「あそこにある焼肉屋に来いって、先輩達からメールが来たろ?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/56/84d67b1b0ba298827e6db44f71364e29.jpg)
西条と淳がこの会話をした翌日、小さな事件が起こった。
西条が廊下を歩いていた河村亮の足を引っ掛け、「青田の子分野郎」と絡んだのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/82/633ab15e8043a6d11e056fa1dd705001.jpg)
日頃の鬱憤も相まって亮は切れ、思わず拳を振るった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/c7/efec891dbe902f7cf3a18e9cf73f3b24.jpg)
翌日。
その日、河村亮は青田淳のことが気になって仕方がなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/26/2b642c45af57ffed2cd65b011a7d5f7e.jpg)
授業に集中しようとしても、やはり気になってしまう。
亮は何度も前方の席に座る淳の背中に目をやった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/51/cfdb4df560e76dbe3e6ab1eb146003e2.jpg)
先生の声など耳に入って来ない。亮は一人心の中でその疑問を呟いた。
今日って‥その集まる日なんじゃねーのか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/a6/5f74e21ac3bfc4313eb2037d86f457cf.jpg)
一昨日淳は、確かにこう言っていた。
「ふぅん‥一緒に遊んだらいいじゃないか。
明後日、◯◯区にある店に皆が集まることは知ってるよな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/a3/4cdaaecac68d5eb1878d101a33b2f75d.jpg)
そして今日が、その日なのだ。
しかし亮はやはり自分には関係の無いことだと、自らに言い聞かせて心を誤魔化す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/46/9fb4e982862e7ba78dbca66598fcd720.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/2a/986208c2aeb8f6b0c93cc3d37fd5eaad.jpg)
時刻は十一時を指し、体育の時間になった。
淳に変わった様子は無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/8a/003cca5ab045c72c75e0978bd6b292de.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/d1/aac6809e6749b1cb7884f413320de5b2.jpg)
一時。昼食。
亮はやはり淳を度々窺ってみるが、変わった様子は無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/af/43a8f73e526efaeea3a8c84515a8cba2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/78/8604efa30565115c9a8205089c712afd.jpg)
そして更に時間は流れ、下校前の掃除の時刻になった。
亮はモップの柄にもたれかかりながら、モヤモヤとした思いを抱え続けていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/1b/5a19da04d052e67ce246aa729767d133.jpg)
自分には関係ない、と何度繰り返してみても、晴れない胸の内‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/06/af92e0b65cd78883ebfab435020bf1ee.jpg)
結局亮は意を決して、淳に聞いてみることにした。
「淳ー‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/af/377fb8b240eb33b8757158b1cd0fea0d.jpg)
するとその亮の声を聞いたクラスメートが、淳の席の辺りを指さしてこう言った。
「青田探してんの?もういねーけど‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/e8/7bc6ff8488a2b47ccbf3eeafafced686.jpg)
淳の席は既に空席だった。亮は眉を寄せて不思議に思う。
早くね?掃除もしねーで?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/ed/223aee23eda13145a8e9913937644271.jpg)
級長の淳が、掃除もせずに下校するなどいつもならあり得ない。
亮の胸中がザワザワと騒ぐ。
そしてその後ろでは傷だらけになった西条(昨日亮にやられた傷だ)が、同じく淳の席を睨んでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/ca/52ce21bd974e3ce6f42174e0557f17b3.jpg)
西条は意を決したように頷くと、パッと踵を返して何処かへ向かった。
亮は西条の存在に気づき、「あん?」と声を掛ける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/c5/3215d8bbb4b540f53a1ead96fc757bc7.jpg)
しかし西条は振り向きもせずに歩いて行ってしまった。
亮は舌打ちをしながら「んだぁ?
