―理周 ― 7 白蛇抄第12話
で、思い出したことがある。
非常に巧くかけたとブログで
自画自賛したことがあった。
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小さな浮御堂が余呉湖の端にたたずんでいる。山は四方をかこみ、大きな湖の北に位置する余呉湖をつつみかくしている。琵琶の湖にくらぶれば、水溜りほどに小さな余呉湖を知るものは少ない。清閑と水をたたえている湖は山の藍翠を映しこんで、漣さえ立てない。時折、通り過 . . . 本文を読む
読書について/ショーペンハウエルから・・1
を、読み直して思う。
★本を読むというのは、私たちの変わりに他の誰かが考えてくれるということだ。
その真理は、それを求める気持ちが高じてきた正しいタイミングにあらわれ、心に留まり、決して消え去ることはない。
★読んだ本から得たものを、自分の糧にして、そこから自分というものを考え見出していくことです。
ぴったりとあてはまる事ではな . . . 本文を読む
こう・・、時折
部分だけ書いてみたくなります。
文章表現は、そのときは、なんとなく、かいてみるんだけど
あとから、読むと
自分でいっちゃ、いけないが、旨い(あえて、旨い)ときがある。
男に渡すものは真心ばかりではない。そのままに欲を受け止める。それが天女。でも、それは不知火が綺麗だから・・・・。だから、不思議。欲にまみれきって苦笑して新町に行くといった不知火なのに、綺麗。 . . . 本文を読む
ニューモ@書評ブロガー&フォトリーダーさんの書評から、
抜書きされた部分を掲載
読書について/ショウペンハウエル
オリジナルを読め
★ふさわしくない著者の手になる駄作、空っぽな頭が空っぽな財布を助けるために書いているろくでもない書き物は、合わせればすべての本の9割にもなる。★もっとも高貴でもっとも稀有な本を読むことなく、毎日次から次へと出版される三流作家の書き殴りを読んでいる読者の愚かさと . . . 本文を読む
内容は「星読み」(天文敦煌)に関わる事である。
で、星となれば光とか瞬きとかという言葉を連想するのであるが、
この前からアスペクトによく使っていた煌きとか、輝きが頭の中でちかちかしてしかたがないので
是をそのまま拝借して「煌輝」の字をタイトルにいれることにした。
が、是を多分「こうき」と読んでいいのだろうが、字だけで決めた事なので、こんな熟語は実際あるのだろうか?と
念のため変換で調べて . . . 本文を読む
まあ、世の中には堅苦しくてまじめで融通のきかない人間がいて、そいつの事を岩部金吉などとか、と、たとえるのであるが、これから、少し話しをしてゆく野原新之助という男もそのたとえに類する人物なのである。
いや、それにしては、その男の名前・・・。どこかの豪快な幼稚園児と同じではないか?と、その話がただのかちんこちんの岩や金のはなしではないだろうと何となく憶測されていられるであろうが、まさにその通りである . . . 本文を読む
女将に案内され二階の部屋にあがった新之助である。「それでは、すぐに、菊哉を参じさせます」女将の言葉に新之助はぎょっとした。『鞘を持っているのは女将ではないのか?』鞘の持ち主が客とこの部屋で直接交渉ということなのだな?と、なると・・・。いくら、鞘がきにいっても、持ち主が云といわねば、ゆずってもらえないということなのだな?「その鞘の持ち主は?」気難しい人間なのであろうか?不安に、ついつい予備知識を仕入 . . . 本文を読む
直垂の端が水にしみてゆく。澄明はふいと上をみた。足元は沼の水が湧き出るほとり。なのに、なぜか澄明は上を見た。十七の春だった。
