酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

自転車 一考察

2011-10-25 10:01:30 | 自転車の話
トラックを走る技術と体力と脚力を持ち合わせていないものの、「トラックを走ってみたい」という気持ちはございました。
一度、東北高校自転車部の友人に頼んで、トラックを走ることに。
「間違っても、バンク上がろうなんて考えるなよ!」とは彼の忠告。
実際、トラック仕様の自転車に乗るのは初めてでした。
「少しは上がれんでねぇかや!」と考えていたのは、大間違い。
回り全部がコンクリートの壁に見えて、斜度30度近くあるコンクリートの坂道は、自分に襲ってくる山のように見えます。
トラックの下には、平坦な箇所があって、その白線の内側を走っております。
ですが、物凄く緊張しました。
何もかも、ロードレーサーとは違っておりました。
自転車の構造、回りの感覚、脚力の使い方、などなど・・。
流石に、トラック競技は、「それ専門に勉強しなければ乗りこなすことはできない」
これが分かっただけでも、貴重な体験が出来ました。

中野浩一さんがプロスプリントで10連覇を果たしました。スプリント競技は、レースの半分が「駆け引き」です。
バンクの真ん中でスタンディングが出来なければ話にならない競技です。
「勝負勘」「駆け引きの読み」そして「足の大爆発」が揃いませんと勝ち続けることはできません。
当時、アマチュアは別の大会がありまして、タイム的には、当時一流のアマチュア選手は、おそらくいっぱしのプロ選手より早かったのではないか。
こう考えてもしまいますが(ちなみにもし、モスクワオリンピックに参加していれば「長 義和」選手は間違いなくメダルを取っていたかと・・)、中野選手の連覇は、
燦然と輝く金字塔には違いないのです。

誰が言ったのか記憶がないのですが。
「トラックを走るなんて暴挙は僕にはできない」
ある一流のロードレーサーの言葉です。
「どうして?」と聞く記者の質問に対して。
「目の前が真っ白の世界に突っ込んでいくような感覚と・・何せ自転車にブレーキがない。こいつが一番怖い」
これは、本音だと思います。
ピスト用の自転車はギアの遊びがありません。
ブレーキがないという表現をいたしましたが、ギアを逆回転させれば自転車の制動にはなります。
このタイミングは非常に難しい。
当時は、ピスト用はギアは非常に高くて、初心者用でも52対12位です(前輪歯車が52枚で後輪が12枚)。
これを、逆回転させるには、相当の脚力を要します。
「スタンディング(自転車に乗ったまま止まる技術)が出来なければ公道は走れない(実際は微妙に動かしていなければ物理的に自転車は倒れます。それと公道としましたが、現道交法でも無理です)」
これは、ピストに乗る為の最低限が条件となります。
「ロードでの練習は嫌だなぁ。できればあまり走りたくない」

以前、ご紹介いたしました「サイスポの表紙」です。上段左より二番目。中野浩一さんです。
ロードバイクでの練習です。
中野選手、この練習が嫌いなようでした。
その理由です。
「一番はブレーキ。どうしても、手が先に行かない。足を逆転させてしまう。そうすると、足が空回りするんだ。なにせ、道路の情報を読み取るのに頭を使う。道の状態。風の状態。走っている自動車の走行状況などなど・・・走っていて、やたら怖い」
これも、本音だと思います。
全く、話が変わりますが。
スキー競技でアルペンとノルディックがありますが、「ダウンヒルなんてやる奴は命知らずだ」とジャンプの選手が話せば、「空中から落ちる競技なんて怖くて出来るか」とダウンヒルの選手が話す。
これと同じだと思うのです。

ロードバイク競技に参加しますと、ブレーキの掛け処というのがありまして、その指先加減で勝負が分かれることがございます。
主は、前輪をかけるのが常道なのですが、下りのカーブ、酔漢の場合、効き目が右目なので右回りのカーブの時などは、後ろブレーキを早めに少しだけかけます。
速度は左程落ちませんが、このタイミングでカーブ先の状況を読み取る時間と、苦手な右回りカーブへの入りがスムースに行えます。
より速く走る為にはブレーキが必要なのです。
両手でブレーキをコントロールしながら、足はしっかりペダルを回している。
両手両足を駆使してのレースになります。
しかも、適切なギア比を選択しなくてはならず、頭に入れた情報と自身の技術、体力などを計りに掛けながらのレース展開となります。
「ピストはバンクを走っていればいいからなぁぁ」
とは、トラック野郎(トラックレーサー)達の本音だと思います。

ブレーキ無しのピスト自転車が巷で流行し、それに関わる事故も急増しております。
ピスト自転車そのものは、現行交通法で認められていない以上、公道を走るべきではないと考えます。
ですが、どう見ても、技術が未熟のままピストを走らせている若者が多いことに気づきます。
酔漢にしますれば、「ピスト用はロードバイクより速く走ることが出来る」というのは大きな誤解だと思うのです。
一般道路では明らかにロードバイクの方が速い。
スタンディングができるような上級者でない以上、公道を走る事はお止めになってはいかがであろうか。
自転車に乗っていて、「あらゆる危険な状況にさらされた経験のある」酔漢です。
ご自身で「怖い思い」を一度でもしたならば、(ピストを公道で走らせている以上、経験をするのは時間の問題だと考えるが・・)制動装置の付いた自転車を選択すべきだと。

