今回の旅では、上海空港大混雑のため作業ミスが発生した模様で、我々のツアーの3組の手荷物に遅延が発生した。
現地ガイドの協力があり、荷物は2日目のホテルに届いたので、最小限の被害で済んだ。
(今回の全行程は、飛行機遅れ、迷子など、アレコレ起きたハプニング・その上交通渋滞などで、毎日ホテルのチェックインが9時から11時と大変遅くなった。・・・珍しくハプニングの絶えない旅だった。)
1.遅れた?無くなった? 手荷物が予定された便で目的地に届けられなかった場合のことを、手荷物遅延(Delayed baggage/luggage)。
2.遅延が長期にわたり、航空会社が発見の努力をあきらめて補償手続きに入ることを、手荷物紛失(Lost baggage/luggage)。
荷物が遅れた段階で「ロスバゲ」と呼ぶのは混乱のもと。
3.荷物が壊れた
などが、手荷物における事故である。
今回は、1.手荷物遅延(Delayed baggage/luggage)に該当するので、帰国後必要な求償手続きを、保険会社経由で始めた。
(小生は高齢者のため、万一の病気・怪我及び事故を想定して、大抵の場合に旅行保険をかけている。それに手荷物遅延も含まれていた。)
台湾の桃園国際飛行場のターンテーブルのところで、立ち往生。先に進んだ同行のツアーメンバーが待っているだろうと大いに気になったが、どうしようもない。(添乗員が最も必要な場面であるが、あいにくと今回は居ない旅、自分で対処する以外になかった。)
それでも総計3組の仲間いたので、実に心丈夫だったし、同行者への気兼ねもあまり気にならなかったのが幸いだった。(小生だけだと、大変同行者に対する気兼ねが大きかっただろうと思っている。)
とにかく、「まな板の鯉」である、「なるようにしかならない」、慌てず騒がず、着実・確実な手続きをする以外にない。
航空券に貼り付けてある「手荷物預かり証」・パスポート・旅行の日程表とホテルの名称及び住所連絡先一覧表、などが必須。
(これは、誰宛に、何処に荷物を転送するかの、根拠になる情報だからである。)・・・状況は決まっているので、さしたる会話は必要ない、堂々とカタコト英語で対応すれば良い。することは決まっているので、十分通じるはずである。
ここで作られた書類の一部は、カスタムに提出して出る。そして、自分用の書類もある。これが後日の手荷物受け取りと損害請求の根拠になる。(コピー不可・本紙要。)
参考;ついでに、この種の場合にどうすれば良いか調べてみた。
一般的なケースの主な原因と対策。旅先で飛行機を降りたら、預けたはずの手荷物が出て来ない。旅行のスケジュールが狂うと誰しも楽しくないものだが、冷静に対策を立てて早く気持ちを切り替え、旅を楽しみたい。90%以上の手荷物は通常24時間以内の遅れで旅行者の手元に戻っている。(今回は、48時間以内だった。)
A;主な原因
チェックインの締め切り時間を過ぎた。
保安X線検査で不審物を疑われ、開披検査された。
最初の便が遅れ、経由地での積み込みに間に合わない。
経由地での保安X線検査で不審物を疑われた。
鞄が途中で開いたり壊れたりした。
今回は、空港大混雑で、うっかりミスのようだった。
B;予防と対策
この事故で、新たに購入した物は、補償のためレシートを残しておく。
自分の連絡先と日程表を書いた紙を中に。
名札を付け、過去のタグは外す。
白ハンカチやシーツの端切れなどに連絡先とスケジュールを書いて、荷札の代わりに結び付ける人もいる。
目立つ色の大きなステッカーやバンドなどを付けて、目印に。
色ハンカチをハンドルに結び付ける人もいる。
C;空港チェックイン
チェックイン締切に遅れない。(ギリギリになると、時間不足から間違いが起きやすくなる。)
