淳は廊下を歩いて行く西条の後ろ姿をじっと見ていた。
まるでこれから起こる様々な出来事を、見通すかのような眼差しでー‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/5c/9ab56381f5da43a05782985b2c59a282.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/19/d6e23fbd8622dc3605da905726e12b1c.jpg)
教室にて着席していた淳に向かって、西条は開口一番こう言った。
「おい。明日担任の誕生日だよな?領収書見せろよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/ad/464595c16e05e2a3e33b96760c5bcbe8.jpg)
西条は以前淳が口にした”領収書を見せる”約束を守ってもらうべく、領収書の開示を要求する。
しかし淳はキョトンとした顔でこう返した。「悪い、まだ買ってないんだ」と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/fb/23887910f5f5576c2c58d0d77dbfb074.jpg)
その返事を聞いた西条は、あからさまに顔を曇らせた。
淳は彼を見上げながら、その表情の意味を図りかねる。西条は不満げに口を開いた。
「おいおい、金ちょろまかすつもりじゃねーだろうな?」
「まさか。昨日行ったんだけど、店が定休日だったんだ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/9a/3b2873ecbb96bd2fe2120411696b5300.jpg)
淳はそう真実を告げた。
しかし西条は到底納得出来ないといった表情を浮かべながら、
フンと息を吐き捨てて淳の元を去る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/a2/231b5b9a47dd8157c0b95e4ccf025331.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/30/43ebd9cc35c1819eb1acebfe97985804.jpg)
そして数時間後、淳は職員室にて、担任の教師に尋問されることとなる。
「あなた、クラスの皆からお金を集めてるんですって?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/01/8fa2e15fa4b75f8a0201177265c11e62.jpg)
担任教師は柔らかな、それでいて厳しさを含んだ口調で淳に問い掛けた。
「どんな理由でかしら?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/f3/7c31eab86db7898ef567409ad95a7a1b.jpg)
キョトンとした表情で「はい?」と聞き返す淳に、
担任はまさかと思いつつも、その真実の追及を続けた。
「あなたが横領してるって聞いて‥」「横‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/72/c48c160d1b560a2fa3cbd21ab5ee2fe0.jpg)
突然降って湧いた横領疑惑‥。淳は脱力しながら質問する。
「誰がそんなことを‥」
「それは聞かないでちょうだい。それで‥事実なの?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/93/d8a2aef52de18f3bf2a7ccba8495f8ff.jpg)
担任は居心地悪そうにしながらも、慎重に言葉を続けた。
「淳君、あなたがそんな子じゃないってことは分かってるけど、確認はしとかなくてはいけないの。
特に校内で行事があるわけじゃないし‥あなたがお金を集める理由が分からないわ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/5e/91bab2132308d23fc1f56f34a6d5b619.jpg)
こんな密告をする人間は一人しか居ない。
淳は頭の中に西条の姿を思い浮かべながらも、素直に真実を打ち明けることにした。
「‥実は先生の誕生日に、プレゼントをあげようって話になってて‥」
「えぇっ?私の誕生日?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/4d/e9b3b8d4a4a506222c8bfd45c7fbd409.jpg)
担任は驚いて声を上げた後、口をつぐんで俯いた。
なんとも気まずい空気が、二人の間に立ち込める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/fb/35cdd114aa06371bce98e191c44876d7.jpg)
淳はその真実の詳細を、幾分申し訳無さそうな態度で説明した。
「もともと今日までには買ってくる予定だったんですけど、予定してたお店が定休日だったんで、遅くなってしまって‥。
まさか横領だなんて‥そんなことを考える人がいるなんて思いもしませんでした。お騒がせしてしまってすみません」
「ううん!いいのよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/6d/0f443f9b74154849d5cdcc009ec46ecf.jpg)
真実の在処を耳にした担任は胸を撫で下ろしながら、ようやく口元に微笑みを浮かべた。
そして淳に向かって、担任教師として思う所を口にする。
「そっか、淳君も皆も先生の誕生日のことまで考えてくれてたなんて、嬉しいわ。
今日はまだ誕生日ではないし、当日までに買って来れるなら大事にはならないでしょう。
それでも皆への約束の日に間に合わなかったから、抗議する子が出たのでしょうね。
友達からお金を集めるっていうのはデリケートな問題だから、級長である淳君から、
説明はして然るべきだったんじゃないかな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/9a/f7fa830e68f4709e370db6279b921519.jpg)
教師の話を聞いた淳は、言い返すこと無く素直に頭を下げた。
「はい。すみませんでした」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/02/6359120a641a26a340620720a8bae4cb.jpg)
教師は気まずそうにしながら、淳の気持ちを慮って口を開く。
「嫌な気持ちになっちゃったかしら?
