友人から「これ、とても良いよ、感動もの。」と言ってビデオテープを渡されました。
内容を聞いても「まあ、いいから見てみなよ。」とのこと・・・。
家に帰ってそのビデオテープを見てみると、盲目のテノール歌手がステージで独唱している場面がいきなり現れました。
視力を失った目を遠い天に向けるようにして、静かにそして力強く唄っていました。
その姿が、声が、心にまっすぐに響いてきて、独唱している彼から目と耳を離すことが出来ません。
・・・
君と歩いた道 風が唄う野道
白い百合の花咲く頃 君と歩いた道
「新垣勉さん ~白百合の花が咲く頃~ 」
心が震えました。
はじめて聴く歌だったのですが、彼の声には「祈り」がありました。人の心を揺り動かす響きがありました。その歌手のことも、歌のことも、全く知らなかったのですが、彼の歌う姿に ただ感動し落涙していました。
それから色々調べて知ったのですが、新垣勉さんは沖縄県出身の全盲のテノール歌手で、沖縄の心と、平和と命の大切さを歌い続けておられる方なのだそうです。
このとき唱われた「白百合の花が咲く頃」は、幼い頃から一緒に過ごし、いつか結ばれると信じていた恋人が、沖縄戦で戦死し北極星になってしまった・・・、という内容でした。
早々にCDを買って聴いています。
「今年は戦後60年という節目の年ですが、一方で戦争体験の風化も叫ばれています。戦争は確かに巨大な現象です。しかし、私たちにとって今、必要なことは、その時その場所で、泣き笑い愛し合い暮らしていた一人ひとりの人間が、戦争について何を想い何を感じ生きていたか、その心の内を知ること、想像することではないでしょうか。私は一人の歌い手として小さな存在ですが、音楽を通じてこのことを少しずつでも伝えていきたいと思っています。」
新垣さんの言葉です。
8月になりました。
今年もまた、終戦記念日がやってきます。