血液培養の重要性と採取手順
血液培養の採取は菌血症診断のため行う。
心内膜炎・深部膿瘍・骨髄炎などでは菌血症があっても全身状態は良好のことが多く(敗血症ではない)、敗血症や全身性炎症反応症候群でなくても、菌血症の可能性があれば血液培養を採取する。
すなわち、診療所でも血液培養セットは準備しておくべきである。
血液培養検体の採取のベストなタイミングは、 . . . 本文を読む
総合診療医のためのグラム染色ベーシック
グラム染色は細菌の表層構造の違いによって染色性が異なることを利用し、細菌を染別する染色方法である。
検体をスライドグラスに定着し、クリスタル紫、ヨウ素液、アルコールを作用させると細胞壁の厚い菌は青色に、細胞壁の薄い菌は無色になる。
そこで、赤色のフクシン希釈液(またはサフラニン液)を作用させると無色になっていた細胞壁の薄い菌は赤色 . . . 本文を読む
細菌感染症の診断
細菌感染症の診断は、診断学の基本である病歴と診察によって起炎菌の予測も含めた初期診断を行い、必要に応じて検査とグラム染色により確認し、初期治療を行う。
その後、培養結果で再確認する。
おもな部位別感染症における特徴的な症状と身体所見、主な起炎菌(市中)を表2に示す。
表2:おもな部位別感 . . . 本文を読む
1.感染症診療の流れ
感染症に限らず、急性期の患者を診察する機会の多い病院では、重症度をまず把握する必要がある。
患者の全身状態から主観的に、なおかつ血圧、脈拍、呼吸数、体温、SpO2などのバイタルサインから客観的に評価する。
バイタルサインの中で、呼吸数が省略されることが多いが、呼吸数は重症度の把握のために重要な指標となる。(文献: 徳田安春:Dr徳田のバイタルサイン講座:日本医事新 . . . 本文を読む
抗菌薬選択の大原則
~総合診療医のための感染症スタディガイド~
l はじめに
風邪などのウイルス感染症で抗菌薬が不要なことは常識である。
だが、「細菌感染症=抗菌薬が必要」でもない。
細菌感染症には抗菌薬なしで自然軽快するも . . . 本文を読む
臍の観察
カレン徴候については前回述べた。
臍部の突出では臍ヘルニアを示唆し、大量腹水が原因のことがある。
閉経前女性で臍出血を毎月繰り返すときは子宮内膜症を考える。
臍部にできる結節状腫瘤をセントメアリージョセフ結節St Mary Joseph Nodeとよび、胃がんや膵がんからの転移を示唆する。
米国セントメアリー病院(メイ . . . 本文を読む
腹部皮膚の観察
患者にバルサルバ手技を行わせながら腹部を視診すると、ヘルニア、腹直筋離開、腹直筋内腫瘤性病変をみつけることが容易となる。
手術創瘢痕があるときには、それぞれの手術の種類を確認する。
手術痕が変形しているときは、術後の感染症などの合併症があったことを意味するときがある。
手術創瘢痕に過剰な色素沈着pigmentationがあるときは原発性副腎機能低下症 . . . 本文を読む
恥骨上部に限局した膨隆では次の4つを考える(下表)。
尿閉は緊急で導尿を行う必要があるので、疑いが強いときは導尿(またはベッドサイドエコー)で確認する(リンクを参考に)。
表:恥骨上部の膨隆
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尿閉
妊娠
巨大子宮筋腫
巨大卵巣嚢腫
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引 . . . 本文を読む
腹部の膨隆
腹部全体が膨隆しているときは5Fを考える(下表)。
右上腹部膨隆は肝腫大、左上腹部膨隆は脾腫、心窩部膨隆は幽門部狭窄(潰瘍・腫瘍・先天性など)などによる。
表:5F
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Flatus:腸管ガス(腸閉塞など)
Feces:便(便秘など)
Fetus:胎児(妊娠)
Fat:脂肪(肥満)
Fluid:液 . . . 本文を読む
腹部の視診の基本
昨日からお盆休みの方も多いと思われますので軽めの情報を勉強していきましょう。
腹部の視診は部屋を十分に明るくして行う。暗いと重要な所見を見落とすことがある。
膵頭部や総胆管腫瘍でみられる無痛性胆嚢腫大(クルボアジェCourvoisier徴候)などは、十分な明かりがなければ容易に見落とされる。
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