父が入院する前の数ヶ月、梅雨~盛夏~晩夏の時期にもかかわらず、実家ではストーブが出しっぱなしであった。
そして、父の寝室では、ガスストーブが点けられていた。
その時点で、父の体調が相当悪いであろうことには予想出来た。事実、気づいていた。
本来なら、そこで強制的にでも病院へ連れて行き、自分が立会いのもとで検査を受けさせ、医者から結果を聞く、ということをすべきであったろう。
しかし、前回の入院以降、父は肝機能検査と糖尿病の検査のため、月1回通院しており(少なくとも最初の2年は)、検査では問題がないと言う報告を父から受けていた。そのことを根拠に、それ以上は考えるのを止めていた。
頭の片隅では、父が都合の悪いことは隠す性格であることに気づいていながら。
思えば、その頃はすでに、検査結果について父から証拠書類を見せられることもなくなっていたように思う。
父が禁酒を解いていたのは知っていたから、体調の悪化がそのことに起因するのは自明であった。
要は、私は当時、父にまつわる様々なトラブルに巻き込まれ、自分達の時間が削られることを嫌っていたに過ぎない。
結果、父は入院し、死んだ。
だから、私は父を見殺しにしたのだ。
*****
かつて、飼っていたペットの尿の色が以前に比べ黄色味が強くなっていることに気づいた時、疑問に思いながらも、具体的な行動には移さなかった。
その後、ペットは咳き込むようになり、吐しゃもするようになった。慌てて、県外の専門医へと連れて行った。
そして、投薬を指示されて帰宅した翌朝、彼女は激しく咳き込み、そのまま息を引き取った。
病理解剖の結果、死因は肝機能障害による内臓の癒着・炎症と、その結果としての肺水腫であった。
彼女が吐いていたのは、肺に溜まった水だった。
後日、手元の飼育書を見ると、便の黄変は肝臓障害を疑うべし、と、ちゃんと書いてあった。
異変に気づいてすぐに飼育書を見直し、肝臓病の疑いありと告げた上で専門医の診察を受けさせていれば、と、今でも悔やむときがある。
もっとも、所見によれば、内臓の炎症は相当長期のものであったそうだから、それで余命が延ばせたかどうかは、わからない。
生来の昼行灯が、こういう時には悪いほうに作用する。
慢性的に進む危機にはえてして鈍感である。
それでも、また、きっと、同じような過ちをしてしまうのだろう。
あるいは、今度は、自分の身に降りかかるかもしれない。何せ、体重が増えて仕方が無い。
気をつけねば。
そして、父の寝室では、ガスストーブが点けられていた。
その時点で、父の体調が相当悪いであろうことには予想出来た。事実、気づいていた。
本来なら、そこで強制的にでも病院へ連れて行き、自分が立会いのもとで検査を受けさせ、医者から結果を聞く、ということをすべきであったろう。
しかし、前回の入院以降、父は肝機能検査と糖尿病の検査のため、月1回通院しており(少なくとも最初の2年は)、検査では問題がないと言う報告を父から受けていた。そのことを根拠に、それ以上は考えるのを止めていた。
頭の片隅では、父が都合の悪いことは隠す性格であることに気づいていながら。
思えば、その頃はすでに、検査結果について父から証拠書類を見せられることもなくなっていたように思う。
父が禁酒を解いていたのは知っていたから、体調の悪化がそのことに起因するのは自明であった。
要は、私は当時、父にまつわる様々なトラブルに巻き込まれ、自分達の時間が削られることを嫌っていたに過ぎない。
結果、父は入院し、死んだ。
だから、私は父を見殺しにしたのだ。
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かつて、飼っていたペットの尿の色が以前に比べ黄色味が強くなっていることに気づいた時、疑問に思いながらも、具体的な行動には移さなかった。
その後、ペットは咳き込むようになり、吐しゃもするようになった。慌てて、県外の専門医へと連れて行った。
そして、投薬を指示されて帰宅した翌朝、彼女は激しく咳き込み、そのまま息を引き取った。
病理解剖の結果、死因は肝機能障害による内臓の癒着・炎症と、その結果としての肺水腫であった。
彼女が吐いていたのは、肺に溜まった水だった。
後日、手元の飼育書を見ると、便の黄変は肝臓障害を疑うべし、と、ちゃんと書いてあった。
異変に気づいてすぐに飼育書を見直し、肝臓病の疑いありと告げた上で専門医の診察を受けさせていれば、と、今でも悔やむときがある。
もっとも、所見によれば、内臓の炎症は相当長期のものであったそうだから、それで余命が延ばせたかどうかは、わからない。
生来の昼行灯が、こういう時には悪いほうに作用する。
慢性的に進む危機にはえてして鈍感である。
それでも、また、きっと、同じような過ちをしてしまうのだろう。
あるいは、今度は、自分の身に降りかかるかもしれない。何せ、体重が増えて仕方が無い。
気をつけねば。