先日、地元紙に『遊佐の山本坊の山百合が見頃』という記事が載り、鳥海山麓にある宿坊「山本坊」を訪ねました。
「山本坊」は、遊佐町蕨岡の上寺地区にある鳥海山修験の三十三宿坊の筆頭家格として有名で、その庭園がまた四季折々に素晴らしい姿を見せてくれるところなのです。
当日はまだ梅雨の真っ最中で、あいにくの雨だったのですが、晴天の時よりは花が綺麗に撮れるし滴の山百合もまた良いかな、と思い出かけたのです。でも、さすがに鳥海山麓ともなると山の気候で、山本坊に着くとどしゃ降りになってしまいました。(--;)
車の中で大雨をやり過ごし、小降りになったところで庭園の方に歩いていきました。
この庭園は一般公開されているのですが、それでもやはり余所様の敷地内ですから遠慮がちに入って行ったら、「どうぞどうぞ、入ってきて見てやって下さい。」との奥様の声、気さくで優しい言葉をかけられて導かれるままについて行くと、もの凄い数のヤマユリが山の斜面を利用した庭園の上部を染めて咲き誇っていました。
感激して急いでカメラを取り出し、夢中になって撮影してしまいました。(被写体に感激しすぎると良い写真が撮れないのはわかっているのですが・・・やはり、つい。)
一頻り撮影するとまた雨が降ってきました。
庭園の上部に建てられた小舎(「遊天楽」と書いてあります)から奥様の声がして、お茶をごちそうになりました。初めて来た見ず知らずの者に何故こんなに優しいのだろうと思っていると、ご主人が小舎に入ってこられて今度はスイカをごちそうになりました。
何だか恐縮してしまったのですが、お二人は全く気にとめることもない様子なのです。
ご主人から色々とお話しを聞くことが出来ました。
ヤマユリが自生すること、その球根が美味しいのだが可哀想だから食べられないと言うこと、この小舎を建てたときのこと、宿坊のこと・・・。また、この庭園は羽黒の「玉川寺」(「花の寺」として庄内では有名なお寺です)の庭園を造った庭師が造ったということもお聞きしました。(そう言えば雰囲気がよく似ていような・・・)
初対面にもかかわらず、自分の庭を見に来てくれたと言うだけで精一杯もてなして下さるお二人は、まさに一期一会を実践されているようで、ヤマユリの花以上の感激を与えてくれました。
丁寧にお礼を述べて帰ろうとしている私にご主人が一言、
「紅葉の頃や、梅や桜の時期も綺麗ですから、また来てみて下さい。」
いつの間にか雨は止み、雲の切れ間から射した陽が庄内平野を照らしているのが見えました。
追記、
この山本坊のご主人は「鳥海さん」、私のブログで何度か紹介した歌人の「鳥海昭子さん」の実弟なのでした。(^^;ゞ