酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

Say it ain't so Lance !

2012-10-24 10:06:32 | 自転車の話
「ブラックソックス事件」
この歴史は今だメジャーリーグの恥部として語られます。
「ジョー・ジャクソン」は、「八百長」主犯格としてそのメジャーの歴史に名前を挙げております。
彼の成績は物凄い。
その生涯打率3.75の驚異的な数値は彼の非凡さを物語るものだと思います。
「実際彼が八百長に関与していたかどうか」
彼が法廷での証言を終え、その法廷で待っていた少年に声をかけられております。
"Say it ain't so Joe!"「嘘だと言ってくれよ!ジョー!」
彼は、「どうやら本当らしい」と答えていたとか。
実際のところこれは「新聞記者のねつ造」とも伝えられております。

この「くだまき」はこの事件を語るものではございません。
そして、この子供の言葉を検証するものではございません。
ですが、次男は今朝の新聞を読んで、はっきり口に出してこう言ったのでした。

「おい!ランス!嘘なんだろ?」

子供と趣味が一緒なのは正直嬉しい気持ちです。
長男とは「野球の話」を次男とは「自転車=ロードバイクの話」をよくします。
酔漢が、過去の「ツール・ド・フランス」や「ジロ・デ・イタリア」の話をいたしますと、必ず彼は「でもよ、親父。ランス・アームストロングに叶う奴はこれまでも存在しないし、これからも存在しないんじゃない」と答えます。
これは、家の親父が「与那嶺」や「青田」の話をよく聞かせてくれてたのに似ております。
自身が少年時代に出逢ったスーパースターはそれこそ永遠なのです。
理屈ではないわけです。
(話は代わりますが、フェデラーとマッケンローがテニスをしたら・・・僕は迷わずマックに賭けてます・・・無理は承知なんですが・・)
「確かにランスの実力は凄い。だが、やはり『エディ・メルクス』には敵わない!断言する」
「親父、ランスの走りは究極のオールラウンダーだと思う」
成績を比較致します。

エディ・メルクス
ジロ優勝5回。ツール優勝5回。ブエルタ優勝1回。左記、3代ツール通算11回。1974年のシーズンにはジロとツールとのダブル優勝。ツールに於いてマイヨ・ジョーヌ着用日数96日は、ツール史上最高です。
「エディ・メルクス」は「ファウスト・コッピ」と並んで「カンピオニッシモ」(チャンピオンの中のチャンピオン)の称号を与えられております。
しかも、エディはロードばかりではなくトラックでも連覇の記録があること。
マラソンランナーが中距離でも優勝してしまう。同列には比較できませんが、これぐらいの実績があるわけです。

ランス・アームストロング
ツール7勝。これは凄い。
上記のエディ・メルクスとランス・アームストロングの他、ツールを5度以上の優勝者は「ジャック・アンクティル」(57。61~64年)ベルナール・イノー(78~79。81~82。85年)
ミゲル・インドゥライン(91~95完全連覇)しかおりません。
全盛期の頃、癌であることを発表しております。そして自身の余命がわずかであることも発表しております。
これは、(これから語りますが)今回のドーピングでの処分(以前から相当の疑惑はありました)以前。病魔との闘いは本当の事であって、それがなければ、ツール限定だけの選手ではなかったと。これは酔漢の視点でございます。
何せ、次男が自転車競技に触れた頃が全盛期でしたから、最初に覚えた「ロード競技の選手」となった訳です。
これは世界中に言えることだと思います。

単純に比較をいたしました。
酔漢に取ってのエディは、次男に取ってのランスに同様なのだと思います。
ですから、今回の「全ての記録剥奪」の公式発表は、彼にとっては衝撃なのだと思います。



