光化学スモッグ第一号？小学校の頃

　小学校の話の続きです。サッカーのお話はまた後程お話いたします。従兄弟からネタを仕入れてきます。帰塩したときに。
　さて、昭和48年夏休み。酔漢は塩竃市内小学校水泳大会に出場する代表に（クラス単位）選ばれておりました。種目は50ｍ自由形です。ちなみにこの時の自己ベストが46秒ですから、早くはありません。酔漢の息子は小学校6年で34秒前半で泳ぎます
（親馬鹿ブログ？ではないんだけどなぁ）
　さて、大会本番の日、８月の初めです。（確か８月８日だったと思いますが）
朝から暑い日だったのを覚えています。塩竃市市民プールへは、小学校からバスで移動でした。講堂（塩竃二小には体育館はありませんでした）に午前10時に集合でした。酔漢の家は学校と目と鼻の先。体育館へは、集合時間より早く着きました。
講堂の舞台に腰をかけて時間の来るのを待っていると。
「酔漢だいぶはえぇんでねぇかや」と松本君が入ってきました。
「別にやることねぇおん」
「でも郷右近（ごうこ）先生ならもう来たっていいちゃなや」
「んだなや」
それでも、誰かしら三々五々集まって来ました。
９時半をすぎたころ、進藤君が入って来ました。かなりあわてているようでした。
「今、消防署の放送聞いたが？」
「ここさいたおん、わかんねぇべっちゃ」
当時、塩竃消防署は今の七十七銀行のあった場所にありました。仙石線本塩釜駅の隣（昔のね）火の見やぐらがありました。放送はそこから流れてくるのでした。
「コウカガクスモッグって知ってか？」
「東京とかで流行っているやつだべ」
「ゴジラ対へドラで見たおんな」「んだあいづ、けっこうおもせかったなや」
「んで、その光化学スモッグ注意報が今塩竃で出たんだとや」
「なして？」「ほんとすか？」
「しっつ！今、何か、外で言ってぺ」
消防署の広報車でした。
「ただ今、塩竃市内で光化学スモッグ注意報が発令されました。みなさん、出来るだけ、外へは出ないで下さい。洗濯物は（これが不思議です、でも当時はそうでした）、早く取り込んで下さい」
たかし君が水飲み場へ走り出しました。「たかし、何しさいぐんだ？」
「最初に目が痛くなるって聞いたからっしゃ、目は洗いさいぐんだっちゃ」
「おれも」「おれも」水道に向う連中が大勢いました。
「何、騒いでんだ！」声と共に、郷右近先生が講堂に入って来ました。
みんながシーンとしました。
「今、消防からの放送聞こえてきたと思うけんど、塩竃市内さぁ光化学スモッグが発生したんだど。ほして、大会は今年中止さなったから。撮影が終わったら、全員解散。外で遊んだらダメだからな！」
「撮影？なんだべ。聞いてみっぺ」「先生撮影ってなにっしゃ？」
「光化学スモッグ注意報のニュースで、おめぇらば撮影すんだど。仙台放送っしゃ」
その話が終わるか否か、カメラマンが講堂に入って来ました。撮影はほんの数十分で終了しました。でも、ニュースとは言えテレビに写るかも知れないので、みんな大はしゃぎでした。実際、７時前の夜のニュース（ＪＯＯＸニュース）で、塩竃の光化学スモッグ注意報の事が流れました。
「東北初の光化学スモッグ注意報が今朝、塩竃市に出されました。国道45号線の渋滞と、今朝は気温が高いわりに、海風もなく、空気が塩竃海岸線あたりに留まった為だと思われます。市内小学校の水泳大会も急きょ中止になりました。」そして、映像。講堂に集まって、郷右近先生の話を聞く僕らが写り、なんと進藤君がアップで映されておりました。酔漢はほんのチョットだけ写っていました。それにしても、都会だけのものと思っていた公害がこんな田舎に発生するとは、思いもよりませんでした。東北初だもんね。

夏休みが、終わり、9月の半ば、エツジ（塩竃市立第二小学校5.6年時の担任）が「米沢真、ちょっと立て」と言いました。まじめなまこと君が、何したんだと誰もが思った時、「理科の自由研究が市の優秀賞になったど。みんなの前で何したんだか話してみろ」まこと君がしぶしぶ話し始めました。
「家近くの電信柱に生ゴム板をぶら下げて、それを顕微鏡で観察し、空気の汚れを観察しました、でも光化学スモッグがまさか起こるなんて知りませんでした」
（彼は関東埼玉からの転校生でした。絵が上手かった）
「ちょうど、光化学スモッグの日に観察していたらしぐてなぁ、それも評価されたんだとや」とエツジが続けて話しました。
それにしても、タイミングがいいなぁと酔漢は今でも思うのでした。

あの日、塩竃市上空を一瞬、ヘドラが通過した？そう思うこの頃です。