車と違って、自転車の違反には、点数制がなく、違反し人身事故を発生させますと、「即、現行犯」となり「前科」が付きます。
こう言った教育も必要ではないか。
日本の道路事情の不備とも合わせて考えてしまいます。

最近、自転車を走らせておりまして、回りの車以上に、回りの自転車に気をつけている。そんな事が多くなったような気がします。
先だって、藤沢市内を走行中。横断歩道で停車してましたら、止まっている酔漢のロードバイクにママチャリが接触しました。
「あんた、何やってのよ!危ないじゃないの!自転車って右側通行だって知ってんの!」
と接触された酔漢に対して、こう言い残して去って行った「おばさま」がお一人おりました。

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4 コメント

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Unknown (クリス)
2011-10-25 23:33:33
最後のあたり…失礼ながら笑ってもよろしいですよね?(微笑)


何度かネタにしていますように、当方自転車族でございますが、かように非常識な話は聞き覚えがございませぬ。

わたくし、小学校の交通安全教室で散々、
『歩行者は右!自転車は左!』と叩き込まれて育ったものですが、自身の無知を正当化して我が物顔で公道を走る傍若無人なママチャリには、それこそ散々苦しめられました。
こんな親が育てた子供ですもの、右通行で並走で無灯火(←全て道交法違反)でも、悪気なく走り続けますよね。
いつか事故ってから目が覚めるならともかく、後悔した時には多分三途の川の向こう岸でしょうけど。


先日、警視庁が、自転車の歩道走行全面禁止のようなニュースがありましたが、その「おばさま」は、車道も逆走なさるおつもりですかねぇ。
一応免許持ち(←ゴールデンペーパードライバー)ですから、二輪車には大変注意を払う必要があると分かっているつもりですが、自分が自転車を漕いでいる時に感じる車からの無言の圧力は半端ではありません。
両側にブロック塀があり、道幅も狭く、しかもカーブしていて死角だらけの道で、猛スピードのトラックから幅寄せされた時は、さすがにあの時は、身の危険どころか本気で死ぬかと思いました…orz
ちなみに、トラック以外にも、ミニバン、大型ダンプなどのバリエーションもございます。


嗚呼、慎重に生きよう…。

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クリス様へ (酔漢です)
2011-10-26 09:43:40
おっしゃる通りだと思います。
例えば、認可されたとはいえ、「子供を乗せた自転車」はトップヘビーには変わりなく、いつ転倒するのかと、気が気でなりません。
私は、時速30km位で、公道(車道)を走りますが、おそらく1分に1回の割合で後ろを振り返っていると思います。不安でしょうがないからです。
命が危なかったと思う経験だけは人に負けません?信じられないような現象も、長距離ではあるわけです。
一番の恐怖は「5mも飛んでいた」ことですが、(ETの映画のような感じ・・)もし、横風が吹いていたら、トラックにはねられていたのは必至でした。
これは極例ですが、自転車の教育はもっと真剣に行っていただきたいものです。
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Unknown (なべさん)
2011-11-12 15:17:39
う~ん、笑っていいんですよね最後・・・自転車は右と思ってる人いるんですねえ。じゃないかとは思ってたけど。
私もロードとランドナーを所持してます。その昔、車の上に自転車積んでたら若い女の子にゆびさされて笑われた事あったなあ。時代に先行しすぎたようですw今では普通ですが

一番怖かったのは・・・
坂道を下っていたときに軽に横から飛び出されブレーキかけたらタイアが変形してしまったこと。力いっぱいブレーキかけた(^_^;)タイアはずれなくてよかったw
その軽のおばさん、目の前をそのまま脇道から出てきて行っっちゃいました。
自転車の速さがわかんないんでしょうね。
ちなみにその場でタイアは交換と相成りました。変形したのは使い物になりませんでした。
ロードのチューブラータイア高いんだぞ(T_T)ゴラア!

それからやはり下り坂で目の前に車が斜行して急に止まり、ブレーキが間に合わず追突・・・ 
で警察に来てもらったら、警官いわく「北海道では自転車は歩道を走ることになってる」と言われて修理代を払わされた昭和55年・・・ あれはなんだったのだ?

最近は自転車道路を主に走ってますが、マナーの悪い自転車や歩行者の多いこと(T_T) やになっちゃう
まあ、安全に行きましょう。
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なべ様へ (酔漢です)
2011-11-15 07:23:48
タイヤが外れなくて良かったです。
あれは恐怖でした。チューブラータイヤをリムに取り付けて、ジオメトリーが狂うこたがあれば、一大事ですから、かなり気をつけました。
高かったなぁ。今のWOは楽ですよね。
本当に安全に!何よりですね。
長いトンネルで、トラックにあおられて、自転車が空中走行。
一番の恐怖でした。
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