今朝、お預かりしていたROLEXが修理センターから戻ってきました。
こちら↓
大阪府藤井寺市在住のK様所有のGMT-マスターⅡ。Ref.16710
分解掃除、パッキン交換、防水検査しております。
K様大事にお使い下さいませ。
随分前に“GMT”の説明はしたので、今日は割愛させていただきます。
で、このROLEXをシゲシゲと眺めていましたら、時計販売員をしていた頃のあるお客様のことを思い出しました。
「おい!兄ちゃん!ちょっとこのロレックス見せてくれ!」
ある昼下がりの店内にお客様の声が響き渡りました。いきなり「おい!兄ちゃん!」と店員を呼ぶお客様は...そう、頭に“や”の付く3文字の自由業の方。(八百屋ではありませんので、念のため)
フロアーに“兄ちゃん”に該当する販売員は私だけ。仕方なくロレックスの陳列ケースに行き、接客させていただきました。
お客様は“や○○”でも中の下くらいのランクの方でしょうか、どちらかと言うと“チン○○”(下ネタではない)に近い風体です。貧相な体格にペラペラで光沢のあるスーツが印象的でした。
お客様「なぁ!ちょっとこのロレックス見せてんか」
私「こちらでよろしいですか?」(16233のデイトジャストのコンビを出す)
お客様がリュウズの部分をジロジロ見る
お客様「おい、これおかしないか?」
私「え!どこがですか?」(内心ドキッとするが、表情には出さない)
お客様「このマークがキッチリ上向いてないやないか!」
私「え!マーク...ですか?」(何それ?と思い、ちょっと安心する)
お客様「そうや!ロレックスは全部キッチリ上向いてるはずや!」
私「いえ、そのようなことはございませんが」(こっちの声のトーンもちょっと大きくなる)
お客様「なに~っ!わしの知り合いのロレックスは皆上向いとるぞ!他の時計見せてみぃ!」
私「はい。」適当に数本出す。(面倒くさいなぁ)
お客様「あれ?ほんまやなぁ、どれも上向いてへんやんけ。上向いてるのあるか?」
私「いや~、リュウズのマークの向きなどあまり気にしませんもんで」(完全にバカにした口調になる)
とりあえず片っ端からチェックするが、真上を向いているものは一本も無し。
お客様「マークが上向いてへんヤツは偽モンやって聞いたど!」
私「ありえません。」(しつこいなぁ)
お客様「お前んとこには無いんか?」
私「今はありませんね。」(もう!ええかげんにしくれよ!誰か代わってくれ~)
お客様「取り寄せでけへんのか?」
私「リュウズのマークが上向いているものというご指定での取り寄せは無理かと...」(ムチャ言わんとって!)
お客様「なんや!まぁええわ。上向いてるやつが入荷してきたら連絡くれるか。」
私「いつになるかわかりませんが...」(とっとと帰りやがれ!)
あれから10年以上経ちますが、当然のことながら連絡は入れていません。
あの“○○ピラ”は何故あそこまで執拗にマークの向きにこだわったのか未だ不明。
このマーク↓
ご存知ねじ込み式のリュウズなので、ケースパイプのネジの切り方、リュウズの内側のミゾの切り方によって向きは個々に違います。たまたま真上を向いているものもありますよ。
あのお客様の知り合いの方が皆マークが上向いたものを持っているのが逆に不思議。どんな圧力をかけて手に入れたのかが気になった...のを思い出しました。
意外とポーカーが強いかもしれない腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。
竹中直人の“笑いながら怒る人” 得意です。
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