宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

揺らめく女神たち

2015年04月24日 00時46分35秒 | 

目標の高度が低いせいもあるがカメラのモニターの中のアルテミスはまるでさざ波と陽炎の向こうにいるようだった。フォーカスノブをどんなに微調整しても全体にピントの来る場所が無い。仕方なく適当なピント位置にしてカメラ感度400、露出125分の1で撮ってみる。周囲を山脈に丸く取り囲まれた危機の海が印象的だ。ただ、カメラのファインダーを通してぼんやり見える影の部分地球照が写らない。そこで露出を少しずつ増やして、カメラモニターで肉眼で見える程度の画像に持っていくと露出は0.6秒だった。明るい部分の適正露出の75倍にあたる。確かに地球照は写し取れたが、これでは日の当たった部分が真っ白に飛んでしまってクレーターの存在すら分からない。目では両方がはっきり見えるのに。毎回感じる人の裸眼の凄さだ。

さて、お隣の女神ビーナスはマイナス4等級以上だ。しかし今夜の金星は視直径が15.8秒。228分の1度しかない。口径200ミリ、焦点距離800ミリの望遠鏡の直焦点ではほとんど輝く点にしか写らなかった。口径8センチの屈折望遠鏡に5ミリアイピースの拡大法を使うことにした。

カメラのモニターに現れたビーナスは少し太った半月。美の女神には失礼だが面白くない形だった。クラゲのように暴れまわる星像に十数回シャッターを切り、そのうちからまずまずの画像4枚を選び出して重ね合わせたが、きちんと重なるものは一枚も無かった。見られたものではない。

気が付けば時刻は午後9時。久々の星空を夢中になって撮っていたが、思えば仕事場からそのままここにやってきて飲まず食わずだった。女神たちも西の山の端に沈もうとしている。薄雲が出たせいか、あれほど見えていた星も、今はあまり見えなくなっていた。

明日はもちろん仕事だし、そろそろ帰ろう。次のミッションは観測デッキの掃除ということになりそうだ。

コメント (3)
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