ナベブログ

クルマ好きな元同人絵描き
わたなべやすおのブログです。
(現在は同人活動は無期限休止中です)

コピー

2011年02月12日 19時31分27秒 | カメラ その他雑記

昔のカメラによくあるのが「ライカコピー」というもの。
ドイツのライカを模倣して作られたカメラ達のことで
有名なのはロシアのコピーライカですが
日本でも多くのコピーライカが作られました。



コピーする…
良いか悪いかは論じません。
その名を騙って顧客を欺くところまで行くとアウトですが
良いものを参考にして作ることは大有りだと思います。
真似される=それくらい良いものを私たちは作った…と
真似された方は考えれば良いし、
真似が嫌なら真似できないものを作ればいいことで…(^^;)
そして真似る方も単なる真似ではなく、そこから何かを学ぶことで
その後の発展に繋がって行けると思います。


全ては模倣から始まる…と言いますが、
実際にそういった模倣の中からいろいろな物が生まれてきましたし、
その模倣に自分なりの何かを加えることで
新しい”オリジナル”は生まれてきました。





単なる模倣か、それとも新しい何かを見つけて生み出すのか。
久しぶりに「コピーライカ」が出てきます。
フジフィルムのX100がそれです。

先に断っておきますが、この日記はネガティブなものではありません。
個人的には楽しみにしているし、好感を持っている機体です。


今日カタログを貰ってきました。
事前に写真を見ていましたし、そのあたりからも予想していましたが
本当にM型ライカにそっくりです。
というか本当にこの形で出したんだなぁ…と
むしろ感心しました(^^;)

全体のシルエットはもちろん、ダイヤルの配置やデザインもそっくりです。
ビューファインダーの右側にストロボを採光窓のように設けるデザインもそうですし、
EVF/OVF切り替えレバーもフレーム選択レバーにそっくりなデザインです。
位置を変えてきたのはせめてものオリジナリティーの主張か…(^^;)
電源スイッチとシャッターボタンの配置とデザインも瓜二つです。
とどめは軍艦部に彫られた文字と、背面の「MADE IN JAPAN」の文字。
わざわざクラシカルなロゴを軍艦上部にあしらい、
ライカでは背面に「LEICA CAMERA MADE IN GERMANY」と刻まれるのと
全く同じ位置に「MADE IN JAPAN」と刻んであります。
どうせなら「X100 MADE IN JAPAN」にすれば良かったのに(笑)

おまけにオプションのレザーケースはこれまたライカのそっくりさんという
徹底した「コピーライカ」ぶりです(^^;)


パナソニックからもかつて「ライカそっくりさん」が出されていましたが
こちらはライカが協業体制にあり、ライカブランドで発売することを
前提にしてのデザインでした。
(デジルクス2は基本デザインがライカ側だそうです)



第3者メーカーがこういう風に露骨に似せたものを作るというのは
かなり久しぶりのことと思います。
(似てないとメーカーが言い張るのだとしたらかえって悲しいです)
往年の銀塩カメラの雰囲気を甦らせた…との売り文句ですが
まさか海外メーカーのコピーカメラの雰囲気まで現代に甦らすとは
なかなか凝った趣向と思います(^^;)


上記嫌味じゃないですよ。
このカメラはそういうことを分かった上で使うべきものと思いますし、
分かっていずに何かあったらとんでもないことになります。
でも分かっていれば笑って済ませることが出来ますし、
それでこそこのカメラの旨味も味わえるのだろうと思います。




ちょっと話はそれますが、先日見た「イギリスBBCのクルマ番組」で
登場するコメンテーターがドイツの某高級スポーツカーメーカーが出した…
その会社の中では低廉な価格のミッドシップスポーツカーを指して
「こんなクルマ恥ずかしくて乗れない、9●1が隣にきたらどうするんだ!」
「馬の隣で立小便するようなもんだ、見なきゃ良かった、消えてなくなりたい!」
「最初から9●1の下にあると決めて作られたこのクルマは欺瞞に満ちている」
こんな感じのことを言っていました。

この番組はかなり言う事が毒舌なので極端な意見と思いますが
こういったことは多々あると思います。
(人間の見得の部分を素直に言ってくれるコメンテーターには好感が持てますが)



