Correspondace(異種交信)の実例を本書「野生の思考」から取りだしてみよう。
1 Chaque animal ou plante est en correspondance avec un element naturel.
動物植物は自然の要素と交流する。例として鶴と空、赤い鳥と太陽、鷲と山、ハイタカと岩山などNavaho族(56頁)
2 木々と鮭、イヌイット 前出。
3 植物家族=必ずしも似通いのない植物が番いを持ち次世代を再生産する、Dogon族、前出。
4 動物が何をしたい、何が欲しいのか全て分かる、なぜなら人と動物はかつて親族関係を持っていた。ハワイ先住民、52頁。
5 どんな植物も人間の誰も知らない神聖な用途を持っている、大事に扱わなければならない。白人が野の花を採取する習慣を批判するOmaha族。59頁。
6 独自の鷲狩りの手法、穴を掘り人が潜む。上の筵に餌の肉片を置き、取りに来た鷲の足を掴む。この手法を超自然の動物から習った。狩りの技術とその由来に超自然を持ち込んでいる。北米Hidasta族、67頁。
この猟技法の特異性についてレヴィストロースは>le chasseur et le gibier y sont conjoins dans l’espace intermediare , tandis que la chasse aux aigles les disjoint en leur assignant des emplacements opposes :<と解説する。その意味は「狩人(弓)と獲物の間には、本来、空という介在物がある。よって狩りは宇宙論的に許可されているのだが、「穴狩り」には狩人は直接鷲を掴む、しかし人が穴に隠れることは、この狩り以外にはない、穴に落ちるのは狩られる動物である。狩人が穴に落ちた動物と化けることで、この狩りは宇宙的に許される。Hidasta族の狩りの起源をこのように解釈している。
7 猟の成果と狩人妻の月経との関係。多くの先住民では貧果に結びつけるがHidasta族は好猟をもたらすと信じられる。その理由は上記の特殊性にあるかも知れない。68頁。
8 中世の西欧、星占いでは7の植物を惑星に結びつけ、12の植物に黄道12宮との関連を与え36の植物を占いに紐つけしている。人の将来と宇宙には繋がりがあり、それを予告する植物。
この「異種交信」について著者は;
>Tout cela, que nous attribuons volontiers a une philosophie naturelle longuement elaboree par des specialistes , eux-memes heritiers d’une tradition millenaire, se trouve tres exactement dans les sociates exotiques .<(59頁)
訳;これら全て(異種交信)について私達は、幾世代に渡り専門家が取り組み、彼らにしても千年もの先人の知識を受け継いで入念に練り上げられた自然哲学とすべきである。その哲学は明確に、西洋文明以外のあらゆる社会に見いだされる。
この論評にある「自然哲学」と上1~8を結びつけたい;
異種交信の背景説明とは;
1 形体の似通い。木の肌と鮭の肉身の色との共通性。赤い木肌を紅鮭、白は北極イワナなどと見比べたのかも知れない。植物家族では似通うところは多くはない植物を家族構成とした。これは動物の群れ(あるいは孤立)という形体を植物に応用したかと思われる。
2 動物と生活圏の結びつき。鷲と岩山、鶴と空など。
3 過去、出自からの類推。人はかつて動物と通婚していた。花は人の知らない神聖な役割がある。
4 非日常と日常の結びつき。穴に潜み鷲を狩る。また猟果を非日常の月経と結びつける。8の星占いは中世ヨーロッパなので「先住民」とは言い難いが「黄道12宮」なる日常からほど遠いモノを設定し人の未来、日常と結びつかせる。
8の異種交信の例を4に分類した。それらを統一する考え方は「モノとモノとの」繋がりです。これはいわば先住民の分類作業です。この基盤には具体科学の「モノ」思考が大きく影響している。
ブリコラージュの投稿でパワーポイント図(JPEG化した図)を添付したが、その中で「先住民のモノ思考とは限られた属性をかき集め、それらをして「本質」とするところにある」とした。本質と属性の区別を付けずに、ありきたりの知識をかき集め、それをそのモノ自体、本質としてしまう。近代科学の考え方は属性の追求であります。その究極に(相対性理論に王者の地位を譲ったが)ニュートンの万有引力、ダーウィン進化論、クリックらのDNAが位置する。
パワーポイント図を再掲する。
限られた範囲での知見を元に木の本質を木肌の色とし、それを鮭と先住民は比べた。自分たちが入植者よりもより良く知るという事実を出自に結びつけた。1~8これら全てが、属性を本質と見なしたモノとモノとの結びつきです。続く