それでも問題になった以上、先生としては確認しなくちゃいけないから‥」
「いえ、大丈夫ですよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/3c/f06e53d1699d857e6e38b373059d8d5d.jpg)
「皆に聞いて回ったり喧嘩したりしちゃダメよ。
そんな疑惑がわくこともあるんだってことを、分かってちょうだいね」
「はい。勿論です」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/be/760911f7f6b627c0524b60c2ea4806b8.jpg)
少し説教じみた教師の言葉を受けても、淳は微笑みを絶やさず頷いた。
担任はホッとした顔をしながら、いい子ねと口に出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/60/ab724120413486bdaa32a289447b6427.jpg)
その後は友好的なムードだった。淳と担任教師は笑いを交えながら二言三言会話する。
「とにかくありがとうね。サプライズにはならなくなっちゃったけど‥」
「それでもまだどんなプレゼントかは知らないでしょう?楽しみにしていて下さいね」
「あらあら‥ふふふ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/7a/9df13070627f1b31a6cad98c470cf22d.jpg)
西条が教師に密告した事実は、すぐに教室の皆に知れ渡った。
「おい!西条!お前なんだろ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/c9/a81b495bd6178ee91df74d47e9f90b00.jpg)
教室にて、西条を追及する荒い声が響く。しかし西条は、ゲーム片手に知らん顔だ。
「ちげーよ」「何がちげーよだよ!俺職員室でお前のこと見たぞ!
サプライズの意味知ってっか?!しらばっくれてんじゃねーよ!つーか青田が金踏み倒すような真似するわけねーし!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/2d/d17a2236a9050bcc76ceb93eac6e0a01.jpg)
西条はゲームをしながら、ブツブツと彼らに向かって口を開く。もう教室は大騒ぎだ。
「おいおいそりゃちげーだろ、金持ちの奴らの方がその辺ケチくさいんじゃないかってこと。
まぁ青田がそういう奴だって言ってるわけじゃねーけど」「コイツマジ‥
」
「とにかくこんなことになって‥皆ごめんな。俺が買いそびれたのは事実なんだし‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/42/42f2a325a3a115fe20dedec58a9d9078.jpg)
淳は皆に向かって場を治める言葉を掛ける。
「それでもせっかくの先生のバースデーなんだからさ、皆嫌な気持ちは忘れて準備しようよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/46/6fe87cc1f7fb9c519822ba0599f93cae.jpg)
級長の淳に言われては仕方が無いと、皆は溜息を吐きながら三々五々解散した。
その中で河村亮は、淳の姿を探す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/ba/f34da97f2672d5aa0d358299680f32df.jpg)
「おい、担任何だって?」「ん?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/6e/9755ee0437e78aa0b455314a21ff74b5.jpg)
亮からの問いに、淳は口を開こうとした。
「ただ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/96/e2cd6d25caaa30429d5d8490f8938491.jpg)
しかしすぐに口を噤む。
「何でもないよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/7f/c3dbbcffeb90558429e7076f2c38b6ef.jpg)
淳のその返答を聞いた亮は、軽く舌打ちした。
そして西条和夫の方を向きながら、中指を立てて見せる。
「あのクソ野郎‥F◯CK食らえ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/63/d870f8fcc2576739917269c50e573493.jpg)
聞こえよがしに発された亮の言葉を聞き、西条もまた顔を顰めた。
けれどあの当時、クラスメート全員が同じような感情を西条に抱いていたに違いない。
亮はあの頃を思い出して、現在の淳にこう問い掛ける。
そんでまた、”適当な線”を超えたんだろ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/5e/811852bbf87ce984c253b4efc24b0996.jpg)
淳の心の前にある、一つのボーダー。
彼が標的を排除する、一つの指標。
”Across the line.”
西条は確かにそれを侵した。
河村亮の、回想は続く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(3)ーでした。
皆様、お久しぶりです![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_happy_s.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face2_happy_s.gif)
出産報告の記事に沢山の温かいコメント、ありがとうございました![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/heart_pink.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/heart_pink.gif)
今は日々の育児に奮闘している毎日です![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
ブログの方ですが、これから一日おきにアップしていく予定です♪
またこれからよろしくお願いします!
次回は<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(4)ー。
西条編、まだまだ続きます‥。
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まるでこれから起こる様々な出来事を、見通すかのような眼差しでー‥。
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教室にて着席していた淳に向かって、西条は開口一番こう言った。
「おい。明日担任の誕生日だよな?領収書見せろよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/ad/464595c16e05e2a3e33b96760c5bcbe8.jpg)
西条は以前淳が口にした”領収書を見せる”約束を守ってもらうべく、領収書の開示を要求する。
しかし淳はキョトンとした顔でこう返した。「悪い、まだ買ってないんだ」と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/fb/23887910f5f5576c2c58d0d77dbfb074.jpg)
その返事を聞いた西条は、あからさまに顔を曇らせた。
淳は彼を見上げながら、その表情の意味を図りかねる。西条は不満げに口を開いた。
「おいおい、金ちょろまかすつもりじゃねーだろうな?」
「まさか。昨日行ったんだけど、店が定休日だったんだ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/9a/3b2873ecbb96bd2fe2120411696b5300.jpg)
淳はそう真実を告げた。
しかし西条は到底納得出来ないといった表情を浮かべながら、
フンと息を吐き捨てて淳の元を去る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/a2/231b5b9a47dd8157c0b95e4ccf025331.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/30/43ebd9cc35c1819eb1acebfe97985804.jpg)
そして数時間後、淳は職員室にて、担任の教師に尋問されることとなる。
「あなた、クラスの皆からお金を集めてるんですって?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/01/8fa2e15fa4b75f8a0201177265c11e62.jpg)
担任教師は柔らかな、それでいて厳しさを含んだ口調で淳に問い掛けた。
「どんな理由でかしら?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/f3/7c31eab86db7898ef567409ad95a7a1b.jpg)
キョトンとした表情で「はい?」と聞き返す淳に、
担任はまさかと思いつつも、その真実の追及を続けた。
「あなたが横領してるって聞いて‥」「横‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/72/c48c160d1b560a2fa3cbd21ab5ee2fe0.jpg)
突然降って湧いた横領疑惑‥。淳は脱力しながら質問する。
「誰がそんなことを‥」
「それは聞かないでちょうだい。それで‥事実なの?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/93/d8a2aef52de18f3bf2a7ccba8495f8ff.jpg)
担任は居心地悪そうにしながらも、慎重に言葉を続けた。
「淳君、あなたがそんな子じゃないってことは分かってるけど、確認はしとかなくてはいけないの。
特に校内で行事があるわけじゃないし‥あなたがお金を集める理由が分からないわ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/5e/91bab2132308d23fc1f56f34a6d5b619.jpg)
こんな密告をする人間は一人しか居ない。
淳は頭の中に西条の姿を思い浮かべながらも、素直に真実を打ち明けることにした。
「‥実は先生の誕生日に、プレゼントをあげようって話になってて‥」
「えぇっ?私の誕生日?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/4d/e9b3b8d4a4a506222c8bfd45c7fbd409.jpg)
担任は驚いて声を上げた後、口をつぐんで俯いた。
なんとも気まずい空気が、二人の間に立ち込める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/fb/35cdd114aa06371bce98e191c44876d7.jpg)
淳はその真実の詳細を、幾分申し訳無さそうな態度で説明した。
「もともと今日までには買ってくる予定だったんですけど、予定してたお店が定休日だったんで、遅くなってしまって‥。
まさか横領だなんて‥そんなことを考える人がいるなんて思いもしませんでした。お騒がせしてしまってすみません」
「ううん!いいのよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/6d/0f443f9b74154849d5cdcc009ec46ecf.jpg)
真実の在処を耳にした担任は胸を撫で下ろしながら、ようやく口元に微笑みを浮かべた。
そして淳に向かって、担任教師として思う所を口にする。
「そっか、淳君も皆も先生の誕生日のことまで考えてくれてたなんて、嬉しいわ。
今日はまだ誕生日ではないし、当日までに買って来れるなら大事にはならないでしょう。
それでも皆への約束の日に間に合わなかったから、抗議する子が出たのでしょうね。
友達からお金を集めるっていうのはデリケートな問題だから、級長である淳君から、
説明はして然るべきだったんじゃないかな」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/83/941cd5d83c993c5e91dab5a5a2b07efb.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/9a/f7fa830e68f4709e370db6279b921519.jpg)
教師の話を聞いた淳は、言い返すこと無く素直に頭を下げた。
「はい。すみませんでした」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/02/6359120a641a26a340620720a8bae4cb.jpg)
教師は気まずそうにしながら、淳の気持ちを慮って口を開く。
「嫌な気持ちになっちゃったかしら?
それでも問題になった以上、先生としては確認しなくちゃいけないから‥」
「いえ、大丈夫ですよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/3c/f06e53d1699d857e6e38b373059d8d5d.jpg)
「皆に聞いて回ったり喧嘩したりしちゃダメよ。
そんな疑惑がわくこともあるんだってことを、分かってちょうだいね」
「はい。勿論です」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/be/760911f7f6b627c0524b60c2ea4806b8.jpg)
少し説教じみた教師の言葉を受けても、淳は微笑みを絶やさず頷いた。
担任はホッとした顔をしながら、いい子ねと口に出す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/60/ab724120413486bdaa32a289447b6427.jpg)
その後は友好的なムードだった。淳と担任教師は笑いを交えながら二言三言会話する。
「とにかくありがとうね。サプライズにはならなくなっちゃったけど‥」
「それでもまだどんなプレゼントかは知らないでしょう?楽しみにしていて下さいね」
「あらあら‥ふふふ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/7a/9df13070627f1b31a6cad98c470cf22d.jpg)
西条が教師に密告した事実は、すぐに教室の皆に知れ渡った。
「おい!西条!お前なんだろ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/c9/a81b495bd6178ee91df74d47e9f90b00.jpg)
教室にて、西条を追及する荒い声が響く。しかし西条は、ゲーム片手に知らん顔だ。
「ちげーよ」「何がちげーよだよ!俺職員室でお前のこと見たぞ!
サプライズの意味知ってっか?!しらばっくれてんじゃねーよ!つーか青田が金踏み倒すような真似するわけねーし!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/2d/d17a2236a9050bcc76ceb93eac6e0a01.jpg)
西条はゲームをしながら、ブツブツと彼らに向かって口を開く。もう教室は大騒ぎだ。
「おいおいそりゃちげーだろ、金持ちの奴らの方がその辺ケチくさいんじゃないかってこと。
まぁ青田がそういう奴だって言ってるわけじゃねーけど」「コイツマジ‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0152.gif)
「とにかくこんなことになって‥皆ごめんな。俺が買いそびれたのは事実なんだし‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/42/42f2a325a3a115fe20dedec58a9d9078.jpg)
淳は皆に向かって場を治める言葉を掛ける。
「それでもせっかくの先生のバースデーなんだからさ、皆嫌な気持ちは忘れて準備しようよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/46/6fe87cc1f7fb9c519822ba0599f93cae.jpg)
級長の淳に言われては仕方が無いと、皆は溜息を吐きながら三々五々解散した。
その中で河村亮は、淳の姿を探す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/ba/f34da97f2672d5aa0d358299680f32df.jpg)
「おい、担任何だって?」「ん?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/6e/9755ee0437e78aa0b455314a21ff74b5.jpg)
亮からの問いに、淳は口を開こうとした。
「ただ‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/96/e2cd6d25caaa30429d5d8490f8938491.jpg)
しかしすぐに口を噤む。
「何でもないよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/7f/c3dbbcffeb90558429e7076f2c38b6ef.jpg)
淳のその返答を聞いた亮は、軽く舌打ちした。
そして西条和夫の方を向きながら、中指を立てて見せる。
「あのクソ野郎‥F◯CK食らえ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/63/d870f8fcc2576739917269c50e573493.jpg)
聞こえよがしに発された亮の言葉を聞き、西条もまた顔を顰めた。
けれどあの当時、クラスメート全員が同じような感情を西条に抱いていたに違いない。
亮はあの頃を思い出して、現在の淳にこう問い掛ける。
そんでまた、”適当な線”を超えたんだろ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/5e/811852bbf87ce984c253b4efc24b0996.jpg)
淳の心の前にある、一つのボーダー。
彼が標的を排除する、一つの指標。
”Across the line.”
西条は確かにそれを侵した。
河村亮の、回想は続く。
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<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(3)ーでした。
皆様、お久しぶりです
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出産報告の記事に沢山の温かいコメント、ありがとうございました
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今は日々の育児に奮闘している毎日です
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ブログの方ですが、これから一日おきにアップしていく予定です♪
またこれからよろしくお願いします!
次回は<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(4)ー。
西条編、まだまだ続きます‥。
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