」と苛立った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/4e/83b147466dd8febf21103d71a9cdc97f.jpg)
しかし今は西条を気にしている場合ではない。淳のことを考えるべきだ。
なぜ淳は、掃除もせずに居なくなってしまったのかー‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/5c/a0efc49d86c2219e7a410a5894694e8d.jpg)
亮の頭の中に、遅咲きの思春期を楽しむ淳の姿が浮かんで来た。
うう‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/e9/00e3364c8e44bda390ca3ab81b8a8469.jpg)
飲酒、喫煙、女遊び‥。
いくら遅咲きの思春期といっても、これはちょっといただけない。亮は堪らず駆け出した。
「ったくよぉ!一応ちょっくら探さねーと!いくらなんでもそれはちょっと間違‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/61/f7b1fdd6d570e4f3f0b05453ca51f9d0.jpg)
そう言いながら廊下を走る亮。
しかし角を曲がりかけた時、いきなり探していた人物に出くわした。
「どわああああーっ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/0a/b444e10e1f48ec58eae0d4d93c39eaa9.jpg)
「な‥なんだぁ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/8c/a801a614a0e86b5e93796749ae5b9e9b.jpg)
突然亮からそう言われた淳は、キョトンとその場で立ち止まった。
二人は目を丸くして、暫し互いの姿を凝視する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/56/a0c4bd570552da62d4a6bddeb6a54f08.jpg)
亮は人差し指で淳を指しながら、大きな声でこう問うた。
「お前なんでここにいんの?!」「え?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/60/c59a751017d35272056b13a98858aab6.jpg)
淳は不思議そうに小首を傾げながら、自分がここに居る理由を話し出した。
「なんでって‥。雑用に行って、帰る途中だよ。
終わったら帰宅するつもり」「はぁ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/9a/f171c69afb97044f49330e520f3f69f3.jpg)
まだその理由が理解しきれていない亮。しかし淳は平然と問い掛ける。
「一緒に行く?これ重くてさ」 「??」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/52/eca1760b6bebc89155f0ac1d34fc925b.jpg)
亮の胸中がモヤモヤと曇る。そのまま二人は並んで歩き出した。
「え‥雑用って何の?てか掃除は?」「明日の一限に使う資料だって。今持って行って欲しいって先生が」
「てかなんでそれをお前一人に‥」
「別に俺一人ってわけじゃないさ。もう一人連れて来いって言ってたから、一緒に行こう。
掃除はしなくていいってさ」 「お?おー‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/d3/3252c10176527d72846366c257f58890.jpg)
行かねーことにしたってことか?と亮は、その平然とした淳の顔を見ながら考えた。
鼓膜の裏に、一昨日耳にした淳の台詞が過る。
”俺も呼ばれたんだ” ”西条も行く?”
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/3c/391d11fbf91bca6d2561ef35b08258f0.jpg)
淳は確かにそう言った。亮はその意味を考え直して合点が行く。
そっか‥自分が「行く」とは言ってねーわけだ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/76/811e52fe226c8a07db256df0d1d44e5f.jpg)
そんじゃアイツが一方的にムカついてたってワケか。
くく‥ウケるww
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/1c/43fc633c613955a6069b3e6bfe72b2c4.jpg)
淳の巧みな言い回しに、西条も亮も勘違いをさせられていた。
亮は含み笑いを漏らしながら、淳の持っていた資料を半分持ってやる。
「手伝ったら何か奢ってくれるか~?」「分かったよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/16/9c6f2c8fbc11f533e1c96367433b89f2.jpg)
そうして二人は雑用を済ませ、共に帰宅した。
そして翌日、教室に西条の姿は無かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/56/f5c7c9e43f628c03a748d2e5bd7901f0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/b4/1324be465f265d3b93784efa581e3b19.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/65/7be9dbb9bf42f59d20d59d7e096433e1.jpg)
その時の淳の横顔を、亮はハッキリとその眼で見ていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/00/9af88a04c0effdb3a6d7d678f91a59ac.jpg)
そしてその眼を疑ったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/51/8e0df6434ba9c0f265f6a52266a440c8.jpg)
亮は淳から目を逸らすと、一人思案に耽った。
いや‥元々仲悪かったんだから、嘲笑もあり得るか‥。
西条のことだから、あの性格のせいで三年をムカつかせて殴られたんだろうし‥。
それでも先輩達を裏切るってのは予想外だったな
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/b8/07bccef136bd4cdab9d82335562ab148.jpg)
周りではクラスメートが各々好きなようにお喋りを続けている。
「青田にも無駄に突っかかってたもんなー」「いつかこんなことになると思ってたよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/98/e101946c38eb40a140cdb06d6e1dcd09.jpg)
亮は再び、淳の方へと視線を送った。
現在の亮はこの時のことを思い出し、こう回想している。
<あの時、気づくべきだったんだ>と。
「まーアイツ元から性格悪かったからなぁ」「何かやらかすと思ってたよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/a3/1f8a31363895f1f043325a399e9573d8.jpg)
淳は何も言わずに前を向いていた。
その後姿を見ながら、亮はとあることに思い至る。
そういやあの先輩、仁の兄貴じゃなかったっけ?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/b6/0a9ee8d00987430d17c5e599edcf9874.jpg)
そして亮は友人らと共に、城崎仁の嘆きを聞くことになるのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(7)ーでした。
日本語版では切れ切れにしか分からなかった西条事件が、今回時系列で描いてあるのでようやく流れが掴めた感じですね。
あと、ブログ記事を本家版と日本語版を混ぜて構成してみました。ちょっと読みにくいかな~^^;
次回は<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(8)ーです。
ようやく西条編、ラストです!
