TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

大家さんと僕 これから

2019年10月11日 | 読書日記

大家さんと僕 これから 矢部太郎 著 新潮社

『大家さんと僕』の完結編。完結編も4コマ漫画で、大家さんと矢部さんの漫才のようないつもオチがある掛け合いが楽しく描かれていました。この本の中で、私が好きだなあと思った箇所がいくつかありました。一つ目は、大家さんがいつも矢部さんに会ったら「ごきげんよう。」と挨拶をされるので、どう返事したらいいかわからなかった矢部さんが調べた結果、「ごきげんよう。」とお返しの挨拶をしたらいいということがわかり、実践しようとして身構えていたら、大家さんは「ごきげんよう。」と挨拶されずに、中国語の番組に出ておられた矢部さんの影響か、「ニーハオ。」と挨拶されたときのくだりです。矢部さんのリアクションはどんなのだったのかなと想像したらホントにおもしろいなあと思いました。二つ目は、大家さんに猫の柄のカップをプレゼントされたら、矢部さんからもらわれたものを全部飾ってありますというくだりです。矢部さんの写真と一緒に矢部さんにそれまでにもらわれたプレゼントが大家さんの部屋の家具の上に大切に飾ってあって、矢部さん曰く、「亡くなってるぽい。」と書かれていたのには思わず笑ってしまいました。三っ目は、二日に一度、大家さんと年齢が近い同じ方がおられる美容室で、洗髪されておられるときのくだりです。洗髪中、気持ちが良すぎて寝てしまうことが多いということで、洗髪されていた美容室の方も洗髪をしてもらっていた大家さんのお二人ともが寝てしまっていたと描かれていて、リラックスしすぎやろっと突っ込みが入れられていました。四つ目は、矢部さんの後輩芸人の「のーちゃん」が大家さん家の庭の草むしりに応援で来てくれたときに大家さんと意味不明な言葉でもお互いそれなりに会話していたということが描かれていたところです。五つ目は、矢部さんの1作目の『大家さんと僕』の最初の単行本が有名になって賞をもらわれたときに、矢部さんの前にすでに大家さんのサインをもらわれていたというエピソードを紹介していたくだりです。矢部さん以上に人気者になられていた大家さんを自然に讃えている矢部さんの人柄も素敵だなあと思いました。上品で博学でかわいい大家さんと優しい矢部さんの友だち未満、恋人未満のような素敵なご関係を永遠に彷彿させる、思わず微笑んでしまう幸せな気分にしてくれるような前回の『大家さんと僕』以上にほんわかさが全編に渡って漂っていました。電車の中で読み終えました。

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めんたいぴりり

2019年10月11日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画2本目は『めんたいぴりり』でした。福岡県の博多の名物の明太子を初めて製造し、販売した、『ふくや』の創業者川原俊夫氏の波乱万丈の実話を基に、明太子を食べてみんなを幸せにしたいと頑張るふくのやの人々を描いた映画でした。主人公は、ふくのやの主人・海野俊之(博多華丸さん)とその奥さん千代子(富田靖子さん)です。戦後、釜山から引き揚げて博多に移り住み、戦争経験から美味しいものを食べていたら争うことがないということを信じて、人々を幸せにしたいと頑張る主人公たちの姿が頼もしく、度量の大きさや心意気も素晴らしい方々でした。商標登録も製造法特許も取得せずに、地元の同業者に製造方法を教え、博多名物として定着するきっかけを作るといった器の大きさと寄付をしてもえらそうなそぶりを人に見せびらかさない奥ゆかしさも光っていました。一時代前にはテレビのドラマでよく見かけた人情話がたくさん詰まっていた映画でした。今の時代ではなぜか懐かしくなってしまったような昭和時代のお話でした。現代日本では、初めて作ったものの利益や権利を守るために商標登録や製造法特許を取得するのがふつうになってきているのに、この映画の時代背景である、昭和30年代に、こういった考え方をし、実行していた方が確かに存在されていたという事実を知りました。このような心意気を持たれていた方々がおられたということが日本の誇りのうちのひとつでもあって、日本の発展を支えて来られたのだろうと想像しました。スケトウダラの妖精に扮しておられた博多大吉さんのセリフや自転車に乗られていたシーンも楽しかったです。博多祇園山笠や能古島の風景など博多名物がたくさん出てきた映画でした。

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