さて、第二章も4日目。
このカテゴリー、日記当時に日付を合わせて書いていますが、マメにお読み頂いてる奇特な方々にはもうお分かりのことでしょう。実のところ、取り掛かったのは4月28日、仕上げはさらに2日後の30日であります(苦笑)
『都見物日記』(二)‥‥ ④
四・二四 今日も六時過におき 九時過より雨也。八時飯、三原さんはおめざめ直(スグ)御帰(オカエリ)成され候。今日私十一時 髪を乱髪にいたし 近所にて候風呂屋へ行き 帰り候得ば、轟も今々と喜び 又々大笑申候。御母上様も少々つみつけ御同様にて候。昼飯は一時にたべ 二時過に大坂梅田停車場まで車にて行き、是より汽車にて西京へ向け出発、ほうぼ珍らしき所計り眺め行き、淀川へ帆掛船の大いなものが通る所も汽車から遠方に見えおり海之(ノ)ように見え候也。
西京の境には から竹、こさん竹あり 実に広き山、其山が奇麗に中がすき 感心の事。大坂より西京までの内に汽車幾度も停り 少々人が乗りおいり(※「降り」の意)して西京へ四時に付(ツキ)、三条小橋の亀屋と申 宿屋へ付、ここにて夕飯をたべ 風呂に入 いろいろと致し居り候いしに 火灯(トモ)れ、そうして承りし所、近頃はこちらは一カ年に三七日ずつ乃(ノ) 都踊有(アル)との事にて 七時過には踊を見に行く。これはこれは奇麗な女 十五、六より廿ばかりの女ばかりして 何より何より何よりこれが面白き事也。その着物は 三味線地方(※ジカタ)は黒に何か花が かたかたちぼちぼ付(ツキ)、鼓太鼓は左わき、これの衣物は青色に空模様也。松さくらの模様、赤ふき(「ふき」に傍点あり)にて振替也。踊りは三十二人、三味線十人 鼓太鼓九人にて 踊は両脇より出(イデ)、どちらを見るも仕様なき事。何(イズレ)も何も面白し面白し面白し。
「今々と喜び」とか「少々つみつけ」など、所々言い回しや言葉が聞きなれなかったりするのですが‥‥。
「何より」や「面白し」など、同じ言葉を二度では足りず三度も重ねるのは、余程の美しさだったり楽しさだったり、ということの現れなのでしょうね
次回、第三章に入ります。4月25日の西京見物 〜 5月1日の東京入りまで、一週間分あります
気長にお待ちくださいませ〜
※ 地図画像付けました('20. 5.7)