腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



先日、お客様から「店の名前、トゥールビヨンって言うの?
良い店名やね~!(^^)」と言われました。
知っている人は知っている。知らない人は覚える...
必要はあまりありませんが。
トゥールビヨンとは...
機械式時計の中でも、特に精度を安定させる特殊な機構のことで、
アブラアン・ルイ・ブレゲさんが1795年に開発しました。
時計は姿勢差(置かれる位置や向き)によって精度に若干の狂いが出ます。
ブレゲさんはそれが地球の重力に関係があることに気づき、なるべく重力の
影響を受けないように考案したのがトゥールビヨン脱進機だったのです。
どういう構造かというと、脱進機(ガンギ車・アンクル・テンプ)を1セットにして
それ自体を1分間に1回転させることで、重力による誤差を分散させる仕組みです。
「テンプ」には天輪という輪っかの内側にヒゲゼンマイという蚊取り線香状の
細い針金が付いていますが、このヒゲゼンマイが重力の影響を受けやすいのです。
そこで、脱進機と4番車を合体させた形で脱進機自体を回転させたというわけです。
調整が非常に難しく、トゥールビヨン搭載の腕時計は軽~くウン百万円します。
ちなみに、トゥールビヨンとはフランス語で「渦巻き」という意味です。
実際、その動きは渦巻きというより惑星の自転と公転のように神秘的な感じがします。
まさに腕時計という小箱に収められた小宇宙です。
色々考えた結果、現在、宝くじに当たるしか買う方法はありません。とほほ。

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