自民群馬県連「全区で当選目指す」
2017.9.21 10:50
自民党群馬県連の狩野浩志幹事長は、迫る解散に「時間との戦い。やるべきことをやる。5区全てで当選を目指す」と話した。20日の県議団総会では選挙対策委員会の開催日程などを調整。だるまや襷を発注するなど選挙モードに入った。
「森友学園や加計学園の疑惑隠しと言わざるを得ない」と話すのは民進党県総支部会長の黒沢孝行県議。この時期の解散に「何のための内閣改造か」と批判しつつ同日、県議らによる対策会議を開催、全県で連合群馬と合同選対を立ち上げることを確認した。1~4区で候補を立てる予定。
社民は5区の候補者擁立に向け最終調整中で、民進が推薦に回る方向。ただ、民進は共産を含めた野党共闘には「党本部の指示に従う」。共産は1~5区で既に候補予定者を決定しているが、小菅啓司県委員長は「本気で共闘しないと支持は得られない」と、野党共闘に前向きだ。
群馬1区保守3分裂の恐れ 中曽根康隆氏、28日前後に結論か
2017.9.21 10:47
官邸発で突如吹き荒れた“解散突風”。群馬県内各党は「10月10日公示-22日投開票」での衆院選日程を視野に急ピッチで準備に入った。短期決戦となるが、注目は保守3分裂の可能性のある1区だ。保守地盤の固い群馬とはいえ、3分裂なら票の分散は避けられず、混乱も予想される。(久保まりな、吉原実、住谷早紀)
1区の候補者調整で、自民党県連は女性問題を抱えた現職の佐田玄一郎氏を諦め尾身朝子氏=比例北関東=を公認として推薦することを決めている。ただ、佐田氏も現職として出馬に意欲を捨てておらず、そこに中曽根弘文氏の長男、康隆氏の動きが活発化。支持者の中には無所属での出馬も辞さずとの声もあり、3分裂の可能性も出ている。
康隆氏は5日、支持者を集めた会合で、弘文氏の秘書を辞めたことを明らかにし「自分の政治活動に精進したい」と臨戦態勢突入を報告したばかり。「自民、衆議院、群馬にこだわるが状況が複雑なので、まだ様子を見ている状況」としていた。そこに突然の解散風。動きは加速するのか。
康隆氏本人は19日、産経新聞に「状況を見ていることに変わりはない」としながらも、「思いのほか選挙が近くなった」と戸惑いも隠さない。それでも「1区も選択肢に入っている」と28日の解散前後には結論を出す方向で検討している。
県連の山本一太会長は、ここまで「尾身氏の公認推薦が覆ることはない。本部も公認してくれると確信している」と再三、強調してきた。しかし自民支持者や議員には35歳という若き中曽根ファミリー3代目への待望論も根強く、前橋市の60代の支持者は「10月総選挙ということなら、短期決戦でがんばってほしい。秘書を辞め退路を断った以上、前に進むしかない」と出馬に期待を寄せている。
民進は現職の宮崎岳志氏が挑み、共産は店橋世津子氏を擁立する構え。保守3分裂の場合、野党が漁夫の利を得る形も考えられる。
「中曽根親子」を徹底批判する山本一太参院議員 群馬1区公認「場外乱闘、炎上」の“背景”は
2014.12.1 11:00
自民党の衆院群馬1区の公認調整をめぐり、党群馬県連が前職の佐田玄一郎元行政改革担当相を「公認したくない」となり、中曽根康弘元首相の孫で中曽根弘文元外相の長男、康隆氏を推す動きがあった。最終的には、党本部が「佐田氏でも勝てる」として同氏を公認したことで、一応の決着をみた。
ところが、群馬1区の公認問題で群馬県選出のある国会議員が、ブログで徹底した「中曽根批判」を繰り広げた。前沖縄北方担当相の山本一太参院議員だ。康隆氏もブログで反論すると、山本氏は「倍返し」のように反応。山本氏が仕掛けた激しい「場外乱闘」は、群馬県連内に「余計なしこり」を残すことになった。56歳で参院当選4回を数えるベテラン政治家の山本氏は、32歳で「大勲位の孫」で弘文氏の秘書歴1年数カ月の康隆氏に何と攻撃したのか。
群馬1区の公認調整をめぐり、県連内には佐田氏に代わって康隆氏を推す動きがあった。康隆氏も衆院解散翌日の11月22日、群馬1区の支部長になりたいと申請した。
