ある雑誌の記事に、中国の大気汚染について「日本に元凶がある」という内容で掲載されていた。
中国のニュースサイトでは、「日本から汚染物質が飛来した」「中国で操業している日系企業の工場の排気が汚染源だ」などという論評が掲載されているそうです。
日本は原発事故後に火力発電所やごみ焼却施設から有害な排気が増えたと言う。中国への影響はないだろうと思うが反日的な評論家が多いので責任転換していきたいんだろうな。また、30年以上も前から労働力を求めて中国に工場進出してきた多数の日系企業に汚染の責任があるとも批判しているが現実にはどうだろうか?
日本の企業が海外に進出して環境基準や関連法規を遵守しないで操業できるはずがない。
俺の働いている会社も中国の企業3社と合弁を結んでいる。10数年前に合弁を結んだがその当時はひどかった。安く製品を作るために工場から出る排水や排気は全て垂れ流し状態だった。しかし、数年がかりで排水処理と排ガス処理の技術を指導したおかげで、現在では環境基準をはるかにクリアできる状態に改善しています。
俺たちが10年以上の歳月をかけて日本の技術で中国の環境問題に取り組んできたのに、日本に元凶があると言われるのには憤慨する。
現在でも周辺の工場は垂れ流し状態だと現地へ行っている技術者は言います。とてもあの臭気には耐えられないと言ってました。川は工場の排水が流れて色が変わり汚染されているようでとても水に手を触れるようなことはできないそうです。有害な物質を含む排水を処理しないで排出してしまうとどういう事態になるか知っているのに平気で流しているんです。大気も周囲の工場から排出される排気でひどい状態と言ってますが、10数年前はもっとひどかったそうです。
工場の排水や排ガスを処理するには多額の費用がかかる。それを節約して安い製品を作り自分たちの利益にするのに、自分たちのふるさとに将来人が住めなくしてもいいのだろうか。今の中国人は利益しか考えない人が多くなってしまったのではないだろうか。
高度経済成長時代の日本も公害問題で苦労した経験がある。日本の川は流れがあり改善するときれいな状態に戻っていくという希望がある。そして、現在では大気や水質で問題が起こることはなくなっている。
しかし、中国では状況が違ってくる。川の流れは緩やかでいつまでも汚染物質が川に滞留する。大気も強い風が吹かなければ拡散しない。拡散したとしても中国全体が汚染されていれば効果がない。大気汚染された物質も大地に降り注ぐ。日本でもそうであったように空気を浄化する効果がある森林が酸性雨で枯れ果てていく。中国では燃料に薪を使っていたので森林が伐採され裸地が増えているので貴重な森林のはずである。
このまま大気汚染と水質汚染が続いて行けば、過去の日本がそうであったように病気に苦しむ人が増大していくことになるだろう。日本は再生することができたが、中国の環境問題は果たして改善することができるのだろうか。
あの豊かな美しい自然が豊富な中国が、公害汚染国中国になってほしくないような気がするけど、日本を批判する時間と労力があったら、中国の汚職体質と汚染源をただちに止めるという対策に時間と労力を使った方がいいと思うんだけどね。