蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

野生の思考まとめ3  図の解説 了

2020年08月01日 | 小説
野生の思考と近代思考3の写真をご参照ください。


起源について図では野生は新石器革命時期、近代をコペルニクス以降とした。
C’est au neolithique que se confirme la meitrise des grands arts de la civilisation : poetrie , tissage, agriculture...文明のすばらしい技術が開花したのは新石器時期である。土器、織り、農耕など... (27頁)とあるから小筆が類推したのである。


モノ指向の具体思考はそれらのモノが発明された時期に始まった。実に1万2千年の歴史があったわけです。
この文の直前にparadoxe neolithique 置かれる新石器の逆説なる語に目が止まった。これについてなにやらかの説が定着しているかとWikiなどで調べたが出てこない。レヴィストロースの造語のようだ。

>le nom de paradoxe neolithique lui(science moderneのこと) conviendrait parfaitement. 新石器の逆説なる名称こそ近代科学にふさわしい(26頁)とある。解釈を試みると「1万2千年前に思考、科学、技術を生み出したがその後発展しなかった。近代科学の発生は幾百年前でしかないが、新石器(具体科学の)逆説である」。

逆説の意味合い, 全てが反対を受けとめてこの図をまとめた。

思想の欄;
具体思想はモノに執着する。モノとは外貌である。形態、色...(前回説明)。その形体が本質であるとする考え方です。というか本質と属性を分離させない思考です。本質ならば属性を引きずらず、自由に行動できる。本質の転移(transformation)、交流(correpondance)などの芸当が可能になります。

近代思考の基礎は属性の追求です。その源はデカルトにあり、カントは人の本質とその最大の属性「思考」を分離した。人本性とは別個の属性なる「思考」が宇宙の属性を考える自由を得た。小筆部族民は、本書を読みつつ、このように考えるに至りました。
地動説、万有引力、DNA、それと進化論ですが、これらは究極の属性を知ったという結果であります。

世界観;
枠内に書かれる字義の通りです。ここではトーテム的分類の鍵であるcorrespondance(異種交信)について説明する。近代科学的には同一ではあり得ないモノ同士に転移、交信があるとする考え方がこの意義です。前々回に説明したので一例を;木肌と鮭の肉身の色を見比べ、同じなので交流があるとするイヌイットの分類法。

モノへの執着と、属性を本質とする野生の思考が現れている。

哲学;
モノそのものを本質として、異形に移りのる。これが魔術の基本です、その理論は具体科学に端を発するとはこれまで説明してきた。一例、道真は死して恨みというモノに変わった。恨みが気象現象に乗りうつって、落雷を落とした。
近代哲学においては道真なるヒトは身体、頭脳、行動などの属性で規定される。それらが停止したら道真の本質も無に帰すと考える。

科学技術;
ここで寄せ集めブリコラージュが出てきます。
寄せ集める材料、工具はモノなので替えようがない。寸法、素材を削ったり叩いたりして規格を統一する考えをもてない。本質を寄せ集め別の本質に異形転移する、これがブリコラージュの原点です。

野生の思考の了

追記;神話4部作を読み、野生の思考、それと親族の基本構造を(かじり)読みすると、神話4部で先住民の心情、生活を語り、野生の思考では理性、基本構造で人間社会(humanite)を説いていたと知った。これらをまとめ、レヴィストロースの思想を全容として理解したい
思っている。時間がかかりそうだ。9月頃には第一報を出したいと願う。

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