手荷物タグ(預り証のシール)を発行してもらったら、搭乗券ではなくチケット封筒や旅程表などに貼り付けておく。搭乗券に貼り付けると、搭乗の際にちぎられて紛失の可能性あり。
複数のタグがある場合、どの番号がどの荷物だったかを控えておく。正しい目的地であることを確認。
荷物は目的地まで届けられるのか、経由地で預けなおす必要があるのかを確認。
D;乗継空港で
乗継空港で一旦荷物を取り上げる必要がある国や空港(アメリカ・カナダ・日本・上海など)では、再度荷物を預ける前にタグの損傷がないか確認。・・・今回はどうゆうわけか上海での荷物取り上げは、旅行会社から指示がなかった。
可能であれば、乗継空港の手荷物窓口の電話番号を尋ねておく。・・・これは言葉の関係で普通の人には無理だろう。
E;到着空港で
— 最後まで回転台に荷物が出てこなかったら ー
荷物がなくなったことを報告し、追跡番号を発行してもらう。・・・これが初めてだったが、同じツアーの人が二組みいたので、一緒に手続きできたのは心丈夫だった。
通常は10桁。(空港コード)-(航空会社コード)-(番号)の順。(例: YYZ AC 12345)
航空会社の連絡先は2種類控えておく。1つ目は航空会社の手荷物部門の電話番号。もう一つは、到着地や経由地の手荷物窓口の直通電話番号(教えてもらえないことも多い)。
後で荷物を探しに来る場合に備えて、手荷物受取場に外からアクセスするための方法を確認する。
荷物は遅れて税関審査を受ける事となるので、そのための税関申告書も併せて発行してもらい、税関で提出しておく。
F;身の回り品の支出
当面必要な洗面用具などがなければ、サービスキットをくれる航空会社もある(例:ノースウエスト航空)。もらえない場合や、それ以外に下着や衣類などが必要な場合には、航空会社負担で払い戻しを受けられるように依頼しておく。・・・これも言葉の関係で普通の人は無理だろう。
例:北米の航空会社の場合、空港で申告した時刻から数えて最初の24時間以内がUSD50まで、それ以降はさらにUSD50~100が追加される。事前に電話などで支出の承認を得る必要がある。実際の支出の半額補償・全額補償など、規定はさまざま。
G;その後の旅先で
ネット環境があるなら、航空会社のサイトから追跡状況を確認することができる。・・・現地ガイドに依頼して、連絡してもらう以外にないのではと思う。(個人では、ほとんど実行不可能であろう。)
WorldTracerで主に使われる表現の解説(ANAの例)
上記のANAからのリンク(WorldTracer)は主要航空会社共通の手荷物検索システム。
上記の画面で情報に誤りがある場合、航空会社の手荷物部門に電話して訂正を依頼し、正しく訂正されたかどうかをもう一度ウェブサイトで確認する。自分で英文メッセージを入力することもできるが、6時間以上読まれないことも多い。
特に、自宅住所Permanent address(PA)と滞在先Temporary address(TA01, TA02, ..)、それぞれの住所の有効期限は正確に。
情報に変化がない場合でも、最低1日2回は電話で催促をして、空港の荷物係へTELEXで優先扱いを依頼する。
多くの場合、荷物は当日や翌日の後続便で届いているが、空港の係員が荷物の到着を確認し、配達を手配し、記録を更新するまでに半日~3日ほど掛かることも珍しくない。1~2泊で次の目的地に動く場合や現地で時間にゆとりがある場合、配達ではなく空港での保管を依頼し、当日夜もしくは翌日便の到着時刻に再び空港を訪れると荷物が置いてあることも少なくない。そこで見つからなければ改めて配達を依頼することもできる。
H;5日以内に荷物が出て来ない場合
航空会社所定の手荷物捜索依頼書(Baggage declaration form)の準備にかかる。21日以内に送る必要あり、日本から海外へ送る場合は早めの準備を。
