昼行灯(だった)トキの大雑把なひとりごと

クレヨンしんちゃんよりもユルく生きていた(当面過去系)私の備忘録と、大雑把なひとりごと。時々細かく語ることも。

重力ピエロ、読了。

2006-07-09 09:55:17 | 読書
昨日、読み終わりました。
今回は、非常にストレートな話。いちおうは連続放火事件の謎解きミステリになるのかもしれないけれど、それは全然、本題ではない。どちらかというと、「伊坂幸太郎の倫理観」を全面に出した作品。
全二作と比べると、今回は「教祖的存在」がほとんど出て来ない(一ヶ所出てくるが、突き放される)。その分、非日常性が薄らいでいる。そして、これまでは「絶対悪」への決着が、非日常性の象徴のような出来事で締めくくられていたのに対し、今回は、どちらかと言うと、「日常的な」ほうの人々により決着が図られる。そして、それはそのまま、作者の考える「こういう場合の正解」を示しているのだろう。
むろん、創作だから可能なことであって、現実的ではない。本作は「ほかにどうしろと言うのか」という絶叫なのだと、私は解釈した。
ところで、また本筋とは関係ない部分にこだわるが、本作では、父親が入院している。仕舞いには亡くなる。父親が焼かれる間、主人公達は外に出て、火葬場の煙を見上げる。
「煙」に、父の実体を見る、というのは、あとから指摘されるとよく分かる感情だ。自分のときは、そういう発想がなかった。冬だったこともあるし、煙が見えない設備だった(はず)こともある。ただ、暖かい控室で待っていた。
父が天に昇るのを見たかった、と、今更言っても仕方が無いが。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする