鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

竹垣に桐図鐔 梅忠 Umetada Tsuba

2011-11-25 | 鍔の歴史
竹垣に桐図鐔 (鐔の歴史)


竹垣に桐図鐔 梅忠

 桃山時代に京都で隆盛した埋忠派は、後に各地に移住して栄えている。中でも江戸において活躍したのが江戸埋忠と呼ばれる一脈。埋忠派の系流だけあった文様表現を得意とし、独特の風情を漂わせる作を遺している。この鐔は、まさに信家の風合いを再現したものだが、信家には多くはみられない金布目象嵌をも加え、埋忠らしさも示している。鉄地を打ち返して地には鎚の痕跡を残し、鋤下彫でながれるような曲線的図案としている。意匠も優れているが、やはり鉄の地肌が示す独特の風合いがこの鐔の最大の魅力。83ミリ。