塵に煙る星空に手こずるうち、時計の針は午後9時を回っていた。明日はもちろん仕事だし、これ以上頑張っても成果は得られない。もう帰ろう。北の空を見ると春を告げる星座おおぐま座が昇っていた。広く知られている北斗七星はこのおおぐま座の後ろ半分だ。ひしゃくの柄は熊のしっぽにあたるが、こんなしっぽの長い熊は見た事が無い。そう言えば隣りのこぐまも長いしっぽを持っている。ひょっとすると古代ギリシャの熊はみんなしっぽが長かったのかも知れない。こぐまはどこかと探したが、しっぽの先、北極星がかろうじて見えるだけで、そのほとんどは塵に埋もれていた。
みんな、ありがとう。また来るね。今度は塵の無い澄んだ夜に。