切り餅をきれいに焼くための「切り込み」の特許をめぐり、業界2位の越後製菓(新潟県長岡市)が、「サトウの切り餅」で知られる同1位の佐藤食品工業 (新潟市)を訴えた裁判で、最高裁第二小法廷(小貫芳信裁判長)は、佐藤食品の上告を棄却する決定をした。19日付。特許権の侵害を認め、約8億円の賠償 などを佐藤食品に命じた知財高裁判決が確定した。
切り込みは、餅が膨張して噴き出し、形が崩れるのを防ぐ。越後製菓は2002年、側面だけに入れた餅の特許を出願。佐藤食品は上下面にも加えて03年に出願し、それぞれ販売していた。佐藤食品はすでに、上下面のみに切り込みが入り、側面にはない製品を販売している。
10年11月の一審・東京地裁判決は特許権侵害を認めなかったが、知財高裁は昨年9月、争点を絞るための中間判決で特許権侵害を認め、今年3月の判決で賠償などを命じていた。
越後製菓は佐藤食品の別の商品をめぐり、約19億円の損害賠償を求める訴訟も東京地裁に起こしている。
争われた2社の餅の切り込みの概要
大幸薬品(大阪府吹田市)の「セイロガン糖衣(とうい)A」と外観がよく似た薬を売るのは違法だとして、同社が製薬会社キョクトウ(富山市)に製造販売 の差し止めを求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。山田陽三裁判長は「キョクトウの製品の箱にはラッパのマークがない」などとして請求を棄却し た。大幸薬品は即日控訴した。
問題とされたのは、キョクトウが2009年2月から販売を始めた「正露丸糖衣キョクトウ」。だいだい色の包装箱に「正露丸」「糖衣」「S」などと記されている。大幸薬品の製品も箱は同じ色で、「セイロガン」「糖衣」「A」などと印刷されている。
判決は「正露丸」の名称は、1950年代から胃腸薬として一般的に使われていたと指摘。さらに大幸薬品の製品には「ラッパのマーク」があるとして、キョクトウ製品が類似しているとは言えないと判断した。
大幸薬品の製品(左)とキョクトウの製品