映像はエディ・メルクス。
本当に酔漢に取っては伝説中の伝説のアスリートなのです。

まだ、ツール・ド・フランスの経過が報道されない時代。
酔漢が中学生。
仙台は「山口屋」へ毎日通っておりました。
そこには、「ツール速報」として一枚のファックスが掲示されておりました。
前々日に行われたステージ事の成績が掲示されます。
今でこそ、「3日も経ってから」なのですが、これが仙台で得る情報の一番早いもの。
エディの名前を探します。
1975年のツール。「大本命エディ落車」の文字が目に入りました。
僕らは驚愕。
詳細はそれしか入ってこないわけです。
「何でも、観客から腹なぐられたみてぇだど」とはツール通の常連。
「なしてっしゃ!」としか声が出ません。
結局、前年はチームの運び屋だった「ベルナール・デブネ」が優勝致します。
その後、「ベルナール・イノー」の連覇。
NHKが主要なステージを放送した1983年は「フィニヨン」が連覇。
この頃から「ツール・ド・フランス」の記事が一般紙のスポーツ欄にもみられるようになりました。
1986年には「グレッグ・レモン」がアメリカ人として初制覇。
「ミゲール・インデュラン」がスペイン人として久しぶりの連覇となり、「ランス・アームストロング」の時代に入ります。

僕らの時代、ヨーロッパのロードバイクは憧れの的。
部品にしても「カンパニョーロ」だけが、一流の証。もう心棒者と言ってもいいくらいの世代。
しかし、次男はアメリカ製「トレック」に跨り、その部品は「シマノ」。
時代が変わっております。
どうしても、「カンパニョーロ、ディレイラー(変速機)の縦型」に憧れておりましたし、これが最高の頭があるわけです。
「シマノ」が頑なに「横置きディレイラー」にこだわり続け、これが「物理的、力学的に理にかなっている」と頭で解っていても、それに「美しさがない」と言った感じです。
(もう頭が固くなっております・・・・)
ですから、(話は部品の事になりますが)カンパが新モデルで「横置き」を発表したときの衝撃は大きかった。
次男は最初から「アルミフレーム」「シマノ」には抵抗が全くなく。
と言うよりは、「シマノ最高!」と話しております。
「もう俺日本人で日本に住んでいて良かったぁぁ」とも話ます。
「親父、カンパを崇め奉るのは親父の証拠だ」とも言われます。
(ああそうですよ!どうせ俺はカンパ最高の時代に生きてきた化石人間さ!)
ですから、彼の愛車はトレックの入門用ロードバイクなのです。

「サングラス欲しいんだよなぁ」
彼は、最近、ものをねだる時は親ではなくて「兄貴」(長男)に頼ります。
「しょうがねぇなぁ」と彼へのプレゼントは、「ランス・アームストロングモデル」のそれ。
「にあわねぇなぁ!!」と周りからブーイング。
「ランスと同じサングラスで自転車に乗る。もう気分、最高!」と大事に使っております。

さて、今朝の読売新聞の論説。
試験真っ最中の彼ですが、それを読んでいる様子。
内容は「ランス・アームストロングのドーピング疑惑が事実であり、それが史上最も悪質なものである」というもの。
その内容は、酔漢自身でも信じられないものでした。
読売新聞社編集委員「結城和香子氏」が論じたその記事。

「自転車界にはもはや、アームストロングの居場所はない」。国際自転車競技連合(UCI)のマクウェイド会長は22日の記者会見で、強い表現でその処分確定を発表した。99年から2005年までのツールは、「優勝者なし」として扱われる異例の事態となる。
(中略)USADAのタイガード会長が「スポーツ史上最も高度・専門的で成果を上げた、計画的ドーピングと呼ぶ、衝撃的な内容が明るみに出た。


内容の詳細は、「くだまき」で語るには大きすぎてここでは控えます。
このレポートの詳細は1000ページにもわたり、生理学的見地またはそれを取り巻く、関わったすべての人物、選手の実名が公開されております。
そしてこの記事はスポーツ界全体の問題であり、「対岸の火事ではない」と結論を結んでおります。
自転車競技だけではなく、アマチュア、プロ含めてのドーピング疑惑。
後を絶ちません。いたちごっこの様相も見せております。
ですが、選手諸君へは、「違法を駆使して勝利を得ても、歴史はそうは見ない」という事を肝に銘じて戦って頂きたいのです。
コンプライアンスを順守することこそ、例え敗れる結果となっても、人々はその闘志は永遠い語りたいと思うものです。
ランス・アームストロングの取った行動は甚だ残念でなりません。

