自分の「呪い」を解くための100のメモ(51)
《ここに居てはいけないと言われない場所》②
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「障害」を語るとき、なぜ「○○できない、△△できない」から始めたのだったか。
どうしたらこの子を守れるか、と考えた時、「できない、できない」という私の声に、「できないを直す、できないを直す」という声が聞こえ、「どうすれば、どうしたら」と私の声がつづく。
「できない」から始めたのは、私の不安からだった。
私が当たり前に「できる」ことを、この子は「できない」。
「できない」ままでどうやって生きていくのか、「できる私」には分からない。
この子が「孤立する」「無力化する」「居ないことにされる」怖れ。
「誰ともつながれない」、「何の力もない」、「ここに居てはいけない」と言われる怖れが押し寄せる。
そのとき、この子はどこにも居ない。
居ない子の声は聞こえない。
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「できない、できない、できない」という声に囲まれながら、あるとき、「でも生きているよ」という声が、聞こえる。
「できないまま」だけど、「ここに居るよ」、という声が、聞こえる。
この子から。そして周りの子どもたちからも。
その声で、本当のはじめを思い出す。
「できない」からではなく、「居る」ことから始めた、本当の始まりを思い出す。
生まれたとき、誰もが「できない」姿で生まれくる。
その瞬間の喜びと希望を思い出す。
居ること、からはじまったつながりの喜びを思い出す。
出会うこと、からはじまったつながりの希望を思い出す。
できることは、泣くことくらいだった「はじめ」から、「ここに居てはいけないと言われない」つながりの体験を積み重ねて、ここまで来たことを思い出す。
【写真:仲村伊織】