秋の気配が感じられるみかんの丘で大工仕事を終え、竹取庵の屋根を開いた。上弦の月が西の空に掛かる。望遠鏡で覗いてみると案の定大気の揺らぎが大きくて、月面のあちこちで陽炎が揺れていた。
高速でシャッターを切ったら行けるかなと思う。望遠鏡は口径80ミリのフローライト屈折。焦点距離は600ミリ。カメラの感度を最高の1600にしてシャッタースピードは200分の1だった。
その結果がこう。やっぱり所々ボケている。でもまあいいか。
月にあばたがあるのを見つけたのはガリレオだ。その時イタリア中が大騒ぎになった。だってキリスト教の教えでは、月は完璧な球体のはずだったから。
今では世界中の人が望遠鏡でそのあばたを見る。美しいとさえ思う。
もし、月がキリスト教の教義のようにつるんとしていたらこんなにも人気は続かなかっただろう。そう。あばたもえくぼなのだ。