ミャンマーで戦闘、死者100人超か 隣国へ住民避難
ヤンゴン=染田屋竜太
2017年8月28日11時52分
ミャンマー西部ラカイン州マウンドーで25日未明に起きた武装集団による警察施設の襲撃事件を発端とした戦闘で、同国政府などによると、死者は100人を超えた模様だ。2千人以上のイスラム教徒ロヒンギャが隣国バングラデシュなどに逃げたとみられ、混乱が深まっている。
政府によると、28日までに警官や軍の兵士十数人、武装集団約80人が死亡したほか、武装集団に襲われた複数のヒンドゥー教徒の民間人も犠牲になったという。地元メディアは、バングラデシュ側の避難民への取材で、約2千人のロヒンギャが国境を越えて逃亡しようとしていると伝えた。
マウンドーはバングラ国境に近く、仏教徒が9割近くを占めるミャンマーで、イスラム教徒のロヒンギャが多数派の地域。25日未明に、約20カ所の警察施設が刃物や棒を持った数百人の武装集団に襲われ、その後、治安部隊が掃討作戦を開始した。住民によると学校や病院は閉鎖され、外出できない状況だという。
AFP通信は、バングラの国境警備隊の話として、国境を越えようとする民間人に治安部隊が発砲したと報道。しかし、ミャンマー政府は「テロリストは子どもを盾に治安部隊と戦っているが、テロとつながりのない人にはいかなる攻撃もしていない」と説明した。
政府は、「テロリスト集団」と呼ぶ過激派組織「アラカンロヒンギャ救済軍」による襲撃と断定。昨年10月の警察施設への襲撃とつながりがあるとみられ、国外に住むロヒンギャらから支援を受けているとしている。国際刑事警察機構(インターポール)に同組織への資金の流れを止めるなどの協力を求めた。
今回の事件に対し、国外から懸念の声も出ている。24日にミャンマー政府諮問の委員会トップとして、ロヒンギャについての報告書を出した元国連事務総長のコフィ・アナン氏は声明で「残忍な殺戮(さつりく)は一切正当化できない」と襲撃を批判したうえで、「無実の市民に被害が及ばぬように」と政府側に自制を求めた。また、ミャンマー訪問を予定しているローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は27日の日曜恒例の「正午の祈り」で、「悲しいニュースが届いた。(ロヒンギャが)神に救われることを祈りましょう」と話した。(ヤンゴン=染田屋竜太)
ロヒンギャ襲撃「国の危機に関わる」 ミャンマー軍幹部
ヤンゴン=染田屋竜太
2017年8月30日09時22分
ミャンマー西部ラカイン州でイスラム教徒ロヒンギャとみられる武装集団が警察施設などを襲撃した事件で、ミャンマー軍幹部が29日、首都ネピドーで記者会見を開き、「今回の事件はこれまでになく深刻だ。適切に対処しなければ国の危機に関わる」と述べた。地元メディアなどによると、同州では治安部隊の掃討作戦が続き、犠牲者が増え続けているという。
軍幹部は会見で「ラカイン州はミャンマーにとって『フェンス』の役割があった。外国で訓練されたテロリストが流入すれば国全体が危険にさらされる」と説明した。また同日、最大都市ヤンゴンでは国家安全保障顧問が駐ミャンマー大使ら向けに今回の事件を説明。「隣国と連携してテロリストを根絶したい」と述べた。
治安部隊の掃討作戦は29日も続けられており、地元メディアによると、武装集団を含む100人以上のロヒンギャが死亡した。隣国バングラデシュへの避難民も3千人を超え、増え続けている。(ヤンゴン=染田屋竜太)
ロヒンギャ2万人、無人島で孤立 川岸に子どもらの遺体
ヤンゴン=染田屋竜太
2017年9月1日09時08分
ミャンマー西部ラカイン州マウンドーで、イスラム教徒ロヒンギャとみられる武装集団の襲撃に対し、治安部隊が掃討作戦を続けている問題で、ロイター通信は31日、国連関係者の話として、家を追われたロヒンギャ約2万人がバングラデシュとの国境付近の無人島で孤立していると報じた。
同通信によると、戦闘が始まった8月25日以降、約2万7400人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れた一方で、原因は不明だが、無人島に約2万人が孤立した。31日までの死者は計117人で、ロヒンギャの子どもや女性ら20人の遺体が、国境の川岸に打ち上げられていたという。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは29日、衛星画像の解析から、ロヒンギャが多数派のマウンドー一帯の少なくとも10カ所で、家々が広範囲に焼かれたと発表した。「治安部隊が火を放った」との住民の証言があるという。
8月30日に、ミャンマー政府がアレンジした現地取材に参加した朝日新聞の現地助手がマウンドーに近づくと、焼け焦げた土地に何度も出くわした。幹線道路には銃を持った警官や兵士が配備されていた。
マウンドーでは、家々の扉や窓…
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