〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

大和魂ある者の  6

2007-08-25 | 「特攻」論
表示の画像は戦史関係の著述家である原勝洋氏が、昨年以来鳴り物入りといった感じで著作や雑誌記事で紹介している資料である。

これは「Observed Suicide Attacks by Japanese Against Allied Ships」(「観察された日本軍の連合国艦船への自殺攻撃」、米海軍情報部航空諜報課作成)と題された資料の一部で、航空特攻が開始された1944年10月から沖縄戦直前の1945年3月までの五ヶ月間の、特攻機の命中/近接破壊率を示したものである。
(『写真が語る「特攻」伝説』原勝洋、KKベストセラーズ、所収)

この資料は原氏自身によって米国立公文書館で発見されたもので、昨年機密解除されてようやく陽の目を見たということらしい。
その経緯が残念ながらよくわからないのだが、戦後60年以上機密とされてきたこと自体が考えてみれば驚きである。そうだとすれば、このことはいったい何を意味しているのか。

さて、一見してわかるとおり、上記全期間を通じ、特攻機の艦船への命中率がおおむね4割、近接破壊を含めるとおよそ6割弱と算出されている。

このことはみなさんにはどう見えるだろうか? 
「特攻隊は強制で出撃させられた犠牲者であり、米軍に対し若干の混乱以上の戦果を上げることはできず、現実には無駄な犬死だった」と考えてきた私には、この資料の示す事実が非常に意外に思えたのである。

資料がどこまで信用できるのかという問題があるが、しかし彼ら米軍の記録は日本軍のそれに比べればずっと冷静・正確だとされており、また被害側のしかも内部資料ということで潤色の入り込む余地はないといっていいだろう。

これを見る限り航空特攻の戦果とは戦後の私たちの想像をかなり上回るものだったと見える…そういいたいところだが、話はそれほど簡単ではないようだ。

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