サンゴ7割消えた 沖縄の石西礁湖、環境研と本社が調査
日本最大のサンゴ礁域、沖縄県・石西礁湖(せきせいしょうこ)に広がるサンゴが、この5年間で約7割失われていたことが、国立環境研究所と朝日新聞社の共同調査で分かった。白化現象が最大の原因とみられる。地球温暖化で白化が頻発するとさらに損傷を受ける恐れが高い。石西礁湖は、石垣島と西表島に挟まれた東西約30キロ、南北約20キロの範囲に広がるサンゴ礁海域。浅い湖のような海底に300種超のサンゴが分布する。沖縄本島など、より北の海にサンゴの幼生を供給する役割も果たしている。
この海域で7月下旬、本社機「あすか」を使い高度約3千メートルを飛行、高解像度の写真約1100枚を撮影した。画像データを環境研の山野博哉・主任研究員(自然地理学)が分析。航空機調査と並行し、石西礁湖内の約30カ所について海中も調査した。
石西礁湖内でサンゴが分布する場所ごとに、今も生きているサンゴの面積を算出した。生きたサンゴを足し合わせた面積は6.2平方キロで、環境省が03年に同様の方法で航空撮影した画像の分析(18.7平方キロ)に比べ、約67%減っていた。
最大の原因は、07年夏~秋に発生した白化とみられる。台風の大波でサンゴが破壊された場所も多かった。
石西礁湖ではサンゴを食い荒らすオニヒトデも増加しているが、今後、最も懸念されるのは海水温上昇に伴う白化の多発だ。気象庁によると、この海域の海面水温の年平均値は過去約100年間ですでに0.7度上昇している。
山野さんは「サンゴの減少は予想を超えるものだった。海水温の上昇が続けば、サンゴが回復する前に何度も白化が繰り返され、壊滅的な被害を受けるだろう」と話す。(山本智之)
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〈サンゴと白化〉サンゴ礁は海の熱帯雨林と呼ばれ、生物の多様性が高い。海にすむ魚種の4分の1が生息するといわれる。サンゴの体内に共生する藻類が、
高い海水温などが引き金で抜けてしまうのが「白化」で、サンゴの大量死につながる。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、海面温度が
1~3度上がるとサンゴの白化や広範囲の死滅が頻発する恐れがあると指摘している。
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