はっきり言って、どう贔屓目に見てもX100はライカコピーです。
隣にM9を持った人が来た時にユーザーが「消えてなくなりたい」と
思うことが無いようなプラス1が必要です。
そうでなければユーザーも哀れですし、何よりX100が可哀想です。

個人的にそれは「全く引けをとらない写り」であって欲しいと思います。

あのハイブリッドビューファインダーがM9に対する自慢だとしたら
それはかなり恥ずかしいでしょう。
面白い機能ではありますが、カメラの価値を支える性能ではないと思います。

あのファインダーは光学モードでピントを合わせることは出来ないでしょう。
単なる逆ガリレオ式ファインダーで、レンジファインダーではないのですから。
もちろん一眼レフのようなフォーカシングスクリーンも当然ありません。
光学モードでは合焦の確認は出来ません。AFの電子音が頼りです。
絞り開放付近でシビアにピントを追い込むとなればEVFに切り替えです。
もちろん光学モードではパララックスも大きいでしょう。
構図も完全に追い込むことは出来ません。
ファインダーの役目である露出や絞り効果の確認も、構図のチェックも
このファインダーの光学モードはこなすことが出来ないのです。
視野率100%でピントのチェックも容易、撮影効果も確認できるEVFがあれば
真剣に撮ろうとすればするほど光学モードの出番はなくなることでしょう。
つまりはネタ機能だと私は思っています。
銀塩に郷愁を感じる人が、思い切りデジカメの便利さを味わうための
「免罪符」としてあの機能は付いていると思っています。
「銀塩ぽくっていいよね…」という意味の見えにくいこだわりを満たすだけです。



M9のファインダーは伝統のレンジファインダーです。
古めかしい機能ですが、整備さえ確実なら完全なピント合わせが可能です。
(一眼レフはフォーカシングスクリーン上で目視レベルで合焦確認のため
 MFでは"距離計"を内蔵したレンジファインダーには精度でかないません)
あれは単なる格好や雰囲気で付いているものではありません。
立派な機能を果たす「構成要素」です。

ライカはお洒落ですが、それは結果論であってその本質は機能美です。
そしてその高度な完成度と機能美をそのままに継承するのが最新のM型ライカです。
ライカは古めかしい外観ですが、性能は常に最新です。
M9は最高のレンズと合わせて、きちんと世界最高の写りを実現できています。
クラシックな外観ですが、クラシック調カメラではないのです。



X100は確信犯でクラシック調カメラでライカコピーです。
そして写りで仮に劣ることがあったとしたら…
最後に残った売りがネタ機能だけだったら…
それこそユーザーは「見なきゃ良かった!」「消えてなくなりたい」と
かなり恥ずかしい思いをすることでしょう。
10万円を越える買い物なのに、こそこそ隠れなきゃいけないのだとしたら
悲しすぎます。

それこそライカは高いですがクルマよりは安いです。
X100と同じ機能を果たすだけで良ければ130万円あれば買えます。
その性能は世界最高レベルです。
そしてそこには著名な老舗としてのプライドやステータスまでが含まれます。
フェラーリやポルシェと同一のレベルの工業製品のプレミアムが
軽自動車の価格で買えるとなればむしろ安かろう…です。
もちろん簡単に買える額ではないですが、買えない価格ではありません。


だからこそX100のユーザーが惨めな思いをしないためにも…。
「見た目はM型のコピーだけど、少なくともそちらさんのX1には負けてないぜ」
「画質は素直にいい勝負だぜ、少なくとも負けることは無い、写真見せっこしようぜ」
「質感や仕上げだって負けてないぜ、触ってみるかい?」
そういうものに仕上がっていて欲しいと思います。





きっとこのX100を企画した人はライカが好きなんでしょうね。
そして憧れを素直に形にしたのでしょうね。

そういう人なら上記した様な事は分かっていると思います。
コピーライカだけど、コピーで終わらぬ…それもきっと体現されていると思います。
というかそうでなければウソです!




ひさびさのコピーライカ、
それが良い意味での「プアマンズ・ライカ」になることを願って止みません。
そしてそこから何か新しい「フジフィルムのオリジナル」を
見つけていって今後につなげて欲しく思います。
(こういう見ていて楽しいカメラにはどんどん出てきて欲しいので)







ただ…
女子カメラ系&持ち歩きおしゃれカメラ系の定番アイテムになることは
間違いないでしょうけど(^^;)



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