山本氏は、康隆氏の出馬が取り沙汰される前からブログで「反中曽根」を展開していた。
一貫している主張は「同一県内に親子が国会議員になってはいけない」というものだ。実は、小渕優子前経済産業相の議員辞職が取り沙汰され、週刊誌などが康隆氏の群馬5区出馬の可能性を報道したときから始まっていた。群馬1区の公認問題に関しては、11月の21日から24日にかけて「衆院群馬1区、(弘文)県連会長の長男擁立には断固反対する!」と題した投稿を10回にわたり集中掲載し、批判のトーンも上がった。
例えば、21日夕にアップした「その3」はこんな内容だ。
「佐田氏のスキャンダルが発覚した後、急に(?)仕事をやめて父親の秘書になり、前橋を回り始めた現職の参院議員である県連会長の長男を、単に『ブランドがあるから』とか、『県連会長の長男だから』とか、『イケメンだから』とか、そんな理由で公認候補として急遽(きゅうきょ)、擁立するようなことに賛成できるわけがない」
佐田氏のスキャンダルとは昨年6月に「週刊新潮」に報じられた女性問題を指す。このとき佐田氏は責任をとって衆院議院運営委員長を辞任している。
康隆氏は同日、「中曽根弘文ファミリー」のブログで反論に出た。
勤めていた外資系証券会社に辞表を出したのは佐田氏のスキャンダルが明るみに出る前であり、政界を目指す意思決定と佐田氏のスキャンダルは無関係だと主張。「事実と異なることや、他人に誤解を与えるような内容に関しては、しっかりと訂正・謝罪をしてもらう必要がある」と抗議した。
山本氏は23日、「その7」で「明らかに不注意だった。事実関係の確認が不十分だったことを反省している」と受け入れ、前出の記述を一部書き直した。しかし、康隆氏の擁立に反対する立場であることに変わりはなく、記述の辛辣(しんらつ)さは激しくなった。
「その8」では、康隆氏の反論のブログに関し、秘書の言葉を引用する形で「上から目線」だと批判し、「父君と同じ選挙区で19年間、国会議員をやっている目上の人間に対して、『最低限の礼節』というものはあってしかるべきだと思う。しかも、康隆氏は父君の秘書という立場なのだ」と糾弾した。ブログで抗議してきたこと自体についても「ひとことで言うと、とても殺伐とした、ギザギザで冷たいアプローチだ」と切り捨てた。
山本氏が康隆氏をここまで攻撃するのは、「政治は『ファミリー独占ビジネス』ではない」とする「訴え」の他にも、2つの理由があるとみられている。
一つは、今年8月の県連会長選で、選挙戦の必要性を訴えていた山本氏が条件が整わなかったために立候補できず、弘文氏の無投票3選が決まった経緯があること。もう一つは、山本氏自身が衆院へのくら替えをひそかに望んでいるとされていることだ。
この点について、山本氏は「中曽根県連会長に対する個人的感情で書いているわけではない」「自分は、参院から衆院にくら替えして群馬1区から出ようなどとは、全く考えていない」といずれの説も一蹴する。
自民党内には山本氏について「一政治家としてはやり過ぎだ」との声が少なくない。隆氏についても「党にどれほど貢献してきたのか」と冷ややかに見る向きもある。
康隆氏は24日のブログでこう記した。
「政治の重要性を再認識すると共に現実の政治は甘いものではなく、命がけで取り組む覚悟が必要だという事も改めて痛感しました。しかし厳しさを知った上でも、国政の場で全身全霊を捧げて働きたいという気持ちが一層強まって参りました。今後、もし挑戦の機会を与えられるならば、浅学非才の身ではありますが、持てる力の限りを尽くし、皆様と共に群馬と日本の未来を切り開いて行きたいと考えます」
一方の山本氏は、25日に公認問題が決着しても、翌26日のブログでこう記した。
「このドラマはまだ終わっていない。遠くない将来、新たな局面に突入する可能性もある」
「康隆氏には何の恨みもない」と綴ってきたが、敵愾心はあらわだ。27日のブログでは、群馬1区候補の人材発掘にも意欲をみせた。