腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



ここ最近一定のリズムで生活しているので、特にオモローなネタ(オモローって言い方がすでに古い気がするが)がないんです。

一定のリズムで生活しているのは非常に良いことなのですが。


今日のブログは何を書こうかと、朝刊やヤホーを眺めているんですが、これだ!というネタがない。


「あぁ、今日は名前だけ書いて白紙で提出しようかなぁ」と思っていたら、若い男性のお客様が来られた。

お客様「あのぉ、時計の修理をお願いしたいんですが」

店主「はい、いらっしゃいませ。時計の修理ですか?」

お客様「動かないんです」

店主「動かない...」

お客様から時計を受け取る。

店主「タイメックスですね。クォーツ...電池の時計ですが、最近電池交換されたんですか?」

お客様「いえ、長いことしてないです」

店主「ただの電池切れなんじゃないですかね?」

お客様「わからないです」

店主「電池切れというのは故障じゃないですよ。車で言うとガソリンがないのと同じですから。まず電池交換させていただいてもいいですか?」

お客様「はい、お願いします。幾らですか?」

店主「1050円です」

お客様「お願いします」


ということで、お預かりして入っていた電池の電圧を調べたら、完全に電池切れ。
新しい電池に入れ換えたら普通にちゃんと作動しました。

これ↓



時計が止まった=故障

というのはちょっと気が早い。

先にも書いたように、電池切れは故障じゃありません。
電池式の時計が止まったのなら、まず電池切れを疑いましょう。
電池交換しても動かない場合は故障です。

機械式(手巻きや自動巻き)を振っても巻いても動かない場合も明らかに故障です。


10分ほどしてお客様が戻ってきた。

店主「電池交換で正常に動きましたよ」

お客様「あぁ、良かったです」


結構おじいちゃんのお客様に「ワシの時計動かんのじゃ!壊れとんのかのぅ!これ巻かんとアカンやつかいな?」と普通のクォーツを持って来られるというパターンが多いんですが、若いお客様は珍しいので今日のネタにさせていただきました。


では、修理品のご紹介。
こちら↓
 SEIKO SUS Ref.4S12-0010 自動巻き

東京都世田谷区在住のS様所有。
分解掃除、ガラス交換、パッキン交換、防水検査、外装研磨を行いました。

SEIKOの自動巻き、SUS(サス)です。
24時間針を搭載しています。
4S12Aキャリバー搭載。4S系とは、かつてSEIKOで製造されていた機械式ムーブメント(52系)を90年代に復刻したもの。ハイビート8振動、25石。
製造番号から97年製と判明。
SUSはクォーツモデルも発売されていて、自動巻きモデルは通称メカSUSと呼ばれていたようです。
S様大事にお使いくださいませ。


もう明日のブログネタのことが心配になってきた腕時計修理専門店トゥールビヨン店主
毎日カラカラの雑巾から水分を搾り出すかのように苦労してます(←やや大げさ)

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