物の劣化・腐食は、多くの場合、水や酸素が原因で発生する。
今日、動植物の猛烈な繁殖は、海水中に発生した藻が生産した酸素によると聞いた。
二酸化炭素を光合成で酸素に転換する植物の増加が、大気中の酸素の濃度を20%程度に高めた。
この結果、酸化を基にした高能率の代謝系を持つ動物の繁殖をもたらし、
ひいては、人類の今日の繁栄を築いたと言うのである。
ところが、酸素は、劇物である。
酸素100%の状態では、生物は生存不可能である。
丁度ころあいの20%濃度に保たれているから、皆それぞれに生存できているのである。
酸素が存在する限り、食品・金属製品・その他身の回りの物すべて、酸化から逃れられないのである。
酸素に加えて、水が併存すると尚一層厄介である。
水は、酸化腐食を促進し、水に溶解した腐食性物質などにより、様々な腐食を起こす。
生物にとって、必要欠くべからざる酸素と水は、特に、金属にとって猛毒である。
すべての物、あるいは物事にとって、表と裏が必ずある。
「諸刃の刃(もろはのやいば)」と言う喩えを用いる人がいる、
まさにその通りである。
なにごとにおいても、ほどほどが肝要なのである。