宇宙は広いはずなのに、そこに浮かぶ銀河同士の衝突はそこらじゅうで起こっている。
北天を巡るおおぐま座の尻尾の南。うしかい座との間に挟まれて、りょうけん座という小さな星座が有る。うっかり見落としそうなこの星座を有名にしているのが、M51「子持ち星雲」だ。大きな渦巻き銀河と小さな楕円銀河が、まるで親子のように手を繋いでいるかに見えることからそう呼ばれる。しかし現実はそんなほのぼのとしたものではない。これはまさに、二つの銀河が衝突している最中の光景なのだ。
大きいほうの銀河がその強大な重力で、小さいほうの銀河の持つ星や星間ガスを容赦なく奪い取っている。小さな銀河は持ち物を奪われるだけではない。重力のひずみが内部の星間ガスに働きかけ、爆発的に星を生み出す。銀河はその形さえ崩れ、やがて消えて無くなる。
ゴールデンウィークに入って初めての晴天、大きな月が昇るまでの時間を狙って20センチの反射を向けてみた。焦点距離はほぼ倍に伸ばして1500ミリ。光害カットのフィルターを付け、カメラの感度5000。露出は5分と8分、それに10分。そうして撮った5枚の画像を重ね合わせた。もっと淡い部分を写し出そうとしたが、これ以上の露出は春がすみに阻まれて無理だった。