アンダンテ ~私の歩幅で~

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風のノクターン

2008年11月24日 | 音楽
ドラマ 『 風のガーデン 』 のエンディングに流れる
平原綾香さんの「ノクターン」について、
ちょこっと書いた記事が 『 彩りのノクターン 』 です。

さらに、原曲である
ショパンのノクターン第20番 嬰ハ短調 「遺作」
について、もう少し触れた記事が、
ノクターン第20番 嬰ハ短調 「遺作」 』 です。

駆け足でザッと見てきたこのノクターン第20番について、
私なりにまとめてみようと思います。
(ほとんど、私のメモですが。。。汗)





ショパンのノクターン第20番は、
発表することを目的とされていなかったのかもしれません。

この楽譜の初版冒頭に記されていたように、
ショパンのピアノ協奏曲第2番を弾くための練習曲として、
姉ルドヴィカに贈るためだけに書かれたのかもしれません。


ショパンの姉ルドヴィカは、彼の未出版作品のカタログを作る際、
「夜想曲風のレント」と記しました。

彼女が書いた「夜想曲風」という言葉が、
後に、この作品がノクターンの仲間入りをする
ポイントになったのでしょう。


1875年、この曲の初版が出版されたとき、
曲のタイトルは 「 アダージョ (Adagio) 」 でした。

この曲が単純にアダージョという標題であったのも、
もともとはショパンが家族に宛てた作品だったので、
正式なタイトルはつけていなかったのではないかと推測します。

その後、ブラームスがこの曲を写譜する際、
標題の「アダージョ」は写さずに、速度記号のみを記したため、
その後は、「 Lento con gran espressione 」 と呼ばれ、
今日に至っています。

単独で「 アダージョ 」 と呼ばれるよりも
「 レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ 」の方が、
タイトルだけで、この曲だと識別できますよね。

この方がずっとステキだと思います。

また、この呼び名だと、
ルドヴィカが記した 「 レント 」 も生きてきます。


それから、いつ、どのようなタイミングで、
この作品がノクターン第20番になったのかは、
よくわかりません。

私が持っている楽譜「ノクターン集」には、
第20番までが収められています。
(第21番は、ありません。)

一般的な書籍とは異なり、
いつ印刷された楽譜であるのかは不明です。


さて、ノクターン第20番を見ながら、
ドラマ 『 風のガーデン 』 を考えたとき、
嬉しい発見がありました。

ノクターン第20番には、
ショパンの自作からの引用が複数箇所あります。

ピアノ協奏曲第2番だけでなく、もうひとつあるみたいです。
歌曲「乙女の願い」からの引用が。

これは、ポーランドの詩人の詩にショパンが曲を付けた作品、
「17のポーランドの歌(17の歌曲集) Op.74 」 の中の1曲です。
(リストが、ピアノ独奏用に編曲しています。)

乙女の恋心を、ポーランドの舞曲マズルカのリズムにのせて、
軽やかに歌いあげた曲です。

原題は「願い」ですが、ドイツ語訳の「乙女の願い」で
広く知れ渡っているようですね。

「乙女の願い」は「乙女の祈り」に通じるものがあるようで、
小さな偶然に、ひとり感激しています~。


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2 コメント

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Unknown (cake)
2008-11-24 23:33:35
いつもお話参考にさせてもらっています。

あのノクターン20番には乙女の願いからも引用があったんですか!
20番は聞き慣れた曲と思っていましたが、興味深い発見です!
乙女の願いは、リスト編曲版ですが手元に楽譜があるので、原曲を想像しながら、20番をまた聞き直したいと思います♪

ドラマをきっかけに音楽の世界がますます広がりましたね(^-^)

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麻由子から (→cakeちゃんへ)
2008-11-25 17:04:46
cakeちゃん へ

こちらこそ、いつもありがとうございます♪

cakeちゃんは、リスト編曲の「乙女の願い」の楽譜を
持っているのですね!
今までとは少し違う風景に出会えるかもしれませんね。

わが家には、リスト編曲の「乙女の願い」のCDがあるので、
改めて聴いてみようと思います。

>ドラマをきっかけに音楽の世界がますます広がりましたね(^-^)

はい♪
こういうキッカケは楽しいですね!
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