米司法省、元空軍情報員を起訴 イランのスパイとして活動
ワシントン(CNN) 米司法省は13日、イランのスパイとして活動した罪で、元米空軍情報員のモニカ・ウィット被告(39)を起訴したと発表した。
ウィット被告は空軍特別調査部門で防諜(ぼうちょう)任務にも携わっていた。2013年にイランに亡命しており、現在も身柄は拘束されていないという。
司法省によると、ウィット被告は亡命後、「機密度の高い情報収集プログラム」の存在をイラン側に明かしたほか、米情報将校1人の身元情報を提供し、この将校の命を危険にさらしたとされる。
デマーズ司法次官補は記者団に対し、「市民のひとりが国を裏切るとは米国にとって悲しい日だ」と話した。被告はかつて米軍の一員として憲法への忠誠を宣誓し、外敵からの祖国防衛を誓っただけに、なおさら悲しみが深いとしている。
起訴状によると、ウィット被告は12年1月ごろから15年5月ごろにかけ、国外でイラン人と共謀して国防関連の文書や情報を提供。また、イランによる使用を念頭に、米政府関係者や防諜要員に関する報告書類も作成したとされる。
一方、イラン政府の当局者は、仕事環境を整備する目的で、ウィット被告に住居やコンピューター機器などを与えていたという。
司法省はまた、コンピューター侵入やなりすましを試みたなどとしてイラン人4人を起訴した。14~15年にかけて工作を行い、ウィット被告の元同僚ら米政府関係者少なくとも8人を標的にしたとしている。
米司法省、元空軍情報将校をイランへのスパイ罪で起訴
【2月14日 AFP】米司法省は13日、米空軍の元情報将校をイランのスパイとして働いた罪で起訴した。同省によると、被告は他の米情報部員の正体を明かし、イラン革命防衛隊(Revolutionary Guards)がサイバー攻撃の標的とすることに加担した。
米当局者らによれば、起訴されたのはモニカ・ウィット(Monica Witt)被告(39)。同被告は10年にわたり空軍防諜(ぼうちょう)部門に所属したが、2013年に「思想的」に転向。米国に反感を抱いて国を離れ、イラン政府に対する米国の諜報(ちょうほう)活動の情報をイラン側に渡した。
ジョン・デマーズ(John Demers)米司法次官補は起訴を発表した声明で「悲しいことに、1人の米国民がわれわれの国を裏切った」と表明。「この事案は、わが国の情報活動従事者たちの危険を示すとともに、われわれの敵が労をいとわず彼らの身元を特定し、彼らの正体をさらし、彼らを狙うことや、まれにではあるが、守ると誓った国を裏切らせることを明らかにしている」と訴えた。
米国はまた、革命防衛隊に所属するイラン国民4人を起訴した。4人は米当局のコンピューターネットワークに侵入するため、ウィット被告から入手した情報を使って米情報当局者にマルウエア(悪意あるソフト)やフィッシング攻撃を仕掛けた。
ウィット被告を含む5人は拘束されておらず、逮捕状が出ている。(c)AFP
ウィット被告は1997年から2008年まで空軍に所属し、機密情報を閲覧できる立場にあった。12年にイラン革命防衛隊が支援する会議に出席するため同国に渡航し、スパイに勧誘されたという。
ウィット被告が提供した情報などを基に、イラン人ハッカーが同被告の元同僚になりすましたソーシャルメディアや電子メールのアカウントを作り、他の元同僚のコンピューターに悪意のあるソフトウエアを埋め込もうとしたという。
これに関連して米財務省は同日、ウィット被告が出席した会議の主催団体「ニュー・ホライゾン・オーガニゼーション」と同団体の幹部ら4人に制裁を科すと発表した。イラン革命防衛隊による米国民の勧誘や情報収集を支援したとしている。また米政府職員らに対するサイバー攻撃に関与したとして、イランを拠点とする企業とその幹部ら6人への制裁も発表した。