「おい、お前はどう思うんだ?」
「ランスはランスだよ。それでも俺の中では最高の選手なんだ。親父。あの走りは忘れない」
記録は全て抹消されても、彼の心の中には生き続けるのでしょう。
「ドーピング問題は?」
「許せないね!!当然・・・」
最後に口ごもった彼。
彼の表情は、応援し続けた選手に裏切られた思いがこもっておりました。
そして、世界中にどれだけ、そうした思いを持った人々がいるという事をランス・アームストロングは重く受け止めてもらいたい。
親としては、こう思わらざるを得ません。
「アルベルト・コンタドール」彼もドーピング疑惑から優勝を剥奪されております。
名声を得る為に手段を択ばない風潮があるのでしょうか。
徹底して疑惑を追及し、二度とこういう事態を招かないような仕組みづくりが急務なのです。

「2013年、来年のツールだよなぁ、『アンディ』(アンディ・シュレク)の山登り、復活だね。兄弟での1・2が見てみたいな」
気を取り直したように学校へ向かった次男でございます。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« それでも僕は、奴を天才だと... | トップ | お好み焼きの味 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (見張り員)
2012-10-24 20:37:48
私は正直ツールドフランスに関しては全くわかりません。が、酔漢さんとご子息が熱くなられるそのレースのヒーロー的選手のドーポング疑惑は残念ですね。
スポーツの世界にはどうしてこれがはびこるのか?やはりそれは「記録」を伸ばしたいの一心からなのでしょうが、それが発覚した時、今までの栄光がはく奪され多くのファンをがっかりさせるということを選手は--どの競技であっても--肝に銘じて試合に臨んでほしいものです。
かつてーーベン・ジョンソンのドーピングで大変がっかりした経験から・・・。
返信する
見張員さんへ (酔漢です)
2012-10-26 19:13:35
コメント遅れました。ごめんなさい。
一流の選手はどんな競技でも「子供達のあこがれ」なんですよね。
ですから、次男の気持ちを考えますと、アームストロングの取った行動には協会も考えて対処したのだと思います。
歴史の長いツールですから、世界中でその影響もでるのだと思います。
ツール・ド・フランス。
世界で一番観客の多い(沿道のギャラリーなのですが)プロ競技なのでした。
返信する
「嘘だと言ってくれよ!ランス!」 (阿部昌彦)
2012-10-27 21:52:32
お久しぶりです。
まさかこの記事に俺からのコメントがあるとは予想外だったでしょうが、偶にはしゃべってみようかと…
タイトルどおりの気持ちではありますが、視点は師匠とは一寸違います。
それは「調査機関側に本当に『正義』はあるのか?」…の一点につきますね。
コンタドール、ランス、シュレク兄…自転車界の「ヒーロー」が軒並み狙い撃ち…何か作為的なモノを感じてしまいます。
流石に調査機関側の「捏造」まで言う気はありませんが、復帰直後のコンタドールはブエルタ優勝、クスリで体を造ってた人間にできる快挙ではない…ってのもありますからね。
今はただ、”鉄人”ランスの今後の動向が心配ですね。
…トライアスロン界への復帰も難しそうだしなぁ…
返信する
まさひこさんへ (酔漢です)
2012-10-29 00:01:17
ご無沙汰いたしております。
やはり貴殿は気づいておりましたか。
コンタドールの一件で、エディ・メルクスが擁護するような発言をしてますし、アームストロングのときも同様でした。
考えられるのは、ドーピングが過去から恒常的に行われていたということと、逆の見方をすれば協会がやっきになっている(なりすぎている)と言う見方。
コンタドールは徹底抗戦してますし・・・。
ですが、ジャッジが覆されることはありません。
アームストロングは自身の病気もありますし。
何とも言えない思いです。

ところで、みなさんお元気?
返信する

コメントを投稿

自転車の話」カテゴリの最新記事