1 Chaque animal ou plante est en correspondance avec un element naturel.
動物植物は自然の要素と交流する。例として鶴と空、赤い鳥と太陽、鷲と山、ハイタカと岩山などNavaho族(56頁)
2 木々と鮭、イヌイット 前出。
3 植物家族=必ずしも似通いのない植物が番いを持ち次世代を再生産する、Dogon族、前出。
4 動物が何をしたい、何が欲しいのか全て分かる、なぜなら人と動物はかつて親族関係を持っていた。ハワイ先住民、52頁。
5 どんな植物も人間の誰も知らない神聖な用途を持っている、大事に扱わなければならない。白人が野の花を採取する習慣を批判するOmaha族。59頁。
6 独自の鷲狩りの手法、穴を掘り人が潜む。上の筵に餌の肉片を置き、取りに来た鷲の足を掴む。この手法を超自然の動物から習った。狩りの技術とその由来に超自然を持ち込んでいる。北米Hidasta族、67頁。
この猟技法の特異性についてレヴィストロースは>le chasseur et le gibier y sont conjoins dans l’espace intermediare , tandis que la chasse aux aigles les disjoint en leur assignant des emplacements opposes :<と解説する。その意味は「狩人(弓)と獲物の間には、本来、空という介在物がある。よって狩りは宇宙論的に許可されているのだが、「穴狩り」には狩人は直接鷲を掴む、しかし人が穴に隠れることは、この狩り以外にはない、穴に落ちるのは狩られる動物である。狩人が穴に落ちた動物と化けることで、この狩りは宇宙的に許される。Hidasta族の狩りの起源をこのように解釈している。
7 猟の成果と狩人妻の月経との関係。多くの先住民では貧果に結びつけるがHidasta族は好猟をもたらすと信じられる。その理由は上記の特殊性にあるかも知れない。68頁。
8 中世の西欧、星占いでは7の植物を惑星に結びつけ、12の植物に黄道12宮との関連を与え36の植物を占いに紐つけしている。人の将来と宇宙には繋がりがあり、それを予告する植物。
この「異種交信」について著者は;
>Tout cela, que nous attribuons volontiers a une philosophie naturelle longuement elaboree par des specialistes , eux-memes heritiers d’une tradition millenaire, se trouve tres exactement dans les sociates exotiques .<(59頁)
訳;これら全て(異種交信)について私達は、幾世代に渡り専門家が取り組み、彼らにしても千年もの先人の知識を受け継いで入念に練り上げられた自然哲学とすべきである。その哲学は明確に、西洋文明以外のあらゆる社会に見いだされる。
この論評にある「自然哲学」と上1~8を結びつけたい;
異種交信の背景説明とは;
1 形体の似通い。木の肌と鮭の肉身の色との共通性。赤い木肌を紅鮭、白は北極イワナなどと見比べたのかも知れない。植物家族では似通うところは多くはない植物を家族構成とした。これは動物の群れ(あるいは孤立)という形体を植物に応用したかと思われる。
2 動物と生活圏の結びつき。鷲と岩山、鶴と空など。
3 過去、出自からの類推。人はかつて動物と通婚していた。花は人の知らない神聖な役割がある。
4 非日常と日常の結びつき。穴に潜み鷲を狩る。また猟果を非日常の月経と結びつける。8の星占いは中世ヨーロッパなので「先住民」とは言い難いが「黄道12宮」なる日常からほど遠いモノを設定し人の未来、日常と結びつかせる。
8の異種交信の例を4に分類した。それらを統一する考え方は「モノとモノとの」繋がりです。これはいわば先住民の分類作業です。この基盤には具体科学の「モノ」思考が大きく影響している。
ブリコラージュの投稿でパワーポイント図(JPEG化した図)を添付したが、その中で「先住民のモノ思考とは限られた属性をかき集め、それらをして「本質」とするところにある」とした。本質と属性の区別を付けずに、ありきたりの知識をかき集め、それをそのモノ自体、本質としてしまう。近代科学の考え方は属性の追求であります。その究極に(相対性理論に王者の地位を譲ったが)ニュートンの万有引力、ダーウィン進化論、クリックらのDNAが位置する。
パワーポイント図を再掲する。
限られた範囲での知見を元に木の本質を木肌の色とし、それを鮭と先住民は比べた。自分たちが入植者よりもより良く知るという事実を出自に結びつけた。1~8これら全てが、属性を本質と見なしたモノとモノとの結びつきです。続く