酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

仙台与太郎物語 スチャラカチャン 前編

2008-12-15 10:21:15 | 落語の話?
「どうしたんだいはっつあん?朝から大変なご立腹だな」
「ご立腹だと!言いやがったなコンチクショウ。やい!ゆんべのコレ(小指を立てる)あれはどっから引っ張って(しっぱって)きやがったんだ。おい!いい女じゃねぇか。先生普段からなんって言ってるんだい?『あたしゃ聖人だから婦人はすかん。釣が何よりの道楽じゃ』だと? やい!ゆんべの女。ありゃどっからしっぱってきやがった!白状しやがれぇぇぇ」
「ゆんべのこれと言われてもな、とんと覚えがない」
「とぼけやがったな!なんなら証拠見せてやるよ!後ろの壁ぇみやがれ!」
「また、大きな穴開けやがったな。お前だな。どうしてそうよからぬ事をする」
「したくもなるよ、なんだったらおせぇてやらぁ・・・」

すみません。全部書くとなりますと、大変な時間を使います。
「野晒し」という落語の最初の場面です。
このながれ「立川談志」師匠のものです。師匠のあのすこしかすれ気味の独特な声色を思い浮かべて下さい。

「今度の日立での発表会。あん好先輩は何やるかきめたんですか」
「からすは何やったのっしゃ?」
「月並みです『寿限無』です。先輩は寿限無やった事あんのすか?」
「小学校の頃だべ。クリスマス会だったかでやったっちゃ」
「小学生で?」
「親父のレコード(東宝名人会LP版)聞いてたからっしゃ。んで何やっかだっちゃなや『野晒し』さぁすっぺと思ってんのっしゃ」
「野晒し?どんな噺すか?」
「まぁ一回やってみっちゃ・・・んでも、だれかおせぇてける人いんのすか?」
「東北大学落研の人が来るのっしゃ。それから時たま、弥舞先輩(東北学院大学落研)も来てけんのっしゃ」

「じゃが、この話しをすると、ちと怪談じみるがな」
「かいだん?どこにそんな階段があるんです?」
「その階段じゃぁない!こっちの(幽霊のように両手を垂れる)怪談じゃ」
幽霊のような格好をして
「こっちの怪談?・・・・・・・・俺ぇ 苦手なんだよ  先生・・・」
「ここまで話しをしたんだから、最後まで聞きなさい。わしはな、昨日、向島へ釣へ出かけた・・・」
最所は、意気込んで、先生に対して強気でいた八っつあんも、怪談話を先生が始めるあたりからとたんに弱気になります。この噺、この先生の怪談話を聞かせるところが前半の山場となります。細かい神経を使いながら話を進めるわけです。

「釣りへ行ったはいいが、全く釣れない。周りに釣り師は二、三人おったが、ついにわし一人となる。今日は、釣れない日だと思って、諦めて竿をしまいにかかったところ。ふと生暖かい風がひゅーひゅーと吹いてきたかと思ったら、回りの葦が急にザワザワザワザワ・・・・・と、音を経てている」
「な・なんだよおい!雲行きが怪しくなりやがってきやがったなぁ・・おい!・・
(生唾をのむような表情)そ、それからどうしたんだよ・・先生・・」
「風がヒュー、葦がザワザワ・・・・・・・と思ったとたん・・・・バッツばっつばっつ・・・と(驚かすように、急に大声を挙げて・・)」
「うわぁぁぁぁ 先生!先生なんすか?急に驚かさないでくださいよぉぉぉ」
「葦の陰から羽ばたきいでたる鳥がおる。からすじゃ」
「なんだ、からすか!そんな脅かさないでくださいよ」
「いやな八っつあん。普段からすはおらんのじゃて、おかしいと思い、からすの飛び出たところへ葦を掻き分け行ってみると・・・・・あったのじゃ・・」
「何がです?」
「屍(しかばね)じゃ」
「鹿骨(しかほね)か」
「何言ってるんだい。人骨しゃれこうべ!」
笑いながら「なぁぁんだ『しゃれこうべ』か、先生脅かしやがって。で『しゃれこうべ』ってなんです?」
「わからん奴じゃやな骸骨じゃ!」
「へっつ!げぇこぉつぅ!       さよなら・・」
「おいおい、帰るやつがおるか。まだ話しは途中じゃ!」

「あん好さん、この辺りはね。先生が、八をからかっているんだよね。最所は強気で先生に怒鳴り込んだ八がさぁ。怪談話しで怖気づく。そのギャップが面白いんだよ。伸べたんにやってる・・メリハリが表情にでないと、後の『落』まで続かないんだよ。本当に大事なところなんだから、もっと丁寧にやらないと」
もう一時間以上、座りっぱなしです。もう足の感覚も麻痺しております。

