複数警察官、留置の男性を暴行か 身体拘束、後に死亡 愛知県警
毎日新聞 2022/12/13 01:00
愛知県警岡崎署(同県岡崎市)の留置場で無職男性(43)が勾留中に死亡した問題で、身体を拘束された状態の男性に、複数の署員が暴行していた疑いがあることが、県警関係者への取材で判明した。特別公務員暴行陵虐容疑に当たる可能性があり、県警は署員らから事情を聴くなどして調査している。
関係者によると、留置保護室内に設置された監視カメラに、複数の署員が横たわる男性に対し暴行するような様子が映っていた。それぞれ入室した際、問題の行為があったという。けがは確認されていない。男性は暴れるなどしたため保護室に移され、ベルト手錠や捕縄といった「戒具」で身体を拘束されていた。
また、男性は保護室に100時間以上収容されており、収容時間を延長する際の手続きに不備があったことも明らかになった。刑事収容施設法は、留置保護室への収容は72時間以内とし、継続が必要な場合は刑事施設の長(警察署長)が48時間ごとに更新すると定めているが、必要な手続きを怠っていたとみられる。
死亡した男性を巡っては、戒具による長時間の身体拘束や、男性に持病があったにもかかわらず薬を服用させていなかったことが既に判明している。同法は、自傷の恐れがある場合などに戒具の使用を認めているが、捕縄とベルト手錠には使用時間の規定はない。
同署や県警留置管理課によると、男性は4日午前4時35分ごろ、息をしていない状態で見つかり、搬送先の病院で約1時間後に死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は腎不全だった。県警は薬を飲まなかったことと死亡の因果関係はなかったとみている。【森田采花】
名古屋刑務所の刑務官22人 複数受刑者に繰り返し暴行 齋藤法相
齋藤法務大臣は臨時の記者会見で、名古屋刑務所の刑務官22人が、去年11月からことし8月にかけて、複数の受刑者に対して繰り返し暴行を加えていたことを明らかにしました。齋藤大臣は、誠に遺憾だとして陳謝したうえで、引き続き、徹底した調査を進め、厳正に対処する考えを示しました。
このため、名古屋刑務所が調査した結果、この受刑者も含めて合わせて3人の受刑者に対し、刑務官22人が、去年11月からことし8月にかけて、繰り返し暴行を加えていたことが分かったということです。
▽顔や手をたたいたり、▽アルコールスプレーを顔に噴射したり、▽尻をサンダルでたたくなどの暴行だとみられます。
関係した刑務官らは、20代から30代の、ほとんどが採用から3年未満の若手で、受刑者が指示に従わず、大声を出したり要求を繰り返したりするなどの行為をしていたため、問題の行為に及んだと話しているということです。
今回の問題について、齋藤大臣は「誠に遺憾だ。被害を受けた受刑者に心からおわび申し上げる」と陳謝し、外部有識者による検討会を立ち上げたうえで徹底した調査を進め、関係者への厳正な対処と再発防止策の検討を進める考えを示しました。
そして、全国の刑務所で同じ事態が生じていないかについても調査するよう、指示を出したとしています。
名古屋矯正管区がコメント「深くおわび申し上げます」
受刑者支援の弁護士「法改正の理念 浸透していない可能性」
そのうえで、「またしても深刻な事態が起き、しかも長期間にわたって発覚しなかったことは残念だ。ほかにも同様のことが起きていないか注視していきたい」と話していました。
名古屋刑務所 事件に発展したケースも
名古屋刑務所では過去にも刑務官による受刑者への暴行が明らかになり、事件に発展したケースもあります。
2001年には、刑務官が受刑者の下着を脱がせて至近距離から消防用のホースで水を浴びせ死亡させる事件が起き、その後、特別公務員暴行陵虐致死の罪で刑務官3人の有罪が確定しています。
2002年には、革手錠付きのベルトで受刑者2人の腹部を締め上げて死傷させる事件が起き、刑務官4人の有罪が確定しています。
一連の事件を受けて国は刑務所の在り方について抜本的な見直しを検討するため「行刑改革会議」を設置。
2005年、受刑者の人権への配慮が不足しているという指摘を踏まえて明治時代に制定された「監獄法」が改められ、新たに受刑者の処遇などを定めた法律が制定されました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます