Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

ここに居る理由

2013-09-14 01:00:00 | 雪3年2部(グルワ発表~知れば知るほど)
青田淳は笑顔で雪に手を振った。



目を丸くする雪や事務員さん達、そして遠藤をよそに雪に近付く。

「仕事頑張ってる?様子見に来たんだよ」



先輩はそう言って、皆にアイスコーヒーを差し入れた。

そんな彼に、事務員さん達も不思議そうだ。

「淳君どうしてここに居るの~?夏休みなのに」



その質問に、先輩は「ちょっと雪ちゃんを見に」と答えた。

二人の関係を聞きたがる事務員さん達に、雪は冷や汗をかく。



「先輩‥あの‥大学に用でもあったんですか?」



その問いに、先輩はこう答えた。

「夏期講習を受けに来たんだ。これからちょくちょく遊びに来るよ」



その答えを聞き、思わずコーヒーを吹き出す遠藤‥。



「え?先輩夏期講習聴いてるんですか?」



雪もその答えに疑問を隠せなかった。

なぜなら先輩は前全体首席であり、早期卒業も見込める成績優秀者だ。

単位が足りず仕方なく通う学生が多い夏期講習に、そんな人が受講するのは妙なことである。

先輩は雪の席まで椅子を引き寄せると、おもむろに座って言った。

「いや、ただ卒業まであと少しだし、聴きたかった科目を聴いてみようかと思ってさ」



そうだったんですね、と返す雪に、先輩はニッコリと微笑んだ。



納得出来たような出来ないような‥。そんな雰囲気が事務所全体を包んでいた。

雪は、どんな授業を聴いているのか試しに聴いてみた。



全体首席の聴いてみたかった授業とは、一体何の授業なのか‥。

「科学的性の理解」



「へぇー。面白そうで‥」



そこまで言ったところで、雪はよくよく考えてみた。

そしてもう一度聞いてみた。

「え?今なんて言いました?」「科学的性の理解」



‥カガクテキセイノリカイ?




「面白そうだと思って」と言う先輩に雪は「???」であった。

なぜなら雪の頭の中では、二つの授業が頭に浮かび上がっていて、どちらが正しいのか分からなかったからである。



1つ目は「科学適正の理解」

脳裏に科学者になりたい学生と、それが学生にとって適性的かと問う教授の問答が繰り広げられる。

そして2つ目は「科学的性の理解」

言わずもがな、成人指定‥。雪の頭の中にアダルトマークがチカチカと点滅した。



1つ目だとしたら、授業名からすると特に物珍しいものでも無さそうだが、そもそも適正を勉強する授業なんてあるのか?

雪の頭に、アダルトマークが点滅する。

だとしたらやはり‥2つ目の‥。



しかし、先輩を見よ。

こんなにも堂々と、こんなにも爽やかに笑顔を湛えているではないか。

雪の頭の中で、科学の適正を知りたい学生が、アダルトマークを追いやった‥!

ボーン!!


「き、聴いてみてどうでしたか?」



雪は気持ちを正して、授業の感想を聴いてみた。

先輩は考えるように上を向きながら、正直な感想を述べ始めた。

「んー、まだ初日だから特に興味をそそるような内容ではなかったけど、

カリキュラムを見てみる限り面白そうだったよ。意外と結構具体的だし」




「今までずっと専攻ばかりだったから、こういう授業を聴いてみると何か不思議な気もするし」

雪の頭の中で、「興味」「不思議」など、どんどん単語が抜き出されていく。



どんどん「科学適正」から外れていく‥。そして次の先輩の言葉で、雪の冷や汗は止まらなくなった。

「ビデオも見せてくれるらしいんだ」 「‥‥‥‥」



そしてその爽やかな笑顔で、先輩はこう言った。

「すごくためになる授業だと思うな



雪はしどろもどろである‥。

1つ目と2つ目、どちらにも共通している「科学」の有益性についてたどたどしく語る雪の傍らで、

事務員さん達も「そんな授業あったっけ?」とヒソヒソ囁いている‥。






撃沈した雪に、先輩は「仕事の方はどう?」と声を掛けた。やってけそう?とも。



雪は元気よく返事をした。そして紹介してくれたことに、改めてお礼を言った。



続けて雪は、英語の塾の件について言及した。授業料が無料になっていたことについてだ。

すると先輩は、この間連絡してみたら自分の友達だということで、授業料を免除してくれたらしいと言った。

「情でそうしてくれたんだから、そのまま通うのが義理だと思うな」



雪は申し訳なく思いながらも、そう言われて返す言葉もなく、好意に甘えることにした。

そして気になっていたことについて、この際全部言ってしまおうと思った。

「あの‥先輩何時に講習終わるんですか?私が夜ご飯でも‥」



その誘いに、先輩は今日は友達と約束があって無理なんだと言った。

気まずさに口を噤んだ雪を見て、先輩はリラックスした仕草で言った。

「んー‥いつも12時に終わるから、今度ランチでも一緒にどう?それから‥」



先輩は雪の言いたかったことを見抜くかのように、笑顔でこう言った。

「晩メシ、絶対いいものご馳走してな?」



先輩は、あの約束を忘れたわけではなかった。あのメールで関係を断ち切ろうとしたわけでもなかった。

雪はホッとした気持ちになった。先輩が笑っている。



そして続けざまこうも言われた。

「それと考えてみたんだけど二回は奢ってもらわなくちゃな。それでチャラになるだろ?」



それを聞いた雪の脳裏に、河村亮の姿が浮かんだ。

奴からもそういえば、二回おごれと言われている‥。



期待してるよ、と先輩がからかうような口調で言う。



ヨーロッパの冗談がまだ残っているのか、ジェット機でも持ってこようかなどと言って、先輩は雪を困惑させた。

それでも二人の間の空気はあたたかく、時たまその冗談に雪は笑った。





先輩が、笑顔で手を振りながら去って行く。

そんな彼を見ながら、雪は温かな気持ちになった。

夏休みに入ったものの、思ったよりたくさん先輩の顔を見ることが出来そうだ。

それは仕事と勉強を繰り返すだけの休みより、きっと大分マシだろう‥。











夕方の空に、「SKK学院」の看板のネオンが光る。

今日は塾の初日。雪は気合が入っていた。



せっかくタダで勉強出来るのである。なおさら頑張らないとと、廊下を歩いている時だった。

幾人かの生徒が、塾のポスターを見てカッコイイと騒いでいる。



雪が不思議に思い、壁に張られたそれを仰ぎ見た時だった。



衝撃が走った。

と同時に冷や汗も、脂汗も‥。



雪は何度か目をこすってみたり、二度見してみたり、他人の空似だと思い込もうとしたりした。



しかし教室への案内板にも、パンフレットにも、やはり彼の姿が写っている。

  

そして遂に、後ろから声を掛けられた。

「あれ?お前ダメージヘアーじゃね?」



モップを持ちながら、掃除中の河村亮がそこに立っていた。

亮は雪に近づきながら、大学のみならず塾まで通う雪の優等生っぷりを皮肉った。

「大学ってのは遊ぶとこじゃねーのかよ」



雪がオドオドとここで何をしているのかと聞くと、亮は得意気に表のポスターを指差した。

「外で見なかったか?オレここで働いてんだよ!」



ポスターから掃除までこなすユースフルな労働者。亮は自分をこう言った。



雪はそんな彼から逃げようと、こそこそと教室に向かったのだが、亮は追いかけるように雪に向かって言った。

「お前メシ奢んの忘れたわけじゃ~ね~よな~?!また無視しやがったら直接会いに行くからな?!」








雪は授業が始まってからも、心臓がバクバク鳴りっぱなしだった。

なにこれ?!どうなってんの?絶対におかしいって‥アイツがどうしてここに???



ポスターに載っていたことも、掃除していたことも理解不能だ。

けれど気になることはもう一つあった。

雪の脳裏に、”ご飯おごれ隊”のマーチが響くようだった‥。

おごって 二回おごって  無視しないでおごりやがれ~



二人とも、雪を見ればメシメシ言うような気がする。

雪は頭にご飯を乗っけながら、授業の始まりを迎えたのだった‥。








雪が授業を受けている頃、雪のアパート‥もとい秀紀のアパートの一室で、

彼の携帯電話は鳴り響いていた。



しかし秀紀は気が付かない。

部屋中に散らかった酒瓶や打ち捨てられた教科書の中で、彼は泥酔しているからであった。

発信元の遠藤修は、もう数回目の音声案内を聞いているところだった。



荒れ果てた部屋の中が想像出来る。

遠藤はギリリと歯を鳴らした。昼間のストレスと秀紀への苛立ちで、もう限界が来そうだった。






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<ここに居る理由>でした。

「科学的性の理解」ですが、作者さんの通っていた大学で、似たような科目があるらしいです。

「性の科学的理解」だったかな?

きっと同じ大学の方は、授業あるあるで懐かしくも可笑しいんでしょうね~(^^)

*追記*

コメント欄にてご指摘の、先輩が言った「ジェット機持ってこようか?」の冗談について。

本家版1部7話のオマケ漫画に、その冗談が描かれています。

服装からすると、春学期に雪と先輩が同じ授業を取ったことが分かる初日のシーンでしょうか。

↓コレがそのオマケ漫画です。

「今度晩メシ何食べいこっか?」 ビクッ




「パリへ行ってエスカルゴでもどう?」 えっ?!




「はははははは‥冗談ばっかり‥」



「俺ジェット機持ってるよ」


「‥‥‥‥マジですか?」




「うっそー」




「太一君がこう言ったら面白いよって言ってたからさ。面白かったでしょ?」 

「は、はぁ‥」




「こっち来いやゴルァ!!」「ごかんべんを~」




‥といった漫画でした。

どこで紹介しようか迷っていたところ、ちょうどちょびこさんが言及して下さいました。

ありがとうございました!

このオマケ漫画のエピソード+ヨーロッパのくだりで、今回のジェット機発言が出て来たんですかね~。

読者にしたら「いきなりなに?」って感じですが、雪ちゃんからしたら「また言ってる‥」的な感じなんだと思います 笑

先輩がこういった冗談をたまに言っていたと考えると、あの「雪ちゃん足元に虫がいる!」のくだりも少し納得出来るような‥。

まったく、謎の多い漫画です^^;

次回は<旧友達の集い>です。

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