NHK土曜ドラマ『六畳間のピアノマン』の第2話は「優しい息子」という副題で、夏野誠の父親の泰造(段田康則さん)が第2話の主人公でした。8年前に亡くなった、ブラック企業に勤めていた息子・誠がその当時の上司上河内(原田泰造さん)に常時、パワハラされていたことを知り、泰造は、ずっと憎しみを抱いていたのですが、自ら退職する日に偶然工事現場で働いていた上河内を見かけることからこの第2回は始まりました。自分が辛いときでも人には優しくしろよと常日頃から息子に語ってきた泰造ですが、パワハラされていた会社から逃げ出すことができなかったことでそれまで語ってきた父親の育て方を後悔していました。優しさの裏返しは弱さでもあり、優しいだけではいけなかった、そんな会社から逃げ出せる強さを持っていなかったのではないかと・・・・・。ある日、誠の小学生のころの同級生が泰造の家に遊びに来て、小学生だった誠が同級生たちからどれだけ優しい息子だったかを知ることになりました。同級生の話から、優しかった誠は心が弱かったわけではなくって、本当の強さも持っていたということを知り、泰造の心にも少し明るく生きて行けるような希望の光が灯り出すのでした。このドラマを見ていて、ジェーン・オースティンが遺した言葉「優しさほど魅力的なものはない」という名言を思い出しました。見返りない優しさを常日頃から持っている人は本当に心底強い人だと私も日頃から思っていました。泰造が息子に語ってきた人に優しくあれという自らの行いは息子やその周りの人々にもちゃんと受け継がれていたのですね。憎しみを違うものに変えて行く強い力は辛さも悲しさも全部受け止めてきた上での本当の優しさを持っている人だから前に進んで行けるのでしょうと思いながらこのドラマを見終えました。
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