用紙は到着空港で受け取っておくのが良いが、多くの航空会社ではpdfでダウンロードも可能。
航空券番号・手荷物タグの番号・鞄の色や特徴(メーカー名・重量・ポケット/ハンドル/車輪/ベルトの有無)・内容物のリスト(購入日や価格も)・海外旅行保険(あれば)の請求先住所などが必要。
搭乗券の実物・レシートの実物(あれば)も貼り付けて送る必要がある。
身の回り品購入費の払い戻し請求もこの時に一緒に送る。
I;荷物がなくなった
航空会社から紛失の通告が来た場合、通常それ以上に捜索を依頼することは困難。下記の補償手続を参照。
J;荷物が壊れた
到着空港で、最低限手荷物の外観をチェックし、問題があればすぐにその場で申告を。
***補償対象外
壊れやすい品物
乳母車/チャイルドシート
スポーツ用品, 楽器
段ボールにて梱包された品物
受託手荷物内容品
スーツケースベルトの破損、及び紛失
傷みやすい品物(生鮮食品など)
事前に破損していた手荷物
サイズ超過、重量超過、詰めすぎの手荷物
ひっかき傷、すり傷、へこみ、切り傷、汚れなど、通常の摩擦により生じる小さな傷
保安検査に起因する鞄の破損、及び内容物の破損
K;補償手続
誰に請求するか
原則は、申請地に到着するために利用した航空会社。荷物を最初に預けた航空会社ではない。
例:伊丹-(ANA)-成田-(United)-シカゴ-(AirCanada)-トロント までの荷物を伊丹で預けた場合、シカゴで荷物が出て来なければUnitedが、トロントで荷物が出て来なければAirCanadaが、それぞれその後の追跡調査や補償手続きの責任を負う。
補償の上限
数通りがあり、どれが適用されるかはこちらから調べて知っておかないと値切られかねない。
ワルソー条約
1929年制定、最も多くの航空会社が加盟する。
預けた手荷物の重量1kgあたり17SDR(約3,000円)
持込手荷物は1個あたり332SDR(約60,000円)
モントリオール条約
上記の金額が安すぎるために、日本が主導して1999年に制定、2003年発効。先進国のほとんどはワルソー条約と重ねて加盟している。
出発国と目的国の両方が本条約に加盟していれば、経由国の加盟状況や航空会社の国籍は関係なくこちらが優先される。出発地または目的地のいずれかが未加盟であれば、往復ともワルソー条約が適用される。[1]
預けた手荷物1個あたり1000SDR(約180,000円)
米国/米領バージン諸島/PuertoRico内路線 USD2800
日本国内路線 1旅客あたり15万円
L;申告金額の何割が実際に支払われるか?
新品の場合のみレシートの金額通り。
それ以外は減価償却が適用され、通常はレシートの金額の3~5割程度。
レシートが無い場合は新品でも市価の3割程度。
M;支払われるまでの期間
航空会社の母国のオフィスを通じて請求した場合に小切手を郵送されることがあり、日本の銀行での換金には数千円の手数料と1~2週間がかかる。
日本到着時の遅延であっても、海外で遅延した際に報告を済ませたクレームであっても、帰国後日本のオフィスで返金の手続きを取ることができることがある。日本国内で請求できた場合、銀行振り込みで数日後に支払われる。
N;海外旅行保険の活用(・・・小生の場合には、これに該当。帰国後、求償手続き中。)
上記のすべての手続を現地の言語で行うのは、相当の言語力がないと厳しいし、手続きを覚えることも至難の業。そこで、海外旅行保険を使う方法もある。「航空機寄託手荷物遅延等費用補償特約」がついていれば、航空会社と同等の補償を支払ってくれるし、実際に保険金を払う手続きで必要なためもあり、具体的に現地で何を行えばよいかを指示してくれる。そのため、旅行保険を手続き支援サービスとして利用する方法もある。