「わしは、このようなところに骨をさらしているものは、浮かばれなかろうと回向をして、手元に残っていた酒を骨にかけてやる。気のせいか骨が赤みを帯びたようにみぇた。家に帰り、寝ておると夜中じゃ。戸を叩く音がする『何ようか』と問うと女の声で『向島からまいりました』と申すではないか。妖怪の類でも来たか!と思い長押に掛かっておった槍をてに取ると玄関先までつかつかつかつか・・と・」
「おいおいおい!なんだその『つかつかつか』って、先生とこ、なんだぁ『つかつ』で、表通りからはみ出てしまうんじゃ・・」
「話しの流れじゃ。まぁ聞きなさい!  ガラリ! 玄関の戸を開けると・・
ゆんべの女が立っているではないか・・『私は昨日向島で屍をさらしておりました者。あなたの功徳のおかげで成仏する事だ出来ました。お礼に参じました。おみ足なりともさすりましょう』とこう言う。すげなく返すのもなんとやら。言われるがまま足をさすらせ、肩をもませてやった・・・ここまで話すと分かると思うが。ゆんべの女。あれは、この世のものじゃぁない!」
「この世のものじゃぁねぇって?じゃぁあの世のもの・・」
「あの世のものってぇわけでもない・・が・・あれはな幽霊だ!」
「幽霊ってこれですかい」(幽霊の格好をする)
「そうじゃ。これじゃ」(幽霊の格好をする)
「なぁぁぁんだ幽霊か!だったらそうと先に言ってくれよ!それにしてもいい女じゃねぇですかい!そうか。そうか幽霊か。『幽ちゃん』じゃねぇですか。幽霊だってなんだっていいんだよ先生!その幽霊の釣り方おせぇてくんねぇ!」
「教えろ!たってあれは釣れるもんじゃない・・」
「何を!てめぇだけいい思いしやがって!俺にだけおせぇねぇとはどういうこったい!いい加減に白状しやがれ!」
「だからな、あれは釣れるもんじゃな・・い・・と。おいおいそれはわしの釣竿じゃ。何をするんじゃ。それを持っていかれてはわしの釣竿がなくなるって・・」
「何言ってやがんでぇ!借りてくヨ!」
奴さん先生の釣竿を勝手に借りてくてぇと、ピューって向島へやってまいります。

「野晒し」前半部分です。

「あん好さん。外と中。上下の切り方の『間』が難しいんですよ。前半部分だけで、計4回も変わるんですから。。一回間違いかけましたけど。注意して下さい」
とのご指摘。この『間』はとてもむずかしい。実感しました。

八っつあん。釣り場での行動が非常に異常で面白い。この噺のクライマックスへ次回は進みます。
お後がよろしいようで・・

追伸。もしかしたら ひー様は携帯でご覧くださったのかも・・・
長くてすみません。ご容赦くださいませ・・。→新海亭あん好 拝

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8 コメント

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眠い (ひー)
2008-12-20 01:05:34
今から仮眠です。
頭痛も治ったようです。
明日帰ったらよみままーす。
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頂上決戦! (クロンシュタット)
2008-12-18 06:06:57
「頂上」は、住友商事の子会社ゆえか、どこか「余裕がありげな思考」に基づいて店内レイアウトを考えていたような気がします。
「冒険」なり「遊び」なりを、常に試しているような・・・

でも、担当部署のの趣味?で、冷蔵ケース(主に中野冷機さん)のカラーを、赤系にしたり緑系にしたりと、新規店舗ごとにマチマチだったことがありました。
販促物担当の私は、そのたびにオープニング用の印刷物のカラー変更で、てんてこ舞いでした。

小話を。アソウ総理が先日現れたスーパーは、高田馬場駅前の三徳さんです。
従業員との会話の相手は、パートの方でしたがね。
で、あのサイトは「頂上」がツバをつけていたのですが、敷地が狭く、断念した物件でした。
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落語好きなお子様ですか (酔漢です )
2008-12-18 05:10:40
ばるえ様へ
高座名あるのでしょうか?
ぐずら様も落語がお好きでいらっしゃるのですか。是非コメントを拝聴したいものです。
また来てくださいネ。
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鹿骨のお店ですね (酔漢です )
2008-12-18 05:08:55
クロンシュタット様へ
見学させていただきました。
「頂上」はレイアウトが意外に斬新だったりいたします。正直「なして?」と思うところがありました。IYやEONにもない個性がありますよね。
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本当ならば・・ (酔漢です )
2008-12-18 05:06:19
ひー様へ
ぐずら様との飲み会に、参加させていただきたいのでした。
話しが面白そう>機会がありますれば・・
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おはようございます (ぱるえ)
2008-12-17 09:05:27
昔の職場でアマチュアの落語家の方がいましたよ!
本職の落語家さんたちと親交があり、彼らを招いてお住まいの町内会で寄席を開いていました。
私も一回だけお邪魔したことがあります。
お名前は忘れてしまいましたが、さすがプロだなと感心しました。
集会所の一室でたくさんの人が集まって、みんなで大笑い。笑いっていいなぁ~って思いました。
ぐずらも落語が好きなんですよ~
昨年学校のお祭りで長女が落語をすると言った時には遺伝だと思いました!
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向島は・・・ (クロンシュタット)
2008-12-16 06:16:00
向島は、もちろん百花園や言問団子が有名です。
野草好きの私は何度か訪れたことがあります。
お団子も、なかなかなお値段ですが、おいしくいただきました。
でも、「鉄」にとっては東武の鉄道博物館ですね。
シティラビット君にはおなじみの場所かもしれません。
案外、大人も楽しめるような展示もありまして、酔漢さんもたまには「鉄」の雰囲気でも・・・

江戸川区の鹿骨。あそこのそばに新店がオープンした頃、「頂上」を退社したのです。
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今日は休みですよ。 (ひー)
2008-12-15 10:54:04
今日は休みですが、ぐずらさん達と飲み会です。
さっきから、チョット頭痛が・・・・
だから明日は、日中休みを取りまして、夕方から仕事です。
落語!面白いですね~
何だったら、全部書いてもいいですよ。
後半楽しみにしてます。
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