政勝に抱かれる夢の続きを模索していた。楠の真摯に心を打たれ、恋情に生きる姿は羨ましさを生む。せめて、我が身に赦されるは幻の政勝を追うだけかと嘲り半分でありながら、愛しさに手を伸ばさずにおれなかった。沼の神を呼ぶ己の心の仇を振り返る暇さえないほど焦がれる政勝の姿に抱かれたい飢えにとらわれていた。だが、澄明の前に現れた沼の神はあろうことか、一番望まぬ白峰の姿を見せていた。「なぜだ?」自問自答に答える前 . . . 本文を読む
「なんで、ここに・・これる?」沼の神がどこに飛翔するは好き勝手である。だが、此処は少なくとも白峰大神さえ恐れる朱雀を奉じる聖地でもある。朱雀を祭る澄明は又朱雀の守護のなかである。そこに平気でこれる?と、成ると、やはり、沼の神は澄明に邪心をいだくものではないと考えられる。澄明の思いをあざ笑うかのような板戸の向こうである。「朱雀の護りか?笑止」沼の神がいう意味はどういう意味であろう?いつか正眼が案じた . . . 本文を読む
「成る。成らんではない。心一つこそがいとおしいの」「あ?」沼の神の言葉に澄明の胸の中に一心に思いのまに生きた楠が浮かび上がった。澄明もまた、沼の神のように、楠の思いを愛しいと思った。『澄明の・・この私の、この思いこそが愛しい?』そういうことか?そういうことなのだ。自分の中のこの思いこそが愛しい。『お前の言うとおりだ。この思いをこそ尊ばず白峰にくじられる事ばかり儚んでいた』上を向いた澄明の顔は又澄明 . . . 本文を読む
足掻ききれず、三日の後。澄明は比良沼に足を運んだが、沼は静まり返り、何ひとつ、動く気配もみせなかった。さらに三度。日を置いて比良沼を訪ねたが、結果は同じだった。
いったい、なんであったのだろうか?突然目の前に現われた奇妙な生物は僅かの間に澄明の心の岐路を見せつけた。―お前の心に答えた―沼の神が言うた事は本当のことだと思う。白峰の暴挙を喜んで受けられる法はないか?結句澄明が心に岐路を作る基はそこで . . . 本文を読む
澄明は今朱雀と対峙している。沼の神が教えようとした思いはいくばくか澄明の中に育まれつつあったが、沼の神が何者であったのか今ひとつわからない。澄明の尋ねを黙って聞いていた朱雀であったが、やっと口を開いた。「澄明・沼とはどう書きます?」問われた事にまま答える澄明である。「水を召す・・・ですね」「そうですね。ならば水、これはなんですか?」考え込む澄明である。沼を水を召すと解くのは字面通りであるが水とは如 . . . 本文を読む
―沼の神 ― 白蛇抄第11話(28) 終えました。
いろいろなものを登場させて
澄明を解脱・達観させようとするのですが、
結局、
まだ、腑に落ちない。
うろこが落ちない(目から・・w)
そして、最後に
「我の思いを抱いてこそ吾より、他も救える」
と、くさびを打たれるわけですが
これが、できたか、どうか・・・
その答えは
すでに、
「吾よりも、他も救う」
ー他(も . . . 本文を読む
宿根の星 幾たび 煌輝を知らんや
掲載し始めました。
これは、天文敦煌
星により宿生をみるというものですが、
星読みをからめ
大国渤海 と小国和国の動乱を描く超スペクタクルに
仕上げようとして
ぽしゃりました。
一大決心をし、明治維新のころのような志士を
そろえ・・・
超スペクタクルは、豪華絢爛 七転八倒 狂喜乱舞の
とにかく、壮大すぎるドラマに仕上げるつもりでした . . . 本文を読む
「くそ~~~~~~~」
朝から殿が大きな声で喚いております。
お食事だって、言うから
新之助は控えて食の間の外で待っております。
でも、あんなに殿が怒っていたら
その声、いやがおうでも、新之助に聞こえます。
どうしたんでしょね?
やっぱり、新之助、気になって
見にいっちゃいます。
「どうなさったのですか?」
そっと、たずねる新之助に一目もくれず
殿はやってきたお女中を
怒鳴 . . . 本文を読む