どうでもいいです、の話

「どうでもいい」トピックスを載っけていたり、公記事の保守をしたしするページです。

読み物

2015-06-23 13:45:23 | 記事保守

 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ俳句を、さいたま市の三橋(みはし)公民館が月報に掲載するのを拒否したのは憲法で保障された表現の 自由の侵害にあたるなどとして、作者の女性(74)が市などを相手取り、月報への掲載と、掲載拒否で被った精神的苦痛に対する二百万円の損害賠償などを求 め、二十五日にさいたま地裁に提訴することが分かった。

 掲載拒否から間もなく一年。公民館の判断を支持した市や市教育委員会の対応の是非が、司法の場で争われることになった。

 訴状によると、三橋公民館では二〇一〇年十一月以降、地元の俳句会が会員の俳句の中から選んだ一句を月報に掲載。「梅雨空に-」は昨年七月号に掲載する一句として句会で選ばれたが、公民館は昨年六月二十五日、「世論を二分するテーマ」として不掲載を句会に伝えた。

  訴状は、月報の俳句コーナーについて「住民が学習成果を発表する場(表現活動の場)として公民館が句会に提供してきた」とし、掲載拒否など内容を規制でき るのは「規制目的がやむにやまれぬ公共的利益のため」で、かつ「規制手段が必要最小限度」に限られると指摘。公民館は世論が二分していることを理由に掲載 を拒否しており、本来の規制目的・手段を逸脱、表現の自由を侵害したと主張する。

 また、趣味のサークルの表現活動に突然、公権力が介入したとして「民主主義の根幹を揺るがしかねない重大な問題が潜んでいる」と説明。

 この問題でシンポジウムや討論集会が開かれるなど社会的関心が高く、自由な学習や表現活動の場が失われかねないという国民の危機感の表れだと訴える。

◆「見過ごしてはいけない」

 「一年たったが、ほとんど何も変わらなかった。このまま私の俳句がなかったことにされるのは許せない」。作者の女性は本紙の取材に、訴訟にかける思いをこう語った。

  女性が「梅雨空に-」の句を詠んだのは昨年六月上旬。東京・銀座で集団的自衛権の行使容認に反対する女性たちのデモを見かけ、親近感を覚えたのがきっかけ だった。「自分と同じような女性が声を上げていたのに心を揺さぶられた。それで自然に詠んだ句で、当時はこんなことになるとは…」と振り返る。女性は俳句 が掲載拒否されて以降、市教育委員会の定例会や、掲載を求める市民の集会に足を運んできた。そのたび、絶対に掲載を認めようとしない市教委の対応を目にし た。

 「私はどこにでもいる普通の主婦。思ったことを発言することくらい当然の自由と思っていた。けれど、そうではなかった」

 訴訟になると「家族や周囲に迷惑がかかるのでは」と迷いもあったという。それでも「自由に発言したり、表現したりできる今の社会は先輩方が必死に守り、育ててきてくれたもの。私がこれくらいいいかと、見過ごしてはいけない」と最後は決断した。

 「平和を祈ったなんでもない私の句が、なぜダメと言われなければならないのか。このまま納得はできない」 (岡本太)

       ◇

 今年一月一日から本紙朝刊一面に掲載している「平和の俳句」は、選者の金子兜太(とうた)さんといとうせいこうさんが昨年八月十五日の本紙朝刊で「梅雨空に-」の掲載拒否などをめぐり対談したのがきっかけとなっている。

(東京新聞)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