白さや、展開の面白さ、イメージをふくらませ、見立てつもり活動へも発展していくものです。これら絵本の持つ魅力を、先生方の実践を交えて、読み聞かせの工夫や子どもを引き付ける+αの工夫など、みんなで持ち寄って語り合う場にしたいと思っています。絵本好きの先生方はもとより、いろいろな実践を知りたい先生方に、是非参加していただきたい企画です。もちろん、午前の部は参加費無料です!

2つめの新企画は、「おすすめ教材教具 about 5」です。複数の先生がこれまでの実践の中からおすすめの教材教具をだいたい5つ程度紹介するという企画です。もちろん、もっとあるよという先生がいれば10こでも構いません。2時間で100個くらいの紹介になるかもしれません。1つの教材教具でも使い方によっては何通りにも活用できるので、そのレパートリーは数知れないほどになります。教科・領域ごとに示す予定です。「この子にこんな力を育てたいけど、どうしていいかわからない」「この教材教具、あの子に使えるかもしれない」等々、教材教具の情報を求めている先生方のニーズに応えられれば幸い、と思い企画しました。

3つ目は夜間の部です。その名も「夜の大相談会:シャベリバ」。日々の指導でどうしたらいいんだろうと悩んでいることがあれば、ちょっとしたことでもいいので、お酒を飲みながら気軽に相談できる場を作りたいと考え、企画しました。答えは出ないかもしれないけど、同じ立場で自分ならどうするか、建設的に意見交換し合うことで、何かヒントが得られるのではないかと思っています。特別支援教育に携わる同じ立場だからこそのアイディアが湧いて出ることを期待しています。

こんな感じで、12月6日(土)は岩槻で学び合いたいと思っています。ご賛同いただける方はぜひ、ご参加ください。宜しくお願いいたします。

 畠山