Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
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<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(7)ー

2015-05-09 01:00:00 | 河村姉弟2<西条編~おかしな子供>
「あそこにある焼肉屋に来いって、先輩達からメールが来たろ?」



西条と淳がこの会話をした翌日、小さな事件が起こった。

西条が廊下を歩いていた河村亮の足を引っ掛け、「青田の子分野郎」と絡んだのだ。



日頃の鬱憤も相まって亮は切れ、思わず拳を振るった。





翌日。

その日、河村亮は青田淳のことが気になって仕方がなかった。



授業に集中しようとしても、やはり気になってしまう。

亮は何度も前方の席に座る淳の背中に目をやった。

 

先生の声など耳に入って来ない。亮は一人心の中でその疑問を呟いた。

今日って‥その集まる日なんじゃねーのか?



一昨日淳は、確かにこう言っていた。

「ふぅん‥一緒に遊んだらいいじゃないか。

明後日、◯◯区にある店に皆が集まることは知ってるよな?」




そして今日が、その日なのだ。

しかし亮はやはり自分には関係の無いことだと、自らに言い聞かせて心を誤魔化す。







時刻は十一時を指し、体育の時間になった。

淳に変わった様子は無い。






一時。昼食。

亮はやはり淳を度々窺ってみるが、変わった様子は無い。






そして更に時間は流れ、下校前の掃除の時刻になった。

亮はモップの柄にもたれかかりながら、モヤモヤとした思いを抱え続けていた。



自分には関係ない、と何度繰り返してみても、晴れない胸の内‥。



結局亮は意を決して、淳に聞いてみることにした。

「淳ー‥」



するとその亮の声を聞いたクラスメートが、淳の席の辺りを指さしてこう言った。

「青田探してんの?もういねーけど‥」



淳の席は既に空席だった。亮は眉を寄せて不思議に思う。

早くね?掃除もしねーで?



級長の淳が、掃除もせずに下校するなどいつもならあり得ない。

亮の胸中がザワザワと騒ぐ。

そしてその後ろでは傷だらけになった西条(昨日亮にやられた傷だ)が、同じく淳の席を睨んでいた。



西条は意を決したように頷くと、パッと踵を返して何処かへ向かった。

亮は西条の存在に気づき、「あん?」と声を掛ける。



しかし西条は振り向きもせずに歩いて行ってしまった。

亮は舌打ちをしながら「んだぁ?と苛立った。



しかし今は西条を気にしている場合ではない。淳のことを考えるべきだ。

なぜ淳は、掃除もせずに居なくなってしまったのかー‥。



亮の頭の中に、遅咲きの思春期を楽しむ淳の姿が浮かんで来た。

うう‥



飲酒、喫煙、女遊び‥。

いくら遅咲きの思春期といっても、これはちょっといただけない。亮は堪らず駆け出した。

「ったくよぉ!一応ちょっくら探さねーと!いくらなんでもそれはちょっと間違‥」



そう言いながら廊下を走る亮。

しかし角を曲がりかけた時、いきなり探していた人物に出くわした。

「どわああああーっ!」



「な‥なんだぁ?!」



突然亮からそう言われた淳は、キョトンとその場で立ち止まった。

二人は目を丸くして、暫し互いの姿を凝視する。

 

亮は人差し指で淳を指しながら、大きな声でこう問うた。

「お前なんでここにいんの?!」「え?」



淳は不思議そうに小首を傾げながら、自分がここに居る理由を話し出した。

「なんでって‥。雑用に行って、帰る途中だよ。

終わったら帰宅するつもり」
「はぁ?!」



まだその理由が理解しきれていない亮。しかし淳は平然と問い掛ける。

「一緒に行く?これ重くてさ」 「??」



亮の胸中がモヤモヤと曇る。そのまま二人は並んで歩き出した。

「え‥雑用って何の?てか掃除は?」「明日の一限に使う資料だって。今持って行って欲しいって先生が」

「てかなんでそれをお前一人に‥」

「別に俺一人ってわけじゃないさ。もう一人連れて来いって言ってたから、一緒に行こう。

掃除はしなくていいってさ」
 「お?おー‥」



行かねーことにしたってことか?と亮は、その平然とした淳の顔を見ながら考えた。

鼓膜の裏に、一昨日耳にした淳の台詞が過る。

”俺も呼ばれたんだ” ”西条も行く?”



淳は確かにそう言った。亮はその意味を考え直して合点が行く。

そっか‥自分が「行く」とは言ってねーわけだ



そんじゃアイツが一方的にムカついてたってワケか。

くく‥ウケるww
 



淳の巧みな言い回しに、西条も亮も勘違いをさせられていた。

亮は含み笑いを漏らしながら、淳の持っていた資料を半分持ってやる。

「手伝ったら何か奢ってくれるか~?」「分かったよ」



そうして二人は雑用を済ませ、共に帰宅した。



そして翌日、教室に西条の姿は無かった。










その時の淳の横顔を、亮はハッキリとその眼で見ていた。



そしてその眼を疑ったのだ。



亮は淳から目を逸らすと、一人思案に耽った。

いや‥元々仲悪かったんだから、嘲笑もあり得るか‥。

西条のことだから、あの性格のせいで三年をムカつかせて殴られたんだろうし‥。

それでも先輩達を裏切るってのは予想外だったな




周りではクラスメートが各々好きなようにお喋りを続けている。

「青田にも無駄に突っかかってたもんなー」「いつかこんなことになると思ってたよ」



亮は再び、淳の方へと視線を送った。

現在の亮はこの時のことを思い出し、こう回想している。

<あの時、気づくべきだったんだ>と。


「まーアイツ元から性格悪かったからなぁ」「何かやらかすと思ってたよ」



淳は何も言わずに前を向いていた。

その後姿を見ながら、亮はとあることに思い至る。

そういやあの先輩、仁の兄貴じゃなかったっけ?



そして亮は友人らと共に、城崎仁の嘆きを聞くことになるのだった。




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<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(7)ーでした。

日本語版では切れ切れにしか分からなかった西条事件が、今回時系列で描いてあるのでようやく流れが掴めた感じですね。

あと、ブログ記事を本家版と日本語版を混ぜて構成してみました。ちょっと読みにくいかな~^^;


次回は<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(8)ーです。

ようやく西条編、ラストです!


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