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/56/84d67b1b0ba298827e6db44f71364e29.jpg)
西条と淳がこの会話をした翌日、小さな事件が起こった。
西条が廊下を歩いていた河村亮の足を引っ掛け、「青田の子分野郎」と絡んだのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/82/633ab15e8043a6d11e056fa1dd705001.jpg)
日頃の鬱憤も相まって亮は切れ、思わず拳を振るった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/c7/efec891dbe902f7cf3a18e9cf73f3b24.jpg)
翌日。
その日、河村亮は青田淳のことが気になって仕方がなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/26/2b642c45af57ffed2cd65b011a7d5f7e.jpg)
授業に集中しようとしても、やはり気になってしまう。
亮は何度も前方の席に座る淳の背中に目をやった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/20/50a0f48951599e203493344c2204ea3a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/51/cfdb4df560e76dbe3e6ab1eb146003e2.jpg)
先生の声など耳に入って来ない。亮は一人心の中でその疑問を呟いた。
今日って‥その集まる日なんじゃねーのか?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/a6/5f74e21ac3bfc4313eb2037d86f457cf.jpg)
一昨日淳は、確かにこう言っていた。
「ふぅん‥一緒に遊んだらいいじゃないか。
明後日、◯◯区にある店に皆が集まることは知ってるよな?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/a3/4cdaaecac68d5eb1878d101a33b2f75d.jpg)
そして今日が、その日なのだ。
しかし亮はやはり自分には関係の無いことだと、自らに言い聞かせて心を誤魔化す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/46/9fb4e982862e7ba78dbca66598fcd720.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/2a/986208c2aeb8f6b0c93cc3d37fd5eaad.jpg)
時刻は十一時を指し、体育の時間になった。
淳に変わった様子は無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/8a/003cca5ab045c72c75e0978bd6b292de.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/d1/aac6809e6749b1cb7884f413320de5b2.jpg)
一時。昼食。
亮はやはり淳を度々窺ってみるが、変わった様子は無い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/af/43a8f73e526efaeea3a8c84515a8cba2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/78/8604efa30565115c9a8205089c712afd.jpg)
そして更に時間は流れ、下校前の掃除の時刻になった。
亮はモップの柄にもたれかかりながら、モヤモヤとした思いを抱え続けていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/1b/5a19da04d052e67ce246aa729767d133.jpg)
自分には関係ない、と何度繰り返してみても、晴れない胸の内‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/06/af92e0b65cd78883ebfab435020bf1ee.jpg)
結局亮は意を決して、淳に聞いてみることにした。
「淳ー‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/af/377fb8b240eb33b8757158b1cd0fea0d.jpg)
するとその亮の声を聞いたクラスメートが、淳の席の辺りを指さしてこう言った。
「青田探してんの?もういねーけど‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/e8/7bc6ff8488a2b47ccbf3eeafafced686.jpg)
淳の席は既に空席だった。亮は眉を寄せて不思議に思う。
早くね?掃除もしねーで?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/ed/223aee23eda13145a8e9913937644271.jpg)
級長の淳が、掃除もせずに下校するなどいつもならあり得ない。
亮の胸中がザワザワと騒ぐ。
そしてその後ろでは傷だらけになった西条(昨日亮にやられた傷だ)が、同じく淳の席を睨んでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/ca/52ce21bd974e3ce6f42174e0557f17b3.jpg)
西条は意を決したように頷くと、パッと踵を返して何処かへ向かった。
亮は西条の存在に気づき、「あん?」と声を掛ける。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/c5/3215d8bbb4b540f53a1ead96fc757bc7.jpg)
しかし西条は振り向きもせずに歩いて行ってしまった。
亮は舌打ちをしながら「んだぁ?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0152.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/4e/83b147466dd8febf21103d71a9cdc97f.jpg)
しかし今は西条を気にしている場合ではない。淳のことを考えるべきだ。
なぜ淳は、掃除もせずに居なくなってしまったのかー‥。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/5c/a0efc49d86c2219e7a410a5894694e8d.jpg)
亮の頭の中に、遅咲きの思春期を楽しむ淳の姿が浮かんで来た。
うう‥
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/e9/00e3364c8e44bda390ca3ab81b8a8469.jpg)
飲酒、喫煙、女遊び‥。
いくら遅咲きの思春期といっても、これはちょっといただけない。亮は堪らず駆け出した。
「ったくよぉ!一応ちょっくら探さねーと!いくらなんでもそれはちょっと間違‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/61/f7b1fdd6d570e4f3f0b05453ca51f9d0.jpg)
そう言いながら廊下を走る亮。