沼と呼ぶにはあまりにも清浄であった。が、ここはやはり湿地帯の中で滞った水が作った沼でしかなかった。沼の上まで枝を広げた桂の木の枝が澄明の目の前にあった。枝の上に絡みつくようにして、得体の知れない生き物が澄明を見据え手招きしていた。「お、おまえ?なにものだ?」妙な怖気も怨気 . . . 本文を読む
今、先に見た事は夢でなかろうかと反問しながら澄明は静けさの漂う沼を離れた。森を外れ城下に戻る道をややもすると俯き加減に歩む澄明であった。生き物は最初は確かに得体の知れぬ姿をして見せた。澄明が賢人かと思ったとき生き物は賢しい老人の姿に変わって見せた。間違いなく澄明の思いを読んでいる。サトリかとも思った。だが、サトリは対峙する相手の事しか嗅がない。「白峰がお前をくじる」と、白峰側からの事実を断定的には . . . 本文を読む
ところがである。大木である。おまけに鋸の目が立ちきらぬほど堅い。一日かかりで楠の胴の三分目もひききっただろうか。是は三日はかかる、続きは明日にすればよいと、棟梁を筆頭にして今日の労をねぎらうと、その次の日の朝に騒ぎが起きた。三分目ほど切ったはずの楠の切り口はものの見事にもとの鋸傷ひとつもない楠木に立ち返っている。「和尚?でえじょうぶなんですかい?」尻込みする棟梁を宥め、久世観音の夢枕の話を聞かせた . . . 本文を読む
境内の東端の鐘突堂の片尻に堂の廂を庇うように楠がそびえたっていた。教えられなくともそれが件の楠だと察しがつく。「あれでございます」澄明の眼差しを見取り、いわずもがなの応を延べた。「いやはや、どうにも・・・なりませなんだ」和尚の力で怪異を納めようとしたのだろう、楠木の根方には小さな壇がくまれその上には得度の袈裟をつまれていた。きき目がなかったと己の非力を露呈するしかなかった和尚に答えず澄明は楠に近寄 . . . 本文を読む
和尚に声をかけられたときと同じに気分は低く地を這う様であった。空に闊達に伸び上がる杉の木立を抜け澄明は白河にかえろうとしていた。もやりとした思いを朱雀にぶつけ問い質してみたいことがある。一刻も早く白河に辿り着きたい澄明であるのに足取りは重く、捗らない。「苦しい」胸のうちの塊を言い表せばその一言になる。思わぬ呟きになった独り言を発した後、澄明はぞっとした思いにつかまれた。「なにもの?」嫌な気配がある . . . 本文を読む
この時澄明の胸に妖孤の一言が韻授となって、えぐりこまれたと知るのはあとのことになる。
帰ってきた澄明の顔色の冴えぬを気づかぬふりで正眼はたずねた。鴛撹寺の和尚が澄明を尋ねて来たのはもうひと刻もまえになる。澄明の見廻りの場所を和尚に教えれば、案の定澄明の帰りが遅い。鴛撹寺の和尚の用件に梃子摺っているのかと思えば、わざわざ澄明を名指してきた和尚の用件も気になってくる。ましてや、澄明が沈鬱な顔であれば . . . 本文を読む
「比良沼で見た事もない生き物にあいました。父上はしっておるでしょうか?」「おう?」どうやら、澄明の今日一日は、楠やら九尾だけでなかったようである。比良沼の生き物と交わした話を伏せながら、正眼の見識を待つ。「聞いた事がある。だが、不思議な事に観たもの観たものすべて、違う容をいいおるそうな」「そうでしょう」澄明の頷きはおもいあたるふしがあるということになる。「どうして、そう思う?」「私の見る前で姿を変 . . . 本文を読む
「朱雀よ、いでませ」朱雀に問うてみたい事があると正眼に云ってみたものの澄明の声にかすかな迷いがある。が、守護をしく紅き鳥は澄明の迷いさえみすかしてあらわれた。「妖狐とおなじことなぞいいはせぬ」朱雀は澄明の今日の出来事をすべてしりつくしているようである。「はい」朱雀の瞳は半眼になり澄明の言葉を待ちじっと、持している。「とうてみたいことがございます」「なんぞ?」「楠のことです・・そのおり」澄明の尋ね事 . . . 本文を読む