今回の月食の書き込みは昨日で終わりにするつもりだった。でも、下から欠けたので下から明るくなるだろうと思ったと言われる書き込みを頂いたため、月食について簡単に説明してみようと思う。
この画像は今回の月食の画像を元に作ったシミュレーションで、下敷きにした星野写真も月も実際の物ではない事をお断りしておく。
地球は太陽に照らされている。だからその反対側には丸い影が出来るけれども、太陽が大きいせいで、完全に太陽が見えない場所と、少しだけ太陽が覗いている場所が出来る。この完全に太陽が見えない場所を「本影」と呼び、少しだけ見えている場所を「半影」と呼ぶ。それがこのシミュレーション画像で真ん中に見える薄暗い部分だ。半影は内側に行くほど暗い。
夜空には普段見えないだけで、この影が星空の彼方にずーっと続いている。その影の中を月が横切ると月食が起こる。8日の月食では、月は薄い矢印のように影の右上から左下に動いて行った。
みかんの丘の月の出の時、月はすでにこの半影部分に差し掛かっていた。その1時間後、月は本影に入って行く。この時の本影の位置はみかんの丘から見て月の左下だった。その後月は本影の中をくぐって影の左側から抜けた。
地球の影も月の通り道も動いている。だから欠けてゆく場所も輝きが戻る場所も毎回違う。また、この地球の本影は地球から近いほどくっきりしていて暗く、遠いほどぼやけていて小さく明るい。過去に1度だけ経験があるが、月が地球に近いとき起こった月食で、しかも本影のど真ん中を通った事が有る。その時は月が真っ暗になって、肉眼では見えなくなった。珍しい経験だったが、8日のように美しくは無かった。
今回の月食でも、赤銅色の美しい皆既月食が見られたが、それは輝く月が地球の影に入って明るさが極端に落ちたため、瞳が開いて目の感度が上がり、地球の大気で屈折した僅かな赤い光でも識別できるようになったためだ。今回の皆既食の月が下の方ほど暗いのは、赤色の光の回り込みに限界が有る事を示している。
同じように見える天文現象も、条件によって毎回変わる。だから不思議。だから面白い。