しかし角を曲がりかけた時、いきなり探していた人物に出くわした。
「どわああああーっ!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/0a/b444e10e1f48ec58eae0d4d93c39eaa9.jpg)
「な‥なんだぁ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/8c/a801a614a0e86b5e93796749ae5b9e9b.jpg)
突然亮からそう言われた淳は、キョトンとその場で立ち止まった。
二人は目を丸くして、暫し互いの姿を凝視する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/30/cf87c7aa32246019a4e1ccabc511c5ad.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/56/a0c4bd570552da62d4a6bddeb6a54f08.jpg)
亮は人差し指で淳を指しながら、大きな声でこう問うた。
「お前なんでここにいんの?!」「え?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/60/c59a751017d35272056b13a98858aab6.jpg)
淳は不思議そうに小首を傾げながら、自分がここに居る理由を話し出した。
「なんでって‥。雑用に行って、帰る途中だよ。
終わったら帰宅するつもり」「はぁ?!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/9a/f171c69afb97044f49330e520f3f69f3.jpg)
まだその理由が理解しきれていない亮。しかし淳は平然と問い掛ける。
「一緒に行く?これ重くてさ」 「??」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/52/eca1760b6bebc89155f0ac1d34fc925b.jpg)
亮の胸中がモヤモヤと曇る。そのまま二人は並んで歩き出した。
「え‥雑用って何の?てか掃除は?」「明日の一限に使う資料だって。今持って行って欲しいって先生が」
「てかなんでそれをお前一人に‥」
「別に俺一人ってわけじゃないさ。もう一人連れて来いって言ってたから、一緒に行こう。
掃除はしなくていいってさ」 「お?おー‥」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/d3/3252c10176527d72846366c257f58890.jpg)
行かねーことにしたってことか?と亮は、その平然とした淳の顔を見ながら考えた。
鼓膜の裏に、一昨日耳にした淳の台詞が過る。
”俺も呼ばれたんだ” ”西条も行く?”
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/3c/391d11fbf91bca6d2561ef35b08258f0.jpg)
淳は確かにそう言った。亮はその意味を考え直して合点が行く。
そっか‥自分が「行く」とは言ってねーわけだ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/76/811e52fe226c8a07db256df0d1d44e5f.jpg)
そんじゃアイツが一方的にムカついてたってワケか。
くく‥ウケるww
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/1c/43fc633c613955a6069b3e6bfe72b2c4.jpg)
淳の巧みな言い回しに、西条も亮も勘違いをさせられていた。
亮は含み笑いを漏らしながら、淳の持っていた資料を半分持ってやる。
「手伝ったら何か奢ってくれるか~?」「分かったよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/16/9c6f2c8fbc11f533e1c96367433b89f2.jpg)
そうして二人は雑用を済ませ、共に帰宅した。
そして翌日、教室に西条の姿は無かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/56/f5c7c9e43f628c03a748d2e5bd7901f0.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/b4/1324be465f265d3b93784efa581e3b19.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/65/7be9dbb9bf42f59d20d59d7e096433e1.jpg)
その時の淳の横顔を、亮はハッキリとその眼で見ていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/00/9af88a04c0effdb3a6d7d678f91a59ac.jpg)
そしてその眼を疑ったのだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/51/8e0df6434ba9c0f265f6a52266a440c8.jpg)
亮は淳から目を逸らすと、一人思案に耽った。
いや‥元々仲悪かったんだから、嘲笑もあり得るか‥。
西条のことだから、あの性格のせいで三年をムカつかせて殴られたんだろうし‥。
それでも先輩達を裏切るってのは予想外だったな
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/b8/07bccef136bd4cdab9d82335562ab148.jpg)
周りではクラスメートが各々好きなようにお喋りを続けている。
「青田にも無駄に突っかかってたもんなー」「いつかこんなことになると思ってたよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/98/e101946c38eb40a140cdb06d6e1dcd09.jpg)
亮は再び、淳の方へと視線を送った。
現在の亮はこの時のことを思い出し、こう回想している。
<あの時、気づくべきだったんだ>と。
「まーアイツ元から性格悪かったからなぁ」「何かやらかすと思ってたよ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/a3/1f8a31363895f1f043325a399e9573d8.jpg)
淳は何も言わずに前を向いていた。
その後姿を見ながら、亮はとあることに思い至る。
そういやあの先輩、仁の兄貴じゃなかったっけ?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/b6/0a9ee8d00987430d17c5e599edcf9874.jpg)
そして亮は友人らと共に、城崎仁の嘆きを聞くことになるのだった。
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<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(7)ーでした。
日本語版では切れ切れにしか分からなかった西条事件が、今回時系列で描いてあるのでようやく流れが掴めた感じですね。
あと、ブログ記事を本家版と日本語版を混ぜて構成してみました。ちょっと読みにくいかな~^^;
次回は<亮と静香>高校時代(1)ー西条のエピソード(8)ーです。
ようやく西条編、ラストです!
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