宇ち中
宇ち多゛中毒のページ




2009/02/28
(続き)
新蒲原で再び東海道線の下り電車に乗り込み、次に向かったのは焼津の寿屋です。焼津への到着は18:15頃。駅のコインロッカーに荷物を預け、身軽になって南口の商店街を歩きます。地図は持っていなかったのですが、約1年前に来た時に彷徨ったおかげでバッチリ1発で到着しました。



時刻は18:30。変わらぬ佇まいにホッとしながら、暖簾を書き分けお店に入ります。入って右側の厨房で「いらっしゃい、どうぞ」と店主の優しい声が心地よく響く中、左側に2つあるテーブル席には手前にご夫婦が、前回ボクがお邪魔した向こう側の席には男性おひとりがいらっしゃいます。どうしようか迷っていると、ご主人が「どちらでもお好きなところへ。そちらでもいいですよ」と右奥の小上がりを薦めてくれました。それではと、靴を脱いで小上がりにお邪魔します。テーブルに小さなホワイトボードを持ってきてくれて「今日はこんなんでやってます」とご主人。燗酒をお願いして、しばらくメニューを眺め何をいただこうか悩みます。「鮪さしみ」「鮟鱇」「蛸」「おでん」「へそみそ煮」「太刀塩焼き」「バイ貝」「のどぐろ煮魚」「太刀フライ」と並びますが、悩んだ結果鮪をいただくことに。ご主人が氷冷式の冷蔵庫から鮪の短冊を取り出し、丁寧に包丁を引いてくれてます。



燗酒を呑みながらそんな様子を眺めます。前回お邪魔した時にも感心したのですが、店内は趣のある古い造りながら手入れが行き届いていてとっても綺麗。しみじみと店内を見回していると、刺身が出来上がってきました。



綺麗な霜降りの大トロの部分もあります。お味のほうは、これがまたとろっとろで、濃厚な味わいのマグロのお刺身です。これは旨い。お酒が進みます。燗酒をおかわり。



テーブル席の常連さんは、電気コンロの上にお皿を乗せて温めながら召し上がってます。どうやらこれがおでんのようですね。これも気になりますが、マグロのお刺身が結構ボリュームがあります。ツマがオニオンスライスなのも嬉しいですね。いいアテになります。とてもボリュームたっぷりなおでんには手がとどきそうにありません。燗酒をもう1本もらっちゃいます。



こちらでは藤枝の杉錦のお酒をお使いとのこと。注文の都度ご主人が湯煎して燗付けしてくれて、「いかがですか」と温度を気にしてくれます。何気ない気遣いも温かいですね。それに駅から離れた立地からか、何とも心地の良い静寂に包まれています。何だかこのまま、このお店に染み込んでいってしまいそうな感覚になりながら、ゆるゆるとお猪口を傾けます。



入り口そばのご夫婦は、どなたかのご紹介でいらっしゃったようで、このお店をとっても気に入ったご様子。あとからもうひとかたいらっしゃったお客さんは、常連さんのようで先客の常連さんともおなじみの様子。お隣に着席されました。そしてボクは3本目のお酒が空き、そろそろごちそうさまをすることに。するとご主人、前回お邪魔した時に忘れた、2008年のカレンダーが入った手提げを持ってきてくれました。てっきり静岡駅のトイレに忘れてきたと思っていた、2008年のカレンダー。1年以上も、ずっととっておいていただいたようです。いやはや、申し訳ありません。ご主人に「またいらしてください」と見送っていただいて、お店をあとにします。



1時間とちょっとの滞在。お会計はいくらだったかすっかり失念ですが、まさにプライスレスなひとときでした。幸せな気分で、焼津駅へ向けて歩き始めたのでした。
(つづく)

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2009/02/28
この週末、所用のため富士市の実家へ帰ることに。となれば静岡の酒場へ足を伸ばそう、ということで富士をスルーして向かったのは新蒲原です。16時の口開け目指して新蒲原への到着は15:50頃。曇りの寒空、駅のベンチで時間を潰して、15:55頃にお店に向かうと暖簾が出てました。



ガラガラと中にはいると、店主がにこやかに迎えてくれます。口開けの客となりカウンターの席へ座ります。ご主人に「今日は寒いですねえ」と声をかけ、燗酒(230円)をもらいながらメニューを眺めます。



「カレーもつ」(400円)も気になりますが、その下の「イルカもつ」(260円)を見つけて思わずご主人に「イルカのもつってどんなのですか?」と尋ねると、「イルカの内臓っていうか、臓物を煮込んだものです」と。味については触れられなかったのが気になりますが、勇気を出してお願いすることにしました。



燗酒を啜っていると徐々に常連さん達が集まり始め、ボクの向かい側に4人ほど並んで着席されるたびに、みなさん口々に「今日は寒いねえ」とご主人と挨拶をされてます。飲み物はみなさん決まっているようで、何も言わなくても焼酎と緑茶などが出てきます。そしてボクのところにもイルカもつがやってきました。



静岡おでんにかかっているような魚の削り粉がまぶしてあります。宇ち多゛でよくいただく豚の部位でいうところの、レバやフワのところが多いようですが、ガツのような形状のものも。いろいろな部位が入っているようですね。味付けは薄めなのですが、何というかコクがあるというか。それに、食べていくうちに何だか体がぽっぽと温かくなっていくようです。お酒もおかわり。



常連さんのおひとりが注文されたカレーもつに何気なく目をやると、煮込んだカレーの中にモツが入っていて、その上にオニオンスライスがたくさんのってます。うーん、これももらおうか迷いますが、イルカもつが結構食べ応えあってちょっとヘビーかな、と思っていると他のお客さんが「水かけ菜ちょうだい」と注文するとそのお隣さんが「おれもねー」と。こりゃいいタイミングと思い「ボクもお願いします」と便乗注文です。



黒板には「白糸の水かけ菜」(200円)とあります。この辺で白糸といえば、富士宮の白糸の滝のことでしょう。ひとくち食べてみると、野沢菜のような味わい。野沢菜より塩っ気が薄くて、ボク好みです。こりゃいいですね。お酒を3杯目をもらうと、ちょうど燗つけ機の1升瓶が空いたようで、新しくセッティングしているところを見ると、燗酒に使われているのは「越の影虎」という銘柄のようです。燗酒をちびちびと、テレビを何となく眺めながら水かけ菜をつつきます。ゆるゆると時間が過ぎていく土曜午後。常連さんたちの会話をBGMに、燗酒とイルカもつで体がほてってきました。17時を過ぎた頃、3杯目のお酒を呑み干しごちそうさまをします。



1時間ちょっとの滞在でお会計は1,210円でした。ボク以外にいらっしゃったお客さんは、みなさん顔なじみの地元の方々。そんな憩いの場にお邪魔させてもらって、心も体も温まって新蒲原の駅に向かったのでした。
(つづく)

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