重たいテーマではありますが 考えさせられる点が多かったので 放送大学の「今日のメンタルヘルス」
(主任講師:石丸昌彦教授)の 「最終章(第15章)自殺とその予防」から印象的なものを引用します。
*自殺を理解する重要なキーワードは「孤立」である。
*自殺というと、一般には自由意志に基づいて選択された死であるという考え方が
強いが、実際には、さまざまな問題を抱えた末の「強制された死」である。
*自殺はたったひとつの原因だけで説明できるほど単純な現象ではない。ストレス、
精神疾患、衝動性のコントロールの障害、身近な人の死、問題解決の幅が狭い
といった性格傾向などが、複雑に絡み合って、自殺を引き起こす下地がしばしば
長年かかって出来上がっている。
*自殺の危険の高い人は「しんでしまいたい、今すぐに楽になりたい」という気持ちと
「助けてほしい。生きていたい」という気持ちの間を、最後まで激しく揺れ動いている。
そして次に挙げるような共通の心理が認められる。
①極度の孤立感・絶望感
②無価値観
③強度の怒り
④窮状が永遠に続くという確信
⑤心理的視野狭窄
⑥諦め
⑦全能の幻想
(自殺は自分が今できる唯一の残された行為だと思い込む)
*自殺の危険の高い人への対応
(1)TALKの原則
(カナダで自殺予防活動を実施しているグループがまとめたもの)
・Tell:相手のことを心配しているとはっきりと言葉に出して伝える。
・Ask:自殺の危険を感じているならば、その点について質問する。
真剣に対応するのであれば、自殺を話題にしても危険ではない。
むしろそれは自殺予防の第一歩になる。
・Listen:傾聴である。励まそう、助言しよう、叱ろうなどと考えたりする
かもしれない。しかし、まずしなければならないのは徹底的に聴き役
に徹することである。
・Keep safe:危険だと思ったら、その人をひとりにしてはならない。安全を
確保したうえで、周りの人々からの協力も得て、必要な対処をする。はっ
霧と自殺を口にしたり、自分の体を傷つけたりする行為に及んだ人につ
いては、確実